クライアントとの急な飲み会。接待費扱いで経費にできる?割り勘?支払いはどうする?

クライアントとの飲み会での支払いは常に営業側が負担するというのが普通というわけではありません。相手との年齢差や先方の役職、関係性などによって様々なケースが想定されます。特に守りたいのが支払い以上の領収書を、クライアントの目の前で受け取らないことと、奢ってもらった時に、しっかりと次回奢らせてもらうなどの姿勢を見せておくことです。

クライアントとの飲み会での支払いについて

予め準備された接待などであれば、事前にどちらが持つかなどについて相談されていたり、上司に接待費として経費清算していいかなどの相談ができますが、突然クライアントと飲みに行くことになったというケースもあると思います。そういった時に、どのような支払いの心づもりをしておけばよいかを予め知っておきましょう

どちらが誘ったか

クライアントから誘われたのか自分が誘ったかによって、どちらが支払うべきかというあるべき論を決める人もいます。例えば自分から誘ったんだったらあなたが払えよ、と思う人も世の中にはいます。もし自分から誘ったのだったら、先に財布を出しておくぐらいのことは下方がよいかもしれません。

年齢で考える

自分がまだ20代の営業マンでクライアントが50代の社長だっとします。二人で飲みに行きました。営業なので接待で、というわけにはいかないでしょう。さすがにそれほど歳や役職に乖離があると、支払いをすること自体が失礼と感じる人もいます。無難なのは、支払いの時に財布を出して、お金を出すところまでする

もしかすると先方が受け取るかもしれませんが、それはそれで支払い、もし拒絶されたらお言葉に甘えて支払っていただき「次回はぜひ支払わせてください」とか「二軒目は自分に支払いさせてください」と一言添えておけば、問題ないでしょう。

全額支払ってしまって後で考える

例えばクライアントの方が年下で、自分が全額払った方がベターかもしれないと思った時は、全額支払ってみるのも一つの手段です。全額支払うそぶりを見せた時に、もし相手が支払いをする意思を見せたのであれば、相手との関係性を考慮して受け取るか拒絶するかを決めましょう。

受け取ったら角が立つということが絶対ないとは言い切れませんが、それで関係性が著しく悪くなるということは考えにくいでしょう。どっちにすればよいかわからなくて迷うぐらいだったら、全部自分が払いたいと思うのであれば、「接待費で落ちるので支払いさせてください」というと、割と多くの人が引き下がってくれます

その上で本当に接待費として経費清算申請するかどうかは、会社のルールによります。現状ほとんどの会社で接待は事前申請になっていますし、接待と認められる要件などが定まっている場合もあります。しかしこれらのルールはある程度の突発性や例外がある上で運用されているケースがあるのも事実です。

自分としては経費清算として処理したいのであれば後日、上司に対して経緯を説明し、判断を委ねてみるというのも一つの手段です。心配しなくとも上司は上司でそのような相談には乗り慣れているはずなので、「ダメな時はダメとしっかり言われて終わり」ですので、必要以上に気を揉む必要はありません。

トイレに行くフリや飲み会の前の少しの時間を使って上司に判断を仰ぐ

どうしても自分でベターな選択肢が判断つかないケースは、電話などで上司に判断を仰ぐというのも一つの手です。一つは接待扱いになるのかどうか、相手のことを上司が知っているのだとしたら、どのような支払いがベターと思うかなどを相談してみるといいでしょう。

自分の判断に不安があり、どうしても失礼があってはいけない相手であり、なおかつそれにより自分が安心するのであれば、上司に判断を委ねてみてもよいでしょう。

避けたいのは支払い以上の領収書を自分が手にすること

一気にクライアントからの信用を失う可能性があるのが、割り勘で支払いをしたり全額クライアントに出してもらったのに、領収書を自分が手にすることです。これは支払い以上の経費清算をするというポーズに受け取られても仕方ありません。もし領収書を自分が手にしたのだとしたらクライアントに渡しましょう

先方が受け取りを拒否したり、「いらない」といった場合は、お店に対して領収書やレシートは不要である旨を告げるか、クライアントの見ていないところで財布にしまうようにしましょう。領収書を自分が持ち帰っていることを知られるのはよい印象を与えない可能性があります。

会社のルールは比較的「遊び」がある運用になっているケースも

領収書がほしいが受け取れないということを想定した社内ルールになっているところも多くあります。例えば領収書代用書の提出で経費清算対応をするような会社もありますので、事前に自社のルールを知っておくのがベターです

その誘い、受けるか断るか ― 急な一杯への応じ方

接待として段取りされた飲みと違い、急な誘いは、その場で受けるか断るかを判断しなければなりません。まず押さえたいのは、無理に全部受ける必要はない、ということです。先約や体調、家庭の事情があるなら、断ることは失礼にあたりません。ただ、断り方には気を配りたい。「今日はどうしても外せない用があるのですが、ぜひ改めて」と、断ると同時に、次につなぐ一言を必ず添える。これがあるだけで、相手は誘いを無下にされたとは感じません。一方、受けると決めたなら、少し前のめりに応じるとよい。急な誘いにさっと乗ってくれる相手には、人は心を開きやすいものです。予定をやりくりしてでも一度付き合うことが、後の関係を大きく変えることもあります。要は、毎回受けることでも、機械的に断ることでもなく、そのときの状況と相手を見て、応じ方を選ぶこと。急な誘いへの応じ方一つに、相手との距離の詰め方が表れます。

席での立ち回り ― 聞き役に回り、ペースを守る

席に着いたら、次に問われるのは立ち回りです。ここで意識したいのは、自分が話すより、相手の話を聞くことに回ることです。飲みの席は、相手が普段は口にしない本音や、仕事の背景にある思いを、ふとこぼす場でもあります。こちらが一方的にしゃべってしまっては、その貴重な機会を潰してしまう。相手の話に興味を持って耳を傾け、「それでどうなったんですか」と続きを促す。相手が気持ちよく話せる聞き手でいることが、何よりのもてなしになります。もう一つ大切なのが、酒のペースです。相手に合わせようと飲みすぎて、足元が怪しくなったり、口が軽くなったりしては元も子もありません。楽しく飲みつつも、自分の量はわきまえておく。酔って失言したり、翌日の仕事に響いたりするようでは、せっかくの席が逆効果です。よく聞き、ほどよく飲む。この二つを守るだけで、席での振る舞いは、ぐっと締まって見えます。

会が終わってからが大事 ― お礼と、席で出た話の回収

飲みの席は、その場で終わりではありません。むしろ、翌日からの動きが、関係を左右します。まず、翌朝のうちに、短くてよいのでお礼の連絡を入れる。「昨夜はごちそうさまでした。あのお話、とても勉強になりました」と、具体的に触れると、社交辞令ではない気持ちが伝わります。そしてもう一つ、忘れてはならないのが、席で出た話の回収です。打ち解けた場では、相手が仕事上の悩みや、こんなものがあれば助かる、といった要望を、ぽろりと漏らすことがあります。その一言を、酒の場の与太話として流さず、翌日きちんと拾い上げる。「昨夜おっしゃっていた件、こんな形でお力になれるかもしれません」とつなげられれば、飲みの席が、そのまま次の仕事の入り口になります。楽しく飲んで終わりにするか、そこで得たものを仕事に結び直すか。この後始末の差が、ただ飲みに行く人と、飲みを活かす人とを分けます。

近づいた距離の扱い ― 情に流されないための線引き

飲みを重ねて距離が縮まるのは、営業にとって喜ばしいことです。ただ、近づいたぶんだけ、気をつけたいこともあります。親しくなると、相手の頼みを断りにくくなり、判断が甘くなりがちだからです。仲の良さに引きずられて、応じるべきでない値引きや、無理な条件を、つい飲んでしまう。あるいは、他の取引先と比べて、その相手だけを特別扱いしてしまう。こうなると、縮めたはずの距離が、かえって仕事の重荷になりかねません。だからこそ、どれだけ打ち解けても、営業としての判断は、それと切り分けておく必要があります。プライベートで親しいことと、取引の条件を通すこととは、別の話だと自分の中で割り切る。良い関係とは、何でも聞いてあげる関係ではなく、親しさの上でも、通すべき筋はきちんと通せる関係です。近づきながらも、流されない。この距離の取り方こそが、長く付き合っていける相手であり続けるための、静かな下支えになります。

そもそも取引先と飲むとは、「役割」を脱いで、人と人として向き合う時間である

ここまで飲みの席の実務を見てきましたが、最後に、そもそもなぜ営業は取引先と飲むのか、その飲みの場が何をしているのかを考えてみたいと思います。支払いや領収書の作法にばかり気を取られていると見えにくいのですが、商談の席と飲みの席の間には、決定的な違いが一つあります。それは、まとっている「役割」を、脱げるかどうかです。

打ち合わせの席では、どうしても、双方が役割を身にまとって向き合います。こちらは売る側、相手は買う側。その立場を意識しながら、言葉を選び、腹の内を見せずに話す。それは仕事として当然のことですが、そこで交わされるのは、あくまで役割どうしの会話です。ところが、同じ相手と酒を酌み交わすと、その役割が少しだけ緩みます。肩書きや損得をいったん脇に置いて、一人の人間どうしとして、笑い、こぼし、素の顔を見せ合う。飲みの席の本当の値打ちは、うまい料理でも、酔いの楽しさでもなく、この、役割を脱いで向き合える数時間そのものにあります。

なぜ、それがそれほど大切なのでしょうか。仕事上のつながりが、売り手と買い手という役割の関係だけでできていると、その関係は、驚くほどもろいものです。ひとたび納期の遅れや、こちらの失敗や、厳しい交渉ごとが持ち上がれば、損得だけで結ばれた糸は、あっけなく切れてしまう。けれど、その役割の下に、一人の人間として通じ合った層がわずかでも敷かれていれば、関係は、多少きしんでも、そう簡単には切れません。相手の顔が見えているぶん、もう少し踏ん張ろう、と互いに思える。飲みの席で本当に育てているのは、酒でも情報でもなく、取引がきしんだときに効いてくる、この人と人との層なのです。

そう捉え直すと、あの支払いをめぐる細やかな気づかいの意味も、腑に落ちてきます。奢り奢られのつり合いに気を配り、身銭を切る姿勢を見せるのは、けちだと思われないためではありません。お金の勘定を前に出しすぎると、せっかく緩みかけた役割が、また「売り手と買い手」へと引き戻されてしまう。それを避け、あくまで人と人として過ごす時間を守るための配慮なのです。飲みの席でこちらが本当に差し出しているのは、酒代でも接待でもなく、役割を脱いだ自分自身にほかなりません。だからこそ、その席を大切にできる人は、取引が続くかぎり効いてくる、目に見えないつながりを、少しずつ厚く育てていけるのだと思います。

終わりに

お酒の席のマナーは営業にとって大切な側面であることは否めません。常にどんな時でもクライアントとの飲み会は営業側負担であるというわけではありません。相手に応じて適切な場面もありますし、持ちつ持たれつというのがよいケースもあります。奢り奢られがイヤだという人もいます。

一方であまりに個人的な付き合いだったり、接待の場でほとんど親睦を深めるわけでもなくただの友人との飲み会との延長のようなケースだと経費清算するには適さないケースもあります。相手との関係性を見極めながら、どのような形が望ましいのかということを場数を踏みながら学んでいくのがよいと言えそうです。

また先述したように、もし奢ってもらったのだとしたら、その場でのマナーとして次回は自分が支払うということであったり、二軒目をお誘いしながら自分に支払わさせてもらうなど、できればフィフティフィフティの関係性を維持したいという姿勢を見せた方がいいでしょう

筆者:店長

営業と、競馬と、しゃべる植物。あっAIも。つい、いろいろ作ってしまう人です。

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