営業マンが経験した「奇跡の再会」のエピソード7選!

営業は人と出会うことが仕事です。お客様との出会い。旧友との再会。様々な場面で様々な人と出会います。そうした出会いの中には紙のような確率で起きる奇跡の再会と呼べるものもあるようです。

奇跡の再会

40代 小売業役員

大昔に前職で新人の時に担当していたお客さんと街中で20年以上ぶりに再会した。「お変わりなさそうで何よりです」と挨拶をしたら、チラッと一瞬、私のおでこから頭頂部にかけて視線を向けたことは今でも許せない。

30代 精密機械

転勤した先で前任から引き継いでご挨拶にお伺いしたら「私も中途入社したばかりなんです」と名刺交換したその人が、その直前まで転勤前の場所で担当していたクライアントで窓口をしてくれていた担当者だった。業種も違うしそんなに近い距離じゃないのに、たまたまその人が同じタイミングで転職をしたらしく、奇跡だと思った

30代 工場機器

クライアント先で離婚した嫁が働いていた。離婚後全く連絡を取っていなかったため、全く消息不明だったが、営業に行った時に通された会議室で、直前まで会議をしていたのが嫁とその同僚の皆様だった。言葉を失った。

20代 アフィリエイト営業

2年目の時に新人の教育担当をすることになった。何を教えてもダメな奴だった。半年ぐらいで辞めてしまった。4年後、新規営業で飛び込み営業したのが、その新人が独立して作ったベンチャー企業だった。かなりオシャレなオフィスで従業員も15名ぐらいいて、立派にやっていた。向こうも懐かしいと言ってくれて、その場で発注くれた。色々思うことはあったが、喜んで受注した。

20代 ベンチャー役員

リーマンショック後、就職氷河期でどこにも就職できなかった。その時に職無し彼氏とは付き合えないと当時お付き合いしていた彼女に振られた。一年間フリーターをした後、エンジニアの友達と遊びで作ったWebサイトが大当たりしてトラフィックがすごい勢いで増えた。すぐに法人登記して会社を作ったら広告の問い合わせがすごくて、何もしなくても売上が増え続けた。その噂をきいた彼女と再会することになった。なんとなく予想していたが「ヨリを戻したい」と言われた。仕事が忙しいからって断ったが、正直、サイトが大当たりした時よりも「よっしゃ!」って気分になった。

30代 人材エージェント

人事部長が女性で、ずっと薔薇が好きだとおっしゃってたので、人事部長の誕生日にお客様の最寄駅の近くにある花屋に入ったところ、中学時代に大好きだった初恋の女性が店員さんとして働いていました。卒業以来一度も会っていなかったのだけど、一目見た瞬間にわかりました。残念ながらほとんど中学時代話したことがなかったので、彼女は気づきませんでした。薔薇を一輪購入し、支払いを済ませて店を出た後に、色々な感情が入り混じり思い出したりもしてその後は全く仕事になりませんでした。

20代 旅行関係

お客様との飲み会で一度だけ利用した居酒屋があります。その日に限って体調があまり良くなく、トイレにたどり着く前にドアの前でリバース。店員さんに雑巾をお願いしたところ、女性店員が僕に雑巾を触らせることなく、全て後かた付けをしてくれました。あまりのホスピタリティというか、仕事熱心さに逆に情けなくなりました。行きづらくて、そのお店に二回目行くことができなかったのですが、2年後、まさかの再会。その女性が就活で弊社を志望していたみたいで、面接官として駆り出された面接の場で再会しました。もちろん僕は覚えていないのですが、さすがにそのことは切り出せず、ただ面接の内容もしっかりしていたので、あの時の御恩とばかりに二次面接に行っていただきました。残念ながらそこで落ちたみたいですが、またどこかで一緒に仕事ができればと思っております。

営業の現場では、営業マンへの理解が成果を大きく左右します。本記事で紹介したポイントを振り返り、明日からの業務に少しずつ取り入れていきましょう。

なぜ営業にばかり「奇跡の再会」が起きるのか——確率ではなく母数の話

紹介したエピソードを「紙のような確率」と受け取ると、自分には縁のない話に思えます。でも冷静に見ると、これらは運の良い人だけに起きる特別事ではありません。営業は職業のなかでも人と会う母数が桁違いに多い仕事です。1日に何人と名刺を交換し、何社を訪問し、何年それを続けるか。数年で接点は数千人規模に膨らみます。母数がそれだけ大きければ、そのうちの誰かとどこかで再び交差する確率は、直感よりずっと高くなります。奇跡に見えて、実は統計的にはほぼ必然です

さらに今は、転職と異動が当たり前になった時代です。エピソードの精密機械の担当者のように、人は業種も土地も越えて動きます。相手が動き、自分も動くぶん、点と点が引き合う機会はむしろ昔より増えています。ここで営業3年目という時期が効いてきます。1〜2年目は自分が覚える側で精一杯ですが、3年目あたりから、あなたを覚えてくれる相手が世の中に積み上がり始めます。再会が起きるかどうかは運ですが、再会の「母数」を毎日増やしているのが営業という仕事だと捉え直すと、次の一件の名刺交換の意味が変わってきます。

再会の第一声で試されるもの——気まずさを商機に変える分かれ目

問題は、再会が必ずしも嬉しいものとは限らないことです。相手が離婚した元家族だったり、かつて自分がしくじった場面を見ていた人だったりと、思わず言葉を失う再会もあります。ここで差がつくのは、再会そのものの当たり外れではなく、再会した瞬間のこちらの振る舞いです。久しぶりに会った相手がまず観察するのは、「この人は変わっていないか」「昔と同じように誠実か」の一点です。

だから第一声で、相手の名前と、過去に何をやり取りしたかを具体的に思い出せると、それだけで信頼が一気に戻ります。「あの時の〇〇の件、その後どうなりましたか」と言えるかどうか。逆に、相手は覚えているのにこちらが「どちら様でしたっけ」となると、積み上げた関係は一瞬でゼロに戻ります。これを支えるのが日々の記録です。名刺に会った日付と話した内容を一言添えておく、商談後に相手の関心事をメモに残す。こうした地味な蓄積が、数年後の思いがけない再会の場で、あなたを「覚えていてくれた人」に変えます。気まずい再会を商機に変えられるのは、記憶を運任せにしていない人だけです

縁を偶然任せにしない——切れたつながりを意図的に残す技術

エピソードのなかで示唆的なのは、辞めていった新人が数年後に発注元として現れる話です。これは偶然のようでいて、「一度関わった相手はどこかでまた仕事相手になりうる」という営業の縁の本質を表しています。だとすれば、縁を切らさずに薄く保っておくことは、待ちの姿勢ではなく能動的な営業活動です。

具体的には、退職した同僚や担当を外れた顧客とも、SNSでゆるくつながっておく。年に一度の挨拶や、相手の昇進・異動を見かけたときの一言だけでも、関係は途切れません。社内的にも、担当交代のときに自分の頭のなかだけで関係を終わらせず、記録として残しておけば、その縁は組織の資産として生き続けます。転職や独立で相手の立場が変わったとき、過去に誠実に付き合っていた人のところに、まず声がかかります。奇跡の再会を「起きたらラッキー」で終わらせる人と、再会が起きたときに商談として成立する土台をあらかじめ整えておく人の差は、偶然を待つか、偶然が来る場所を広げておくかの違いです

久々の相手がその場で発注する理由——再会を受注に変える信用の正体

再会がすぐ受注につながるケースには、共通の仕組みがあります。久しぶりに会った相手がその場で仕事を頼めるのは、いま目の前で商品を説明されたからではありません。過去にあなたと交わした仕事の記憶が、そのまま信用の担保になっているからです。何年も前の一件の対応の丁寧さ、約束を守ったこと、無理を聞いてくれたこと——そうした記憶が、久々の相手に「この人になら任せられる」と即断させます。

つまり、再会の場で効いているのは、再会してからのトークではなく、ずっと前に別れた時点でのあなたの仕事ぶりです。ここに実務上の含意があります。今あなたが担当している一件一件は、その顧客との関係が続いている間だけの価値ではなく、担当を離れた後、何年も経ってから回収される信用でもあるということです。目の前の相手が今すぐ大きな発注をくれなくても、その人が数年後にどこかの決裁者になったとき、あなたの名前を思い出すかどうかは、今日の対応で決まります。いま交わす一件一件の仕事の質が、そのまま数年後に引き出せる信用の残高になっていきます

そもそも、営業の出会いに「一期一会」は当てはまらない

ここまで、再会が起きる構造と、それを成果に変える実務を見てきました。最後に、この「奇跡の再会」という言葉そのものを疑ってみたいと思います。奇跡と呼ぶとき、私たちは再会を、めったに起きない幸運な偶然として扱っています。けれど本当にそうでしょうか。

出会いを一つひとつ独立した「点」として見るから、再びの交差が奇跡に見えるのです。営業の人間関係を「線」として捉え直すと、風景は一変します。相手は消えたのではなく、転職し、昇進し、独立し、どこかで働き続けている。自分もまた動いている。動く者同士が長い時間をかけて何度も交差するのは、確率の低い奇跡ではなく、線と線が交わる当たり前の現象です。つまり営業にとっての出会いは、一度きりで完結する点ではなく、また交わることを前提にした線の一部なのです。

だとすれば、茶道でいう「一期一会」――この出会いは二度とないから大切にせよ、という構えは、営業にはそのまま当てはまりません。営業の出会いは、二度とないどころか、二度目・三度目が高い確率で訪れる。むしろ「この人とはまた会う」という前提で今を扱うほうが、現実に即しています。この視点に立つと、いちばん大事なのは再会の瞬間ではなく、その手前にある「別れ際」だと分かります。担当を外れるとき、取引が終わるとき、あるいは今日の商談を終えるとき、あなたは相手の記憶にどんな自分を残しているか。次に交差したときに相手がふっと笑顔になるような別れ方をしているか。奇跡の再会を待つ人は運を待っています。別れ際を整えている人は、次の交差点を自分の手で用意しています。7つのエピソードが教えてくれるのは、縁の不思議さではなく、営業という仕事が、出会いを二度、三度と回収できる稀有な職業だという事実のほうだと思います。

筆者:店長

営業と、競馬と、しゃべる植物。あっAIも。つい、いろいろ作ってしまう人です。

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