営業職を辞める=会社も辞める?どんな選択肢があるか知っておく|営業を辞める前に、選択肢と判断軸を整理して後悔しない決め方をする
営業を辞めたい時に考えておくこととして、辞めた後のパターンとして一般的にどのようなものが考えられるのでしょうか。会社そのものも一緒に辞めてしまうのかどうか。営業とは違う仕事を今後はするのか。業界も変えるのか。など様々な選択肢があります。その中でも営業職以外の職種で働く際のメリット・デメリットについて解説しています。
営業マンの離職について
営業.comが実施した「現役営業マン300人に聞いた営業職お悩みアンケート」においては、「会社を辞めたいと思ったことがありますか?」という質問に対して、全体の28%の人が「たまにある」、22%の人が「本気である」と回答しており、約半数の営業マンが離職を検討したことがあるというアンケート結果が出ております。それほど営業マンにとっては離職の検討というものが身近に感じるものであるということが伺えます。
では具体的に離職を含めて営業職を離れるという選択肢としてどのようなものがあるのでしょうか?
違う会社で営業職以外の職種で働く
メリット
営業職ではない仕事を経験することも一つの選択肢であり、恐らく営業職から転職した人の多くは「営業が一番しんどかった」と感じるようです。それほどあなたが経験してきた「クライアント」に対して「モノを売る」という仕事は、大変なことが多く、営業職を経験した人の多くが「営業が一番大変だ」と感じているのではないでしょうか。
何よりもクライアントと対等な関係の営業マンというのはごく一部です。どうしても下からクライアントを見上げて仕事をせざるを得なかった人の方が多いでしょう。もちろんどのような職種に転職するかにもよりますが、若い時に「営業職」を経験し、色々なプレッシャーやストレスを乗り越えながら「モノを売る」経験というのはとても大きな財産です。
デメリット
もしあなたが営業職から違う職種で転職したとして、精神面ではもしかしたら穏やかに仕事をすることができるかもしれません。ただし、営業しかしたことがなかった人が、違う職種でまた一から仕事を覚えるというのはとても大変なことです。特に30歳を超えてから、違う職種に飛び込んで、ずっと同じ職種でやってきた同世代の人とすぐに同じ結果を残すということはそれなりに難易度の高いことと言えるでしょう。
数字に追われ、クライアントからの理不尽な要求に耐えたことを思えば、それほど大きな苦労ではないかもしれませんし、それ以上の苦労が待っているかもしれません。また多くの人が営業より今の仕事の方が楽であるいう現実は、単純に営業より楽な仕事を選んだ、と捉えることもできます。
もし同じ給与で同じ労働時間で、成長スピードも似たような感じで、仕事のストレスが少なくなるのであればよい転職と言えるでしょう。しかし、ストレスが少ない半面給与が下がるという可能性は大いにあります。特に営業マンとして活躍していた時のインセンティブや賞与などの成果給に該当する部分で基本給から大きな上乗せがあった人にとっては、給与を維持した上で別の職種に転職するということはなかなか難易度が高いです。そう考えると、ある程度楽な選択肢の分、自身の取り分は少なくなるというデメリットがあると思っておいた方がよいかもしれません。
今の会社で営業職以外に異動をする
メリット
そもそも「営業を辞める=退職」ではない可能性もあります。あなたが営業マンとして優秀であって、仮に営業ではなくても自社に留まって欲しいと思える人材であれば、会社は営業職以外の別のポストを提示してくれるかもしれません。仮に自社に営業職以外で止まった場合の大きなメリットとしては、現場の営業マンの時に感じていたことを、別の職種で実現することができるという点にあります。
恐らく営業マンであれば商品についてや、仕入れについて、またクライアントとの関係性において、従業員に対する施策について、自社の経営について。様々な疑問や「自分ならこうするのに」「もっとこうした方がいい」というようなことを感じた経験があるのではないでしょうか。どのような部署に異動するのかにももちろんよりますが、この異動はあなたが感じたことを形にできる最大のチャンスかもしれません。
デメリット
恐らく異動を実現した多くの人が「営業としての経験を活かして、新しい部署でも活躍したい」と感じるでしょう。この「営業としての経験を活かして」という部分が非常に曲者になる可能性もあります。というのは、自分は「現場を知っている人間」という自負を持って新しい部署に異動するでしょう。それを形にして実現するために異動したのであればなおさらです。
しかし新しい部署には新しい部署の仕事の仕方がすでに確立されています。効率的にするための仕組みがある時も、ない時もありますが、何かしらの仕事をしています。「営業としての経験を活用する」というのはあくまでも手段であり、目的ではありません。その考えが目的になってしまった瞬間に、既に自分自身が「部署に配属されてきた新卒の新人よりは上」と認識していることになります。がむしゃらに誰にでも頭を下げて何でも吸収しようとする人と、「自分は営業経験があり現場を知っている人間」と思う人のどちらかの吸収スピードが早いかというのは言わずもがなです。
営業の現場では、営業職への理解が成果を大きく左右します。本記事で紹介したポイントを振り返り、明日からの業務に少しずつ取り入れていきましょう。
「営業を辞める」を三つの方向に分けて棚卸しする
営業を離れると一口に言っても、動かす対象は実は三つに分かれます。一つ目は「会社だけを変えて営業は続ける」方向、二つ目は「職種を変える」方向、三つ目は「会社に残って別の役割に移る」方向です。多くの人が最初から二つ目や三つ目だけを検討しがちですが、抜けやすいのが一つ目、つまり営業のまま別の会社へ移るという選択肢です。
なぜこの一つ目が見落とされるかというと、「営業がつらい」という感覚が「営業という仕事そのものがつらい」なのか「今の会社での営業のやり方がつらい」なのかを、分けないまま考えているからです。扱う商材、顧客の層、訪問件数の重さ、インセンティブの設計、上司の管理スタイルは、同じ営業職でも会社が変われば大きく違います。個人向けの短期決戦の営業と、法人向けで半年かけて一件を追う営業とでは、日々のストレスの質がまるで異なります。もし嫌なのが「飛び込みの件数ノルマ」であって「人に提案すること」自体は嫌いでないなら、職種ごと手放すより先に、営業のやり方が違う会社を探すほうが、積み上げた経験を目減りさせずに済みます。三つの方向を並べたうえで、自分がどれを外して考えていたかを一度確認してみてください。
営業経験が「そのまま武器になる」異動先・職種の見取り図
営業以外へ移るとしても、経験がゼロに戻る先ばかりではありません。営業で培った力が、そのまま前提スキルとして効く職種はいくつもあります。代表的なものを、どのスキルが移植できるかとあわせて整理します。
マーケティング職では、現場で顧客の断り文句や決め手を肌で知っていることが、机上だけの企画者にはない強みになります。営業企画やセールスイネーブルメントと呼ばれる役割は、営業の勝ちパターンを仕組みや資料に落とす仕事で、現場経験がそのまま設計材料になります。カスタマーサクセスやインサイドセールスは、顧客との関係構築力や課題を聞き出す力を引き継げます。事業企画や採用担当、キャリアアドバイザーのように、相手の状況をつかんで提案する動きが核になる職種も、営業の対人スキルが土台になります。
見取り図として押さえておきたいのは、「対人で相手の課題を引き出す力」を残せる先と、「数字を作る責任」から離れられる先は、必ずしも一致しないという点です。ノルマの重さから逃れたいのか、人と深く関わること自体を減らしたいのか。自分がどちらを求めているかで、選ぶべき異動先は変わります。求人票の職種名だけで判断せず、その職種が日々どの動きに時間を使うのかまで調べてから、候補に入れることをおすすめします。
辞めたい気持ちを「仕事内容・評価・人間関係・環境」に切り分ける
辞めるかどうかを決める前に、まず「何が嫌なのか」を四つの箱に仕分けしてみてください。仕事内容そのもの(提案や交渉、数字を追う行為が合わない)、評価や待遇(成果に対して給与や昇進が見合わない)、人間関係(上司や同僚、顧客との関係)、環境(労働時間、移動、会社の商材や方針)の四つです。
この仕分けが要るのは、箱ごとに打ち手がまるで違うからです。仕事内容が合わないなら職種を変える必要がありますが、嫌なのが評価だけなら、同職種で評価制度の違う会社に移れば解決することもあります。人間関係が原因なら、異動や配置換えで解決する余地があり、会社を辞める必要すらないかもしれません。環境が理由なら、内勤中心やリモートを取り入れた営業スタイルへの切り替えで済む場合もあります。
やり方は単純です。ここ数か月で「もう嫌だ」と感じた具体的な場面を、日付や状況ごとに思い出せるだけ書き出し、それぞれを四つの箱に振り分けます。すると、自分の不満がどこに偏っているかが目に見えてきます。多くの場合、四つ全部が均等に嫌なのではなく、どれか一つか二つに集中しています。集中している箱こそが、変えるべき対象です。全部を一度に手放す前に、どの箱を空にすれば楽になるのかを見極めてください。
勢いで辞めて後悔しないために、在職中にやっておく準備
辞める決断そのものより、辞め方と順番で後悔が生まれます。勢いで先に辞表を出してしまうと、収入が途切れた焦りの中で次を選ぶことになり、結局また同じ不満を抱える会社を選び直すことになりかねません。まだ働けている今のうちに、いくつか手を打っておくと選択肢が広がります。
一つは、辞めたい理由を書き出したうえで、逆に「今の会社で続けられている理由」も書き出すことです。給与水準、通いやすさ、慣れた人間関係など、失って初めて価値に気づくものが見えてきます。二つ目は、在職中に求人を眺めて、自分の経験が他社でどのくらいの条件で評価されるのかの相場感をつかんでおくことです。実際に応募まで進めなくても、市場での自分の値段を知るだけで判断が冷静になります。三つ目は、社内の異動制度や社内公募があるかを確認しておくことです。辞める以外の逃げ道が社内にもあると分かれば、決断の重さが変わります。
一人で抱え込むと視野が狭まりますので、信頼できる人に胸の内を話すことも準備の一つです。感情が高ぶっているときほど、ただの勢いなのか本気のターニングポイントなのかを、自分では判別しづらくなります。話すことで頭の中が整理され、辞めるにせよ残るにせよ、後から振り返って納得できる決め方に近づきます。
「営業を辞めたい」と「会社を辞めたい」は、分けて考える
「営業を辞めたい」という言葉は、口にした瞬間にしばしば「会社を辞めたい」へすり替わります。この二つは本来まったく別の問いなのに、つらさの勢いに乗って同じものとして扱われてしまいます。そして人は、辞めたい対象を分解しないまま、いちばん大きく見える「会社」ごと手放そうとします。
けれど、逃げる先を決める前にやるべきなのは、逃げたい対象を細かく割ることです。あなたが本当に手放したいのは、提案や交渉という仕事の中身なのか、成果が報われない評価の仕組みなのか、特定の上司や顧客との関係なのか、それとも移動や労働時間といった環境なのか。この四つはどれも「営業がつらい」という同じ顔をしてやってきますが、正体はまるで違います。中身が嫌なら職種を変えるしかありませんが、評価が嫌なだけなら会社を変えれば済み、人間関係が嫌なだけなら席を移すだけで消えることもあります。対象を割らずに会社ごと辞めると、嫌だった正体を抱えたまま次の職場へ移り、同じ壁の前でまた立ち止まることになります。
もう一つ見落とされやすいのは、「営業という仕事」と「今いる会社の営業のやり方」の違いです。商材も、顧客層も、件数の重さも、報酬の設計も、会社が変われば別物です。営業そのものが嫌いなのではなく、今の会社の営業の型が体に合っていないだけ、という人は少なくありません。その場合、職種を捨てるのは、体に合わない靴を理由に歩くこと自体をやめるのに似ています。合う靴を探せば、歩く力はそのまま活かせます。
だからこの決断は、「辞めるか、続けるか」という二択で考えないほうがうまくいきます。本当の問いは、「何を変えれば、この重さは軽くなるのか」です。変えるべきものが仕事の中身なのか、会社なのか、部署なのか、あるいは自分の受け止め方なのか。そこを一段ずつほどいていくと、退職という最も重い一手を切らずに済む道が、案外いくつも残っていることに気づきます。逃げるという言葉を使うなら、逃げ切る前に、何から逃げたいのかだけは正確に名指ししておきたいところです。そのひと手間が、次の職場で同じ景色を見ないための、いちばん確かな備えになります。
Noteも書いてます
営業を"言語化""構造化"する話を、ゆるめに

