「コンサルティング営業」とは。コンサルティング営業のパターンを知る|型の話の、その手前と実務──従来営業との違い・進め方・伸ばすべきスキル
コンサルティング営業とは、自社の商品をクライアントに提供することがコンサルティングになっている「商品依存型コンサルティング営業」や、商品の活用の幅と深さを持ち合わせて商品力が均一の状況でも結果に差を残せる「Mr.コンサルティング営業」や、勢いと気持ちは強いが商品力も実力も伴っていない「コンサルティング未満営業」などのパターンについてまとめました。
コンサルティング営業とコンサルティング未満営業
今やかなり多い数の「コンサルティング営業」という職種が世には溢れています。それは非常に単純な理由で、カタカナを使うと人の募集や採用で反応が増えるからです。「営業」というキーワードだと少しネガティブな印象を持つ人も「コンサルティング」という横文字がつくだけで、スタイリッシュな印象を受けます。
結果、コンサルティングの域には届いていない「コンサルティング未満営業」が増殖してしまった側面は否めません。もしくはそのレベルに達していない営業マンでも名刺には「コンサルティング営業」という肩書きを背負って挨拶をしています。このようなコンサルティング未満営業と、本当にクライアントの課題に向き合い、自社商品の活用を通じて課題解決をすることで自身のアカウントを成長させることができるコンサルティング営業は大きく何が違うのでしょうか?
コンサルティング営業のパターン
本質は「何を武器にコンサルティングしていくか」
もしあなたがコンサルティング営業の営業を受ける立場にある人だったり、もしくはこれからコンサルティング営業を志望している人だとした時に、目の前にいる人が何を持ってコンサルティングした経験がある人なのかをぜひ聞いてみましょう。コンサルティング営業には大きく三つあると言えます。
- (商品依存型)商品やサービスの活用を通じて課題解決を行いコンサルティングできる営業マン
- (Mr.コンサルティング型)営業自身の知見やノウハウを通じて課題解決を行える営業マン
- (勢い型)コンサルティング未満営業
商品依存型のコンサルティング営業
商品力が強かったり、クライアント課題に対して芯を喰ったサービスを提供できている企業の営業マンです。つまり商品力やサービス力そのものが強いパワーを持っているため、買って使えば顧客からすると極めて満足するようなケースです。
営業マンそのものに価値はなくとも商品やサービスそのものに大きな価値があるため、クライアントからすると営業マンに価値を感じていなくても、商品の購入を通じて自社の課題解決を図ることができます。逆に営業マンからすると商品の販売を通じてコンサルティングしているという状態になります。
いわゆる「アドバイスをする」という、本来のコンサルティングの言葉の意味からの距離はあるように感じますが、結果的にクライアント満足が高くなり、課題解決のきっかけを営業マンが提供したことには変わりません。適切な言葉を使うとすれば「ソリューション型の営業」という言葉が適切かもしれません。マーケットを席巻しているサービスや、圧倒的シェアを持っている商品、革新的で今までにないサービスだったり、商品やサービスに組み込まれているノウハウが自社にしかなく他社が簡単に模倣できないようなサービスを提供している場合はこのケースに該当することが多いと言えるでしょう。
Mr.コンサルティング営業
クライアントの課題に対してどこまでカスタマイズできる仕様を提供できるか、という点で、ソリューションの幅や深さが大きく異なるケースがあります。例えばWebの広告代理店などがいい例でしょう。営業マンが扱える商品という意味では、どの営業マンであってもどの企業でも大きな差はありません。つまり商品そのものは比較的一般的で価格についても大きな差がありません。
ただし「どのようなターゲットに対して」「どのような訴求ポイントで」「どのようなメディアで」広告を打つかという点においては、同じコストを投下しても全く反応が異なります。広告は全くのムダ金(=勉強代)になる場合もあれば、金脈になる場合もあります。
このケースにおいては商品そのものの魅力というよりも、それまでの営業マンの知見やノウハウをフル活用することでクライアント課題をソリューションしていきます。肩書きやどのような商品を扱っているかということだけでは判断がつかず、一緒に仕事をすることを通じて、やっとその営業マンの価値の大小を知ることができます。
(参考)稀有なコンサルティング営業
稀有な存在ではありますが、本当にコンサルタントとしてクライアントの課題解決をしていけるような人が営業をしているタイプです。商品そのものやサービスについては、全く商品力がなくとも自身が持っている様々な知見やノウハウの提供や、場合によっては人脈の提供を通じて、クライアント課題が解決できる営業マンです。
このようなコンサルティング営業はソリューションの提供を通じて信頼を勝ち取り、クライアント接点を強化していくことができるタイプの営業マンです。自分の売り込みとともに自社の商品を販売しているケースや、場合によっては自分自身の価値の提供そのものに値段をつけて販売しているケースさえ存在します。 しかし決して世の中に多くはなく、自社商品の活用パターンを増やすことでクライアントの課題解決の幅を広げるタイプの「Mr.コンサルティング」パターンがいわゆる一般的なコンサルティング営業と言っていいでしょう。
勢い型のコンサルティング未満営業
どのクライアントに対しても同じ売り方しかできず、商品の活用パターンの提案も乏しく、クライアントの本質的な課題が何かについてのヒアリングさえも満足にできない営業マンのことを指します。売っている商品の商品力が強ければそれでも活用機会は見いだすことができるのですが、最初から価格に見合った機能を提供できないことを理解していながら、受注のためだけに無理に期待値に釣り上げて風呂敷を広げるという悪質なケースも存在します。
一方で彼らの一生懸命さに心打たれることもしばしばあります。商品の強さはそれほどない。営業としての能力もイマイチ。しかしながら熱意と気持ちだけは一流という「未満営業」も存在します。
愛すべきコンサルティング未満営業
一番重宝すべきは「とりあえずクライアントの役に立ちたいという気持ちは誰にも負けないコンサルティング未満営業」という場合もあります。なぜならば、ビジネスの側面においては必ずしも「1番優秀な人が優勝できないケース」もあれば「気持ちが人を動かす」という時だってあります。何より気持ちが強い人はかなりの確率で成長します。「営業を育てるのもクライアントの一つの役目である」という意気に感じるような仕事の仕方を重視している人は、ぜひ「気持ちだけは強いコンサルティング未満営業」と一緒にお仕事をされることをオススメします。向き合ったら向き合っただけ、きっと彼らはクライアントのために尽力してくれるはずですから。
営業の現場では、コンサルティング営業への理解が成果を大きく左右します。本記事で紹介したポイントを振り返り、明日からの業務に少しずつ取り入れていきましょう。
「モノを売る」から「課題を売る」へ──従来型営業との決定的な違い
コンサルティング営業を理解する早道は、従来型の営業と何がどう違うのかをはっきりさせることです。呼び名の格好よさではなく、動きの中身で線を引きます。
従来型のプロダクト営業は、扱う商品が先にあり、それを必要としてくれそうな相手を探して届けます。会話の出発点は「この商品はいかがですか」です。一方コンサルティング営業は、相手の課題が先にあり、その解決手段として自社の商品を位置づけます。出発点は「御社はいま何に困っていますか」であり、商品はあくまで解決策の一部として後から出てきます。この順番の違いが、そのまま提案の説得力の差になります。ちなみに、これとほぼ同じ意味で「ソリューション営業」という言葉も使われます。厳密には、ソリューション営業が「顕在化した課題に解決策を当てる」のに対し、コンサルティング営業は「相手もまだ気づいていない課題を掘り起こすところから始める」と区別されますが、現場ではほぼ地続きだと考えて差し支えありません。
大事なのは、この違いが単なる言い換えではないことです。モノを売る営業は、商品が競合と横並びになった瞬間に価格でしか戦えなくなります。課題を売る営業は、同じ商品でも「相手の課題にどう効かせるか」という設計込みで提示するため、価格競争から一歩外に出られます。先に言う「Mr.コンサルティング型」が、同じ商品を扱いながら結果に差を残せるのは、この設計の部分で勝負しているからです。
コンサルティング営業の進め方──五つの段階
では、課題を売る営業は実際どう進むのでしょうか。順を追うと、おおむね五つの段階に整理できます。
第一に、関係と土俵づくり。いきなり課題を聞いても本音は出ません。相手の業界や立場を理解していることを示し、「この人になら相談してもいい」と思ってもらう段階です。第二に、ヒアリングによる課題の深掘り。ここが心臓部です。表面的な要望(「安いのがほしい」)の裏にある本当の困りごと(「稟議を通す材料がなくて困っている」)まで降りていきます。第三に、仮説の提示と課題の合意。「御社の問題は値段ではなく、社内で意思決定が進まないことではないですか」と仮説をぶつけ、相手と「解くべき問題はこれだ」を握ります。第四に、その合意した課題に対する解決策の提案。ここで初めて自社商品が、課題解決の手段として登場します。第五に、導入後の実行支援。売って終わりではなく、成果が出るまで伴走することで次の相談につながります。
初心者がつまずくのは、たいてい第二・第三を飛ばして第四にワープすることです。課題の合意がないまま提案するから、「検討します」で止まります。逆に言えば、ヒアリングと仮説の握りに時間を使えるようになるだけで、提案の通り方は大きく変わります。
次に伸ばすべきは、この三つのスキル
型や進め方が分かっても、それを支えるスキルがなければ絵に描いた餅です。営業三年目がコンサルティング営業へ踏み出すために、優先して鍛えたい能力を三つに絞ります。
一つ目は、仮説思考です。全部を聞き出してから考えるのではなく、事前情報から「たぶん課題はここだ」と当たりをつけて臨む力です。仮説があるからヒアリングが深い問いになり、なければ質問が「御用聞き」の域を出ません。二つ目は、質問力、とりわけ「なぜ」を掘る力です。相手の最初の答えを鵜呑みにせず、「それはなぜですか」「具体的にはどんな場面で困りますか」と一段深く降りていきます。この深掘りが、相手も気づいていなかった課題を表に出します。三つ目は、業界と数字の知識です。相手のビジネスの儲けの構造や、業界特有の事情を理解していないと、課題の当たりが的外れになります。相手の決算や商流をざっくり読めるだけで、会話の解像度が変わります。
そしてもう一つ、スキルというより姿勢として、「売らない勇気」を挙げておきます。相手の課題に自社商品が本当には効かないとき、無理に売らずに正直に伝えられるでしょうか。この一点が、信頼を長期の取引に変えるかどうかを分けます。
そもそも「コンサルティング営業」は、手法の名前ではない
ここまで従来営業との違い、進め方、スキルを見てきました。最後に、先に並べた「型」の分類の、さらに根っこにあるものを一つ問い直しておきたいと思います。
私たちはつい、コンサルティング営業を「高度なヒアリング技術」や「仮説提案のスキル」といった手法の集合として捉えます。だから、その技術を身につければコンサルティング営業になれると考えます。けれど、ヒアリングも仮説構築も、突き詰めれば誰でも真似できる手続きです。研修を受け、場数を踏めば、一定のレベルには誰もが到達します。にもかかわらず、先に「未満営業」と本物を分けたように、同じ手法を使っていても、両者のあいだには埋まらない差が残ります。その差はどこから来るのでしょうか。
答えは、手法ではなく「誰の利益を先に置くか」という一点にあります。目の前の商談で、自社の売上を先に置くのか、それとも相手の課題解決を先に置くのでしょうか。この順番だけは、技術では埋められません。そして、この違いがもっとも残酷な形で表れるのが、利益相反の瞬間です。相手の課題に本気で向き合った結果、「うちの商品では解決しません」「むしろ他社のこれを使うべきです」という結論に行き着くことがあります。ここで自社の売上を飲み込んででも相手に正直になれるかどうか——コンサルティング営業と、コンサルティングを名乗るだけの営業を分ける本当の境界は、この「売らない」を選べるかにあります。
だとすれば、コンサルティング営業とは肩書きでも手法でもなく、一つの立ち位置のことだと捉え直せます。相手の側に立って、相手の問題を自分の問題として解こうとする立ち位置です。その姿勢がある人は、ヒアリングが多少下手でも相手から信頼され、次の相談を呼び込みます。逆に立ち位置が自社の売上側に固定されている人は、どれほど滑らかに仮説を語っても、相手はどこかでその匂いを嗅ぎ取ります。先に「気持ちだけは強い未満営業」に可能性を見たのも、突き詰めればこの立ち位置の芽を評価していたからでしょう。技術は後から足せます。しかし立ち位置は、最初に決めます。コンサルティング営業になるとは、スキルを積むことである以上に、この順番を自分の中で先に決めておくことなのだと思います。
Noteも書いてます
営業を"言語化""構造化"する話を、ゆるめに。

