クライアントとの間に生じたカオスな営業マンのエピソード4選!
営業を長くしていると、すごく不思議な体験や不快な体験、ビジネスの奥深さ?を垣間観ることがあります。これも営業の醍醐味?社会経験?とりあえず稀有な体験をまとめました。
混沌
20代 保険
「◯◯ちゃんは娘みたいだ」って可愛がってくれるお客さんがいた。可愛がってくれるというかほぼセクハラだった。ほぼ毎週飲みに誘われるから断れなかった。ノリがいい私もある程度許せたが結構限界に近づいていた。上司も「我慢できなくなったら切るから言え」と言ってくれた。いつも接待の時に、肩まで手をまわされていたのは笑って流していたが、お尻を触られてプッツンしてしまった。
初犯だったら「やめてくださーい」とかかわいく言えたけど、それまでの鬱憤もあって、何も言わずにそのまま帰った。鬼の着信があったけど、全て無視した。後日上司が取引停止を申し伝えに先方に出向いて終わった。特に謝罪されたりとかはなかった。上司からの伝言は「酒を飲みすぎて覚えていないとのことだ」だけだった。次の被害者が出る前に倒産しろって思ってる。
非公開 ITベンチャー
請求書の桁を一桁多く間違えた。と言っても3万円と30万円。普通に誰も気づかずにそのまま請求書が送られて、支払いも完了された。四半期決算のタイミングでクライアントが気づいた。「ミスは仕方ないけど、チェックはしっかりしてよ!」とクライアントに怒られた。自分の会社が悪いのは認めるけど、心の中で「いやお前もな」と思った。とりあえずひたすら上司と一緒に謝っといた。
30代 化粧品
随分前に取引したことのあったクライアントがオフィスの引越しをすると言ってFacebookにあげていた。そうなんだと思って普通に放置していた。後日呼び出されて、「なぜ御社は引越し祝いを届けなかったのか。今後の取引を考えたい」と先方の社長に言われた。ていうか社長はその時初対面だった。よくわからないけどとりあえず謝っておいた。帰り際に「ていうか今もう取引ないじゃん」って思い出すとふつふつと怒りが湧いてきた。
30代 自動車
お客さんの会社が倒産することになった。直前にその情報が入ってきて、すぐに会社に向かった。それほど大きな額ではなかったので、大きな痛手にはならなかったが、少しでも支払ってもらえないか交渉のために。
運良く社長を捕まえることができたが、「どこを探しても金はないぞ。会社中のどこでも探してくれて結構」と言いだして、社長が自分から服を脱ぎ出した。止めていいものかわからず、黙って見ていることしかできなかったが、本当にお金がないのは伝わってきた。
クライアントを意識するだけで、結果は変わります。お伝えした内容を、次の商談や日々の行動に落とし込んでいきましょう。
客だからと我慢しない ― ハラスメントへの対処
営業をしていると、相手が客だからと、こちらが理不尽を我慢しなければならない場面に出くわすことがあります。とくに、立場や人間関係につけ込んだハラスメントは、笑って受け流しているうちに、どんどんエスカレートしがちです。ここで肝に銘じたいのは、取引を守るために、自分の尊厳まで犠牲にする必要は一切ない、ということです。相手が大事な客であっても、我慢していい限度を超えられたら、こらえることは美徳ではありません。まずやるべきは、自分だけで抱え込まないこと。早い段階で上司に状況を共有し、「こういうことが起きている」と事実を伝えておく。会社としてどう対応するかは、あなた一人が背負う問題ではなく、組織で判断すべきことです。そして、やり取りの記録を残しておく。日時や内容をメモしておけば、いざ会社が動くときの根拠になります。客を失う恐れよりも、自分を守ることを優先してよい。それを許してくれる職場かどうかも、日ごろから見定めておきたいところです。
請求ミスは防ぎと後始末の両輪 ― チェック体制と、起きた後の初動
金額の取り違えや請求のミスは、どれだけ気をつけても起こりえます。大切なのは、防ぐ仕組みと、起きた後の動き方の両方を持っておくことです。防ぐ側では、金額や桁は、作った本人だけでなく、必ずもう一人の目を通す。自分で作った書類は、思い込みで見落としやすいものです。特に桁がひとつ違うようなミスは、金額が大きく変わるわりに、ぱっと見では気づきにくい。第三者の確認を一手間はさむだけで、その多くは防げます。それでも起きてしまったら、隠したり、様子を見たりせず、気づいた時点ですぐに報告するのが鉄則です。相手が気づいてから発覚するのと、こちらから先に申し出るのとでは、受け取られ方がまるで違います。詫びるときは、言い訳を先に立てず、まず非を認める。そのうえで、再発を防ぐために何を変えるかまで示せれば、ミスはかえって、きちんと向き合える相手だという評価に転じることさえあります。
何でも謝ればいいわけではない ― 理不尽な要求の見極め方
営業をしていると、時に、筋の通らない要求や、一方的な言いがかりを突きつけられることがあります。慣習を持ち出して見返りを迫られたり、こちらに非のない話で責められたり。こういうとき、事を荒立てたくない一心で、とりあえず謝ってその場をしのぐ人は多い。ですが、何でもかんでも謝ればいいわけではありません。安易な謝罪は、相手の理不尽な要求を、こちらが正当なものとして認めた、という形になりかねないからです。まず必要なのは、その要求が、応じるべき正当なものなのか、ただの言いがかりなのかを、冷静に見極めることです。こちらに落ち度があるなら、素直に詫びる。しかし、筋の通らない要求には、角を立てずとも、応じられないものは応じられないと、静かに線を引く。すべてに笑顔でうなずくことが、良い関係を作るわけではありません。通すべきでない要求まで飲む相手は、かえって次々と無理を重ねられます。理不尽に対しては、まず見極め、そのうえで応じる範囲を決める。この順番を守ることです。
取引先の異変に備える ― 与信と、倒産時の初動
取引先が突然、経営に行き詰まる。営業を続けていれば、そうした場面にも出くわします。売った代金が回収できなければ、それはそのまま自社の損失になります。だからこそ、日ごろから相手の「払う力」に目を配っておくことが欠かせません。支払いが少しずつ遅れ始めた、急に態度が変わった、担当者が次々と辞めていく。こうした兆候は、経営が傾きかけているサインかもしれません。異変を感じたら、取引の額を抑えたり、支払い条件を見直したりと、早めに手を打っておく。そして、いざ倒産という情報が入ったら、動きは速さが勝負です。他の債権者に先んじて、少しでも回収できるよう、すぐに相手に連絡を取り、状況を確かめる。ただし、本当に資金が尽きた相手からは、どう交渉しても取り戻せないこともあります。大切なのは、一件の焦げつきで自社が傾かないよう、取引先を一社に偏らせず、リスクを分散しておくこと。守りの備えは、平時のうちにしかできません。
そもそも営業とは、会社の内と外の「境界」に立ち、制御できない世界と向き合う仕事である
ここまで、営業がぶつかりがちな理不尽への対処を見てきましたが、最後に、そもそもなぜ営業には、こうしたカオスがつきものなのかを考えてみたいと思います。同じ会社にいても、内勤の人が、これほど不条理な目に遭うことは、そう多くありません。営業だけが、なぜか次々と、想定外の出来事に見舞われる。それは、営業という仕事が立っている「場所」に理由があります。
会社の中は、いわば秩序の世界です。ルールがあり、手順があり、おおむね予測のつく理屈で物事が動いていく。ところが、営業の仕事は、その秩序の世界から一歩外へ出て、自分たちのルールが通じない相手と向き合うことです。取引先には、こちらとは別の事情があり、別の理屈があり、その日の機嫌があり、時には、まっとうとは言いがたい人もいる。営業とは、会社という秩序の内側と、何が起こるか分からない外の世界との、ちょうど境目に立つ仕事なのです。そう考えれば、理不尽やカオスに出くわすのは、あなたの不運でも、力不足でもありません。制御のきかない世界と接する、その立ち位置そのものが呼び込む、いわば宿命のようなものです。
この見方に立つと、営業に本当に必要な力が、少し違って見えてきます。それは、すべてを想定通りに運ぶ力ではありません。境界の外側は、そもそも思い通りにならないのですから。求められるのは、想定外の理不尽に出会ったときに、それに飲み込まれず、自分を保っていられる力のほうです。その要になるのが、相手の理不尽を、自分の値打ちの問題と取り違えないことです。客が理不尽なのは、多くの場合、その相手の事情や人柄の問題であって、あなたが至らないからではない。そこを切り分けられれば、不当な扱いを受けても、心まで削られずに済みます。
だからこそ、こうしたカオスな出来事は、自分の落ち度だと思い詰めるのではなく、境界に立つ仕事につきものの光景として、少し引いて眺めるくらいが、ちょうどよいのだと思います。理不尽をなくすことはできません。境界に立つ以上、それは避けようがない。けれど、避けられないものだからこそ、そこに人格まで巻き込まれない構えを持っておくこと。それが、この仕事で心をすり減らさず、長く立ち続けるための、いちばんの守りになります。そして、そのときは苦々しかった出来事も、いつか誰かに笑って語れる一つの経験へと変えていける人が、結局のところ、営業を長く続けられる人なのだと思います。

