営業マネージャの「営業目標の達成」について

営業マネージャの「営業目標の達成」について 「達成」より先に「着地をズラさない」――5人を超えたマネージャの数字の握り方

営業マネージャは営業目標を持つという意味では個人の営業マンでもあります。しかし、絶対額という意味において、その影響は個人のそれとは異なります。また自分自身が全てを把握できない状況で着地数値を把握するという難しさもあります。その上で、個人の営業マンの協力を得ながら達成に向けたストーリーを描き、実現に向かわせるというミッションを持っています。

営業目標の達成

営業マネージャも一人の営業マンです。従って管掌範囲における営業数字を達成することが、一番の役割として会社から期待されていることと言っても過言でないでしょう。しかし単純に一人の営業マンが達成するかどうかという点とは、大きく異なる点もあります。

営業マンの達成と異なる点

営業マネージャとして数字を達成することと、一人の営業マンが数字を達成することにおいては大きく二つ異なる点があります。

目標金額の絶対額がそもそも異なる

全てのクライアント状況などを把握することは困難という点で異なる

一つは目標金額が大きくことなる点にあります。つまりそれほど営業マネージャの役割は大きいという点がそもそも一人の営業マンの数字の達成や未達成の次元ではない期待がなされているポジションであるという認識は持つ必要があります。

もう一点は、自分の管掌範囲でありながら、一人一人の営業マンのクライアント状態やヨミ状況を全て把握することは極めて困難であるという点です。場合によっては営業マネージャである自分と営業マンの間にチームリーダー的ポジションの役割が挟まることもあります。そうなれば、恐らく階層を飛び越えて、全て把握するというのはさらに困難でしょう。

目安として、対象の営業メンバーが5人を越えてくると、個別に全てを把握するというのはまず無理です。しかしながら、数字を達成できるかどうかというのは彼らにかかっています。個別に全てを把握することは不可能でも、その足し上げとして自らの数字がどのなるのかを予測し、会社に対して進捗を報告する必要があります。

営業マネージャの数字を読む難しさと影響範囲

上記二点より、営業個人として未達リスクを読み取るよりも非常に難易度が高く、なおかつその際の影響が大きいことは容易に伺えます。

未達成になる可能性がある場合は、どのような施策を講じることで達成に持っていくかという点を詰めなければなりません。自分で直接担当しているクライアントがいない場合は、営業マンの協力を得ながら、場合によっては既に個人目標を達成済みのメンバーに対して、更なる数字の上乗せという意味で協力を仰ぐ必要もあります。

全体数値達成のために、どこでどのようにして数字を乗せていくかということをきちんと設計し、そのために営業マンをどう巻き込むかということを、日々の進捗を追いながら、考えるというのが営業マネージャの大きな役割となります。

 

目標達成の前に、まず「着地予測の精度」で勝負が決まっている

ある調査では、営業パーソンの約半数が前年度の目標を達成できておらず、その理由として最も多かったのが「営業戦略の不備」だったと言われます。ただ、現場のマネージャを見ていると、未達の本当の分かれ目は目標の立て方そのものよりも、「自分の数字が最終的にどこへ着地するかを、どれだけ早く正確に読めているか」にあるように感じます。目標を緻密に設計しても、月末まで着地が見えなければ、打てる手は「気合で前倒し」しか残りません。

強いマネージャほど、達成そのものよりも「着地がズレないこと」を重視します。月末になってチャットが荒れ、スプレッドシートが何度も更新され、誰かが数字を前倒しして、結果的に数字が間に合うことはあります。ですがそれは無理やり間に合わせたのであって、初めから見通せていたわけではありません。本当に着地がズレないチームは、月末に慌てない。日頃から一件ごとの状態を細かく押さえ続けているからです。3年目のうちから、自分の案件を「いつ・いくらで・どの確度で決まるか」を口頭で即答できる状態にしておくと、将来チームの数字を預かったときに効いてきます。

5人を超えたら「全把握」を捨て、確度3区分でヨミを握る

前述のとおり、メンバーが5人を超えると一人ひとりの案件をすべて把握するのはまず不可能です。そこで全部を見ようとするのをやめ、案件を確度で3つに分けて握り直します。たとえば「ほぼ確実(80%以上)」「五分(50%前後)」「薄い(30%以下)」の3区分です。マネージャが毎週見るのは全件ではなく、この真ん中の「五分」の山だけで十分。ほぼ確実な案件は放っておいても入り、薄い案件は今月の着地にはほぼ影響しません。勝負を分けるのは、転びうる「五分」の案件をどれだけ確実側へ押し上げられるかです。

具体的な動き方はこうです。まず五分の案件を金額順に並べ、上から数件だけメンバーと詰める。「あと何が埋まれば確実になるのか」を一件ずつ言語化させ、その障害を外す手を一緒に決めます。それでも目標との差が埋まらないと読めたら、早い段階で、すでに個人目標を達成したメンバーに上乗せの協力を仰ぎます。月末に頼むと「なぜ今さら」となりますが、月の中旬に「全体の着地をこう作りたい」と背景ごと共有すれば、協力は得やすくなります。設計図を描き、五分の案件と人を動かして着地をズラさない。これがメンバー時代の数字の達成とは決定的に違う、マネージャの仕事の中身になります。

筆者:店長

営業と、競馬と、しゃべる植物。あっAIも。つい、いろいろ作ってしまう人です。

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店長

Xアカウント:@nishi_sales_ai 新卒で大手IT企業に入社し、飛び込み営業から深耕営業、大手企業担当まで第一線で経験を積む(表彰歴多数)。その後、事業企画・営業企画部門で経営に近い立場から営業組織と数字に向き合い、10年勤続を経て独立。営業組織の改善に特化したコンサルタント企業を立ち上げる。 コンサルタントして数々の現場に入りつつ、自ら営業特化の転職エージェントも運営。近年はAIを活用した営業組織の業務改善・生産性向上プロジェクトに携わる。現場の最前線と経営の両方を見てきた視点から、営業3年目前後がぶつかる壁を越えるための実践知を発信する。

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