新卒はまず営業からやるべき5つの理由

新卒はまず営業からやるべき5つの理由

新卒はまず営業からやるべきです。不本意ながら営業に配属された人もいるかもしれません。しかし営業に配属されることで、これから先、ビジネスマンとして非常に重要なベースのスキルを身に付けることができます。主体性やコミュニケーション力、クライアントにぶつかる力や行動力、粘り強さなど、が該当します。これらのスキルを新卒で入社して最初にベースとして身に付けることができるのは営業職をおいて他にはないと考えています。

新卒はまずは営業からやるべき5つの理由

大学を出た新卒新人が営業に配属されると、苦手意識を持つ人が少なくありません。しかし入社して最初の配属が営業というのは幸運と呼べるでしょう。もちろんそれ以外の配属に憧れていたり、希望をしていたりする人がいるのはもちろん理解しています。しかしそれでもなお、最初の配属が営業というのは、自分自身のキャリアにとって間違いなくプラスになるはずです。なぜならば、営業という職種はビジネスマンにとって必要になるベーススキルを学ぶことができるからです。 営業で身に付けることができる、ビジネスマンとしてのベーススキルとは下記のようなものです。 主体性が自然に身に付く コミュニケーション能力が備わる 本音で人と会話できるようになる 行動することが習慣化する 粘り強さが身に付く

新卒はまず主体性を身に付けることが大切

社会人になり、自分自身の意識や行動を変えなければならないことの一つが主体性です。自分自身で考え、行動に移し、間違うことで先輩やクライアントから指摘をもらい、そして自分自身の行動をよりよく変えていく。この一連に流れのきっかけが自分自身で行動を起こすことにあります。 しかしこれは言葉では簡単ですが、そう簡単に身に付くものではありません。身につく一番の方法は、慣習の中に身をおくことです。つまり自らが動くことが当たり前という世界に身をおくことで、習慣になり、自然と身につきます。 営業は、自分自身から動くことでしか物事を動かすことはできません。お客様が呼んでくれることも、お客様が放っておいて発注してくれることもありません。自ら動きクライアントにアポをとり、クライアントのことをよく知ろうという主体性の先に行動があり、それが仕事になります。 最初に営業に配属されるということは、慣習の中で主体性を磨くという環境に置かれるということです。

コミュニケーション能力が備わる理由

営業に配属されると、おそらく「売れない」という壁にぶち当たると思います。ほんの一握りの人は、最初からうまくいくという結果を残すことがありますが、大半の人が半年から2年ほど、全然売れずに悔しい思いをします。 そのほとんどがコミュニケーション力にあるのですが、いわゆる多くの人が想像するコミュニケーションを指す言葉ではありません。本質を知るために聞くことで情報を引き出し、理解を深めることで売れるようになるのです。 ただのトーク力だけじゃない!営業に求められるコミュニケーション力

本音で人と会話できるようになる

営業で嫌というくらい断られ続けていると、それが本心なのか否かに勘づくようになります。そして自分自身がどこまでクライアントに対して本音でぶつかっていたのか、クライアントの本音を引き出すためにどれほど自己開示する努力をしてきたのか、ということを突きつけられる場面があります。 クライアントの本音を引き出す過程で、自分自身が本音でクライアントとぶつかれていなかったという反省を体験する営業マンはたくさん多いです。利害が対立する人との会話というものはそれほど多くの人が体験しているわけではありません。そしてただ歩み寄ればいいというものでもありません。 クライアントとぶつかり合う中に自分自身の成長があり、本気で人にぶつかろう、意見をぶつけようという行動の先に、本音で人と会話できるという境地に辿りつくことができるようになります。そしてより、難しい環境というのが営業とクライアントとの関係です。それができるようになると、社内において、同じ目的を持った仲間と意見をぶつけたり、本音で話すということがどんなに楽かということを体感するのではないでしょうか。

行動することが習慣化する

これは営業マンであれば、誰でも実感するでしょう。成果を出すために、気持ちとしては嫌だと思いながらも交渉に臨むといった行動を続けることになるからです。為すべきことは行うという習慣が備わるようになります。 例えばクライアントに対して断られた理由を聞くこともそうですし、受注した後に、想定とは異なる結果になってしまいクライアントからお叱りを受ける。次の発注はないというところからひっくり返さなければならない。今まで味わったことのない苦痛な状況でも、クライアントと対峙し、誤解を恐れずにいうと、嫌でも訪問せざるを得ない状況に追い込まれることもあります。 そうでもして行動した先にあるのは「話せばわかる」ということであったり、「行動することで誠意を伝えることができる」という体験です。自分が思い描いたことを伝えるためには、行動で示すということが一番簡単だと思えるようになり、行動することが習慣化していくというメリットは営業ならではのスキルアップと言えます。

粘り強さが身に付く

これも成果を出すために、あらゆる方策を考えるといった習慣が備わるからです。一回断られた後も、なぜ断られたのかを聞きにいく必要があります。そのクライアントから再度発注をしてもらえることはないとわかっていても、自分自身の学びのために教えてもらう必要があります。 例えば決裁者となかなかお会いできないという状況で、あの手この手でアポを取ろうとしたりすることもあります。一つの受注にこだわりを見せることができれば、そうした粘り強さも自分のスキルへと昇華させることができます。営業とは断られてからが営業です。そうした環境に身を置くことができれば、自分自身想像もできなかった粘り強い商談ができる人材になることでしょう。 新卒を意識するだけで、結果は変わります。お伝えした内容を、次の商談や日々の行動に落とし込んでいきましょう。

営業はなぜ「ベーススキルの宝庫」と言われるのか

主体性、コミュニケーション力、本音で会話する力、行動の習慣、粘り強さ。新卒がまず営業をやるべき理由として挙げられるこれらは、どれも本当です。ただ、ここで一歩踏み込んで考えたいのは、「なぜ、営業でだけ、それが身につくのか」という点ではないでしょうか。 その答えは、営業という仕事が、ビジネスの基本ループを実地で回せる職種だからです。基本ループとは、こういう流れです。まず、思い込みではなく事実を起点に置く。次に、相手が何に困っているのかを構造として捉える。そして、頭の中で考えるだけでなく、行動して確かめる。最後に、返ってきた結果から学び、次のやり方を組み直す。事実→構造化→行動→学習、というこの一周を、営業は生身の相手との利害のぶつかり合いの中で、毎日、しかも高速で回すことになります。 経理にも、企画にも、開発にも、分析や内省の機会はあります。けれど、利害が対立する相手を前に、逃げ場のない“実弾”の中でこのループを回す経験は、最初の数年の営業でしか得にくいのです。冒頭の5つのスキルは、このループを回し続けた副産物として、後から身についてくるもの。だから順番に見ていく価値があります。

主体性——「自分が動かないと、何も動かない」を体で覚える

営業の現場には、待っていて好転することがほとんどありません。お客様が呼んでくれることも、放っておいて発注してくれることもない。自分からアポを取り、自分から相手を知ろうとしない限り、一ミリも前に進みません。主体性は、この「自分が起点でしか物事が動かない」環境に身を置くことで、知識としてではなく習慣として染み込んでいきます。 ここで効くのは、考えてから動くのではなく、動きながら考える癖です。完璧な準備が整うのを待っていると、営業では何も起きません。相談する前にまず一歩を出し、出した結果を見てから修正する。この順番を、頭で理解するのではなく体で覚えられるのが、最初の配属が営業であることの大きな価値です。

コミュニケーション——「トーク力」ではなく「事実を引き出す問いの力」

新人が最初にぶつかる壁は、たいてい「売れない」です。そして、その原因をトーク力の不足だと誤解します。けれど、売れる人が持っているのは、よどみなく喋る力ではありません。相手の状況を事実として一つずつ引き出し、本当の課題にたどり着く「問いの力」です。 ここには順番があります。いきなり「なぜですか」と核心を問い詰めると、相手は身構えて本音を閉じてしまいます。まずは、誰が、何に困っていて、予算はどうか、決裁は誰か、いつまでに決めたいのか。こうした事実を、丁寧に、一つずつ集めていく。理由や本音を聞くのは、その事実が十分にそろった後の、最後の手段です。喋って説得しようとする新人ほど売れず、聞いて事実を積み上げる新人が伸びていくのは、このためです。そしてこの「聞く設計」は、どれだけAIが会話を文字起こしする時代になっても、現場で実際に問いを立てた人にしか身につきません。
※著者の体験

新卒の頃、同期は15人いましたが、私は最初の半年の飛び込みで成果はぶっちぎりの一番でした。でも、口が達者だったからではありません。むしろ喋りは得意な方ではなかった。差がついたのは、売り込む前に「誰が、何に困っていて、予算は、決裁は誰で、いつまでに決めたいのか」という事実を、一つずつ丁寧に集めることに徹していたからでした。

喋って説得しようとする同期ほど売れず、聞いて事実を積み上げる人が伸びていく——これを新卒のうちに体で理解できたのは大きかった。理由や本音を聞くのは、事実が十分そろった後の最後の手段です。いきなり「なぜですか」と核心を突くと、相手は身構えて本音を閉じてしまう。この「聞く設計」は、どれだけAIが会話を文字起こしする時代になっても、現場で自分の口で問いを立てた人にしか身につかないものだと思います。

本音でぶつかる——利害が対立する相手との対話は、めったに経験できない

学生時代までの会話の多くは、利害が一致する相手や、対立を避けられる相手とのものでした。けれど営業は違います。こちらは売りたい、相手は安く済ませたい、あるいはそもそも今は要らない。利害が真正面から対立する相手と、それでも前に進む対話をしなければなりません。 この経験は、想像以上に貴重です。断られ続けるうちに、相手の言葉が本心なのかどうかの機微が分かるようになり、同時に「自分はどこまで本音で相手にぶつかれていたか」を突きつけられます。自分の提案の前提そのものを相手にひっくり返され、組み替えられることもある。歩み寄ればいいというものでも、押し通せばいいというものでもない、その難しさの中でしか育たない胆力があります。これをくぐった人は、社内で同じ目的を持つ仲間と本音を交わすことが、どれほど楽でありがたいことかを、心から理解できるようになります。

行動と粘り強さ——ただし「量」を盲信しない賢さも、同時に学ぶ

行動が習慣になり、粘り強さが身につく。これも営業ならではです。断られた相手にもう一度理由を聞きに行く、会えない決裁者にあの手この手でアプローチする。こうした行動を重ねるうちに、「為すべきことは、嫌でも為す」という構えができていきます。 ただし、ここで一つ、賢く学んでおきたいことがあります。それは、行動の「量」を盲信しないことです。たくさん動けば動くほど成果が出る、とは限りません。実際、コールの量と受注の数を調べてみると、ほとんど相関がない、場合によっては逆という組織すらあります。だから本当に身につけるべき粘り強さとは、根性で同じことを繰り返すことではありません。断られた事実を持ち帰り、なぜ断られたのかを事実として確かめ、そこから次の一手を組み直す。この「事実に基づいて粘る」再現性のことです。営業は断られてからが営業だ、という言葉の本当の意味は、ここにあります。
※著者の体験

「行動の量を盲信するな」という指摘は、私がフリーで複数の営業組織を見てきて、最も声を大にして言いたいことの一つです。多くの組織が「とにかく件数を回せ」で現場を動かしますが、実際にコールの量と受注の数を並べてみると、ほとんど相関がない、ひどい時には逆相関という組織すらありました。量を追わせるほど、質の低い接触が増えて、かえって受注が痩せる。

本当に身につけるべき粘り強さは、根性で同じことを繰り返すことではなく、断られた事実を持ち帰り、なぜ断られたかを確かめ、そこから次の一手を組み直す"再現性のある粘り"のことです。「営業は断られてからが営業だ」という言葉の本当の意味は、根性論ではなくここにあると私は思っています。新卒のうちに、量を盲信せず事実に基づいて粘る癖をつけられるかどうかは、その後の伸び方を大きく変えます。

まとめ——AIが商談を解析する時代こそ、営業の“一次体験”の価値は上がる

最後に、いまの時代だからこそ言えることがあります。AIが商談を文字起こしし、内容を解析し、提案書の下書きまで作ってくれる時代になりました。こう聞くと、営業の価値は下がったように思えるかもしれません。けれど、実際は逆です。 AIが作業を肩代わりしてくれるからこそ、若手が現場で得るべきものが、はっきりと浮かび上がります。それは、AIには持てないもの。生身の相手の本音の機微、事実を引き出す問いの立て方、利害がぶつかる場で信頼を築いていく経験です。これらは、画面の外側、商談という現場でしか手に入らない一次体験です。最初の数年で、事実から始まる基本ループを実弾で回し切った人は、その後どんな職種に移っても、そしてどんなにAIが進化しても、それを使いこなす側に回れます。営業から始めることの価値は、昔より下がるどころか、むしろ静かに上がっているのです。
※著者の体験

これは、私が今まさに仕事の中心に置いていることなので、確信を持って言えます。私は今、AIを使って商談の文字起こしを解析し、スコアリングし、提案書の下書きまで作る——そういう仕組みを複数の営業組織で構築しています。作業の多くはもうAIが肩代わりできる。だからこそ逆に、若手が現場で得るべきものが、くっきり浮かび上がってきました。

生身の相手の本音の機微、事実を引き出す問いの立て方、利害がぶつかる場で信頼を築く経験——これらはAIには持てず、商談という現場でしか手に入らない一次体験です。私自身、新卒の飛び込みで基本ループを実弾で回し切った経験があるから、今こうしてAIに何をやらせ、どこに人間の判断を残すかを設計できている。つまり、AIを使いこなす側に回れるかどうかは、最初の数年でこの一次体験を積んだかどうかにかかっているんです。営業から始める価値は、AI時代に下がるどころか、静かに上がっていると本気で思います。

筆者:店長

営業と、競馬と、しゃべる植物。あっAIも。つい、いろいろ作ってしまう人です。

→ 店長の正体(詳しいプロフィール)

Noteも書いてます

営業を"言語化""構造化"する話を、ゆるめに
【12】人間ができることとAIができることそしてAIを使って営業組織に対して僕ができること|晴れ時々AI@西新宿

AIによる業務の効率化、つまり今までヒトがしていたことをAIが代替する。これは大きなイノベーションである。ただ、それはSaaSやスプレッドシート、GASの延長なんだよな。と僕は思っている。 例えば生産性という指標がある。 “売上/人員数”とか“売上/人件費”とかなわけだけど、僕が圧倒的ライフワークのように携わる営業組織においては、生産性向上のために分母を下げに行くAIは多く目にするけど、分子を上げにいくAIの使い方、という意味でいうと意外とイノベーション前夜という感じがする。 営業の業務を効率的にすることはできてもダイレクトに売上を上げにいくという観点のAIの乗車率は40%ぐらいの

店長

Xアカウント:@nishi_sales_ai 新卒で大手IT企業に入社し、飛び込み営業から深耕営業、大手企業担当まで第一線で経験を積む(表彰歴多数)。その後、事業企画・営業企画部門で経営に近い立場から営業組織と数字に向き合い、10年勤続を経て独立。営業組織の改善に特化したコンサルタント企業を立ち上げる。 コンサルタントして数々の現場に入りつつ、自ら営業特化の転職エージェントも運営。近年はAIを活用した営業組織の業務改善・生産性向上プロジェクトに携わる。現場の最前線と経営の両方を見てきた視点から、営業3年目前後がぶつかる壁を越えるための実践知を発信する。

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