どうして不動産営業は未経験でも採用されるのか 未経験で採用された「理由」を武器に変える3つの視点
不動産営業が未経験でも採用される理由は4つあります。1.提案力は未経験でも養うことができるから 2.優秀な人材はどこにいるかわからないから 3.業界の知識は業務の中で学べるから 4.未経験は固定人件費が安いから の4つの理由で、不動産業界は営業未経験でも、業界未経験でも人柄重視で採用される傾向にあります。
どうして不動産営業は未経験でも採用されるのか
不動産営業は特に人の出入りが激しいことでも有名です。つまり離職率が高い業界と言われています。生き残る実力者もいれば、すぐに挫折したり、他の道を志したりする人もいるというわけです。そのような中で未経験者が採用されるのは、いくつかの理由があります。
提案力は未経験でも養うことができるから
優秀な人材はどこにいるのか分からないから
業界の知識は業務の中で学べるから
未経験者は固定人件費が安いから
1.提案力は未経験でも養うことができるから
不動産営業で成果を出す秘訣は「提案力」です。高額な買い物となるために、よほどの購入意欲がなければ契約にはつながりません。つまり、お客さんの潜在的な要望をいかに引き出して、売り出す物件につなげるかがポイントというわけです。このようなスキルを身に付けるためには、自発的に課題発見を行い解決方法を探ることが必要です。
そしてそのような能力は、業界を問わずに持っている人は持っていますし、未経験であっても備わっている人は備わっているためです。平たく言うと未経験でも結果が出る人は結果が出るため、未経験採用が他の業界に比べて多いのです。
2.優秀な人材はどこにいるのか分からない理由
未経験で不動産営業を始めて、頭角を現す人は少なくありません。これが未経験者を採用する理由です。逆に中途半端に不動産営業の経験をアピールする人は、他の会社で成果を出せずに辞めたという人が多いものです。それよりも、他の業界でそれなりの成果を出している人の方が期待できるというわけです。自ら学習し向上心を持つ人材であれば、未経験者でも成果を出せるものです。
3.不動産業界の知識は業務の中で学べる
不動産営業の経験者がそれほどアドバンテージを持たない理由は、必要な知識は実務の中で学べるということにあります。未経験者なら最初のうちは先輩が同行してくれますし、その中で必要なことは学べば良いわけです。また他の業界と比較して、学ぶべき知識がそれほど高度でないという点があります。
機械や最先端の技術よりも大切なのは普遍的な知識であり、大まかな動向です。これは未経験であってもそれほど苦なく学ぶことができるという側面があります。
4.固定人件費が安いという会社側の都合とは
不動産営業はコミッション制をとっていることが多いものです。そして
基本給はかなり安いので、会社側からすれば未経験者を雇ってもそれほどリスクはないということになります。人材育成のための先行投資も行ないませんし、成果を出せない人は自然と辞めていくので余計はコストはかかりません。
逆に未経験であっても成果さえ出せば、かなりの額の収入を手にすることができます。これは会社としてはそれだけ売上がたっているので、その人件費支出は全く問題がないということです。
転職エージェントをやっていた頃、不動産営業への転職を支援した方が6人もいました。印象に残っているのは、まったくの異業種——販売職やメーカー営業から不動産営業に移って、数年後にトップクラスの成績を出した人が、経験者から移った人より明らかに多かったことです。ある方は前職が携帯ショップの販売で、不動産は完全未経験。
面接で先方が見ていたのは物件知識ではなく、「お客さんの言っていないことをどれだけ拾えるか」という一点でした。実際その方は入社後、他の経験者を追い抜いていきました。逆に、不動産営業の経験を長く語る方ほど、選考で苦戦することも少なくなかった。何百人と送り出してきて分かったのは、この業界が本当に見ているのは業界知識ではなく、素直に相手の課題を掘れる提案力だ、ということでした。
「未経験で採れる」の裏返し――武器は知識ではなく提案力だと知る
不動産営業が未経験でも採用されるのは、会社が「業界知識よりも提案力を見ている」から。この点は、記事のとおりです。ここで、すでに現場を経験しているあなたに、一度立ち止まって考えてほしいことがあります。
あなたが採用された理由が知識ではなかったのなら、3年目の今も、武器の中心は知識ではないはず、ということです。
経験を積むと、覚えた物件情報や制度の知識に、つい寄りかかりたくなります。ですが、高額な買い物である不動産では、知識を並べるだけでは契約になりません。お客さんが口にしていない要望――たとえば「本当は通勤の便より子どもの学区を優先したい」といった潜在的なニーズを引き出せるかどうか。ここが、成果を分けます。中途半端に経験を語る人が伸び悩むのは、知識に頼って、この課題を掘る力を磨かなくなるからです。
実際、他社で不動産営業の経験を積んだ人より、まったく違う業界から来た未経験者のほうが頭角を現す。これは珍しくありません。前の職場のやり方に縛られず、目の前のお客さんに素直に向き合えるからです。3年目のあなたにとっての落とし穴も、まさにここにあります。3年ぶんの知識と成功体験が、いつのまにか「このタイプの客はこうだ」という思い込みに変わっていないでしょうか。採用された理由に立ち返る。
知識ではなく、一人ひとりの課題を掘る提案力こそを、これからも磨き続けましょう。
エージェントとして送り出した方のその後を追っていると、面白い共通点がありました。異業種から未経験で入って伸びた人ほど、「前職のやり方」を持ち込まなかったんです。ある転職者は、前の会社では通用したトークをあえて全部捨てて、目の前のお客さんの話をゼロから聞くことに徹したと言っていました。
逆に、経験者ほど「このタイプの客はこう」という過去の型に寄りかかって、伸び悩むことがあった。私が相談に乗る中で、3年目前後の方に必ず伝えていたのが「あなたが採用された理由は知識じゃなかったはず。だから今も武器の中心は知識じゃない」という一言でした。成功していった人は、例外なくこの原点に何度も立ち返っていました。
高い離職率は「淘汰の仕組み」――残ったあなたの次の一手
この業界の離職率の高さは、裏を返せば「合わない人は自然に辞めていく」という淘汰の仕組みが働いている、ということでもあります。コミッション制で基本給が抑えられているぶん、会社は未経験者を多く採り、成果を出せた人だけが残る設計です。厳しい言い方に聞こえるかもしれません。ですが、3年目まで生き残ったあなたは、その時点ですでに上位にいると言っていいのです。
ただし、この設計にはもう一つの意味があります。会社は手厚い人材育成の先行投資をしない、ということです。つまり、
あなたの成長は、あなた自身で設計するしかありません。誰かが研修を用意してくれるのを待つのではなく、成果を出している先輩の商談に自分から同行を願い出る。うまくいった契約と、なぜ失注したのかを自分で振り返る。こうした学びを自分から取りにいける人が、淘汰される側ではなく、生き残る側に回っていくわけです。
もう一つ、コミッション制には見落としがちな側面があります。成果さえ出せば、未経験からでも大きな収入を手にできる、という点です。これは裏を返せば、会社があなたの働きに正当に報いる余地が大きい、ということ。だからこそ、目先の一件を値引きで無理に決めにいくより、自分の提案力を一段引き上げて、単価の高い契約や紹介につなげるほう。こちらのほうが、長い目で見た自分の収入にも直結します。淘汰の仕組みの中で守りに入るのではなく、その仕組みを自分の成長の追い風として使う。この発想の切り替えが、3年目からの伸び方を変えていきます。
今度は自分が「未経験の戦力化」を担う番
そして3年目は、いよいよ自分が未経験の後輩を見る番が回ってくる時期でもあります。ここで思い出したいのが、会社は育成に先行投資をしない、という前提です。だからこそ、後輩を早く戦力にできるかどうかは、現場にいるあなたの関わり方にかかっています。
このとき、業界知識をひたすら教え込もうとするのは、あまり得策ではありません。知識は、実務の中で自然と身についていくからです。それよりも、
最初の同行で見せるべきは、お客さんの潜在的なニーズをどう引き出すか、という提案力の型。あなたがどんな質問で相手の本音を掘っているのかを、隣で見せるのです。そして商談の後に、「今の質問、なぜしたと思う?」と問い返し、本人に言葉にさせてみましょう。未経験でも成果が出る人は出る。その源にあったのは、この提案力でした。ならば育成で渡すべきものも、そこにあるわけです。
とはいえ、いきなりすべてを任せる必要はありません。最初のうちは同行して見せ、次は簡単な場面から任せ、うまくいかなかったら一緒に振り返る。この順番で、少しずつ本人に主導権を渡していくのが現実的です。未経験の後輩がつまずくのは、たいてい知識ではありません。お客さんの本音に踏み込む、その一歩の勇気の部分です。そこは、あなたが隣で一度やってみせれば、驚くほど早く越えられます。自分が採用されたときの理由を、今度はあなたが後輩に手渡していきましょう。それができたとき、あなたは成果を出す営業から、成果を生み出す人を育てられる営業へと、もう一段上がっているはずです。
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店長
Xアカウント:@nishi_sales_ai
新卒で大手IT企業に入社し、飛び込み営業から深耕営業、大手企業担当まで第一線で経験を積む(表彰歴多数)。その後、事業企画・営業企画部門で経営に近い立場から営業組織と数字に向き合い、10年勤続を経て独立。営業組織の改善に特化したコンサルタント企業を立ち上げる。
コンサルタントして数々の現場に入りつつ、自ら営業特化の転職エージェントも運営。近年はAIを活用した営業組織の業務改善・生産性向上プロジェクトに携わる。現場の最前線と経営の両方を見てきた視点から、営業3年目前後がぶつかる壁を越えるための実践知を発信する。
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