未経験なのに「自分は営業が向いていない」と思う理由

未経験なのに「自分は営業が向いていない」と思う人の要因について

営業が未経験で「自分は営業が向いていない」と思う人はたくさんいます。その多くはコミュニケーション能力がない、嘘がつけない、などの営業職そのものの認識が大きく異なっている可能性が高いです。またキャリアを積み重ねた時に、営業現場を知らないということがコンプレックスになっているビジネスマンも一定数います。実際の営業職に対する思い込みと誤解されやすいポイントについてまとめました。

私自身も新卒の時に、営業に向いているとは思っていませんでした。非常に大きな会社でしたが営業に配属された同期についても、向いていないなと直感的に感じたものの、数年のスパンで見ると「向いていない」と当初感じていた人と実際に業績を上げた人の相関はほぼなかったと断言できます。

むしろ、「営業に向いてそう」という表面上のキャラクターだけで、どうにか受注できてしまうという人の方が伸び悩んでしまう傾向があるとさえ言っていいかもしれません。

営業適性がないと思う人の特徴

営業を向いていないと思う人の多くが以下の理由を挙げます。

コミュニケーション能力

強く言えない(押しが弱い)

嘘をつけない

ストレス耐性がない

実際に社会人になる前の大学生に向けてマイナビの「学生の窓口」がとったアンケートにおいて9割近くの学生が営業職を敬遠しているというアンケート結果が出ています。

しかしこれらの多くはかなり営業という職種を誤解しているが故の思い込みであると言えます。

もちろん営業だけでなくどの仕事にも向き不向きがあるので、営業を経験した人が「営業は向いていなかった」と思うことがあるでしょう。しかし未経験で「営業が向いていない」と思う人の多くは杞憂であることが大半です。

もしくは営業を知らないことによる、行きすぎた心配と言ってもいいかもしれません。「自分には営業は向かない」と思う一つ一つの理由について、必ずしもそうではないポイントについて解説していきます。

コミュニケーション能力が自分にはない

コミュニケーション能力の定義とはなんでしょうか?話すことを通じて、自分自身を伝えることでしょうか?それとも相手のことをよりよく知ることでしょうか?おそらく今、あなたが使っているコミュニケーション能力とは、「会話を通じて相手を楽しませる」とか「盛り上げる」という意味合いで使っているのではないでしょうか?もちろんそれらは営業をする上で大きな武器になる一つです。しかし営業に求められるコミュニケーション能力とはそういった類のものが全てではありません。

こちらの記事に書かれているような、ヒアリング能力やグリップする力というのもは一朝一夕で身につくものではありませんし、いわゆる「おしゃべり」が得意な人が長けていると限ったものではありません。

むしろ思慮深い人ほど、適性があるかもしれないことを考えると、今すぐに直ちに「営業に向いていない」とする理由には当たりません。なぜなら誰もがそういったコミュニケーションを常日頃とっているわけではないので、できるかできないかはまだわからないはずです。

自分は強く言えない(押しが弱い)

いわゆる個人宅に訪問して押し売りをするようなイメージが営業のイメージだとするのであれば、それは完全に間違ったイメージです。もちろんそういった営業職があることは否定しませんが、そういった営業スタイルが必ずしも成果に結びついているとは限りませんし、そういう営業スタイルが必ずしも多くの企業の営業マンに求められているわけではありません。

自分は嘘をつけない

そもそもの誤解として、嘘をつく営業マンほど長い目で見たときに結果に繋がりません。営業マンは嘘をついてなんぼという認識は完全に誤っています。営業職に限ったことでもありませんが、ビジネスの世界において嘘をつくというのは積み上げた信頼を一瞬で損なう最低の行為です。

むしろ嘘がつけずにクライアントに対して誠実であることの方が極めてポイントが高いと言えるでしょう。なんでもかんでも正直に知っていることをひたすら伝え続けるのが営業マンとして適切とは限りませんが、それでも、嘘をつく営業マンよりは全然マシです。従って、嘘をつけないということが直ちに営業マンとして機能しないというのは全く誤った認識です。

自分はストレス耐性がない

営業マンは確かに多くのストレスに晒されています。数字、クライアント、場合によっては直属の上司のストレスリソースになりえます。しかし営業マンだけがストレスを抱えているわけではありませんし、大なり小なりどの仕事にもストレスは存在します。

特に営業マンのストレスが大きいという部分があるかもしれませんが、それはストレスが大きいのではなく、「結果が出なかった時に、ストレスと感じるポイントが多い」だけであって、好調な時はそれほど多大なるストレスに晒されるというわけではありません。

ただ、それも営業職として色々なことを経験すると、ストレスとの付き合い方も理解できるようになってきます。逆に結果がついてきた時の営業職じゃないと味わえない楽しさもありますし、「営業経験がない」ことを発端とする「自分は現場を知らない」というコンプレックスを持ったビジネスマンもたくさんいます。特に現場を知るという意味でも、営業を経験しておくことは必ず自分のビジネス人生にプラスになるのではないでしょうか。

営業はコーディネーター職

よく営業はコーディネーターであると言われます。これは特に法人営業に用いられる側面が強いのですが、いわゆるクライアント課題に沿った商品提案や商品活用提案をどのようにしていけるかという点です。

「顔を小さく見せたい」という想いを持った人に対して美容師はどのような提案をするのでしょうか?恐らく美容師によって異なると思います。自分の得意なポイントを織り交ぜてクライアントである顧客にアドバイスをするのと同じように、集客を増やしたいとか、業務を効率化したいとか、従業員満足をあげたいという顧客課題や顧客ニーズに沿って「自社の商品だったらどのような課題解決をしていけるか」を提案し、顧客課題に沿ってコーディネートするのが営業マンの仕事です。

そこにはいわゆる「押し売り」という概念は存在しません。あるとすると「クロージング」という概念で、「できない理由を一つ一つ潰していく」という工程になります。クライアントが不安に思う点についてきちんと聞き出して、自社の商品でも全く問題ない点をきちんとクライアントと一緒に潰していくのが営業マンの大きな仕事になります。

そもそもの営業に向いていないという思い込みについて

「向いている/いない」を性格で判定する発想が、そもそもの誤解

学生の9割近くが営業職を敬遠している、という調査があります。その理由として挙がるのは、コミュニケーションが苦手、押しが弱い、嘘がつけない、ストレスに弱い。どれも「性格」の話です。しかし、営業の成果は性格で決まるわけではありません。

営業の仕事は、突き詰めれば「相手の状況を事実として聞き出し、その課題と自社の商品をつなぎ、不安を一つずつ潰していく」という、繰り返せば誰でも身につくプロセスです。生まれ持った気質ではなく、この型をどれだけ反復したかで差がつきます。つまり向き不向きは、性格診断ではなく訓練量の問題ではないでしょうか。ルールも練習も知らないスポーツを見て「自分は下手だから無理」と決めつけるのは、少し気が早いですよね。

「営業が向いてない」の正体は、たいてい"特定スタイル"への拒否反応

そもそも、営業はひと括りにできる仕事ではありません。法人か個人か、新規開拓かルートか、有形商材か無形サービスか。それぞれ求められる動き方はまるで違います。「自分は営業に向いていない」と感じる人の多くは、実は飛び込みや押し売りといった一部のスタイルを、営業の全体像だと思い込んでいるだけなのです。

押しが弱いと悩む人ほど、課題解決型の法人営業やルート営業では、むしろ信頼されやすいもの。じっくり考える人は、相手の話を深く聞くヒアリング主導の営業で強みになります。嘘がつけない誠実さも、長く付き合う取引ほど効いてきます。だから、一度問いを変えてみてください。「営業が向いているか」ではなく、「どの営業なら、自分の地力が一番効くか」。そうやって解像度を上げると、向き不向きの話は急に現実的になってきます。

未経験者が本当に見るべきは「性格」ではなく「型を学べる環境」

適性が後天的に身につくスキルなのだとすれば、未経験から営業を選ぶときの基準も変わってきます。見るべきは、自分の性格が営業向きかどうかではありません。その会社に「型を学べる環境」があるかどうか。ここです。

具体的には、先輩が商談に同行してフィードバックをくれるか、商談を振り返る仕組みがあるか、未経験から育った人が実際にいるか。面接の場でも「未経験で入った方は、最初の半年でどんなふうに立ち上がっていきましたか」と一つ尋ねてみるだけで、その会社が再現できる型を持っているのか、それとも個人の頑張り任せなのかは、かなり透けて見えるものです。

こうした環境があれば、最初は性格的に不安でも、型はあとからついてきます。逆に、教える仕組みがなく勘任せの職場では、どんな素質を持っていても伸び悩んでしまうでしょう。「自分は営業に向いていないかもしれない」という不安の正体は、性格の問題ではありません。まだ営業の型に一度も触れていないだけ、ということが少なくないのです。触れてみてから判断しても、遅くはないはずです。

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筆者:店長

営業と、競馬と、しゃべる植物。あっAIも。つい、いろいろ作ってしまう人です。

→ 店長の正体(詳しいプロフィール)

店長

Xアカウント:@nishi_sales_ai 新卒で大手IT企業に入社し、飛び込み営業から深耕営業、大手企業担当まで第一線で経験を積む(表彰歴多数)。その後、事業企画・営業企画部門で経営に近い立場から営業組織と数字に向き合い、10年勤続を経て独立。営業組織の改善に特化したコンサルタント企業を立ち上げる。 コンサルタントして数々の現場に入りつつ、自ら営業特化の転職エージェントも運営。近年はAIを活用した営業組織の業務改善・生産性向上プロジェクトに携わる。現場の最前線と経営の両方を見てきた視点から、営業3年目前後がぶつかる壁を越えるための実践知を発信する。

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