5W1Hの使い方|商談準備や提案書で差がつく実践のコツ
今や誰もが知っている5W1H。ビジネスシーンにおいては特にメールや報告書、電話でメモをとる際に活躍します。しかし使い方次第では伝え方のスキルをもっと向上させられます。
はじめに
ほとんどのビジネスマンが知っている「5W1H」。
あなたは、このフレームワークを使いこなしている自信はありますか?
基本を知っていることで、報告書やメール等で、相手に状況を正確かつ簡潔に伝えることができます。さらに、5W3Hと6W2Hといった応用も可能。
活用できるようになることで、明らかに仕事の効率があがりパフォーマンスが向上していくことを実感できるはずです。
それでは、基本の知識からおさえていきましょう。
#基本編
・5W1H
- When いつ
- Where どこで
- Who だれが
- What なにを
- Why なぜ
- How どのように
学生時代に学んで、誰もが知っている5W1H。
ビジネスシーンにおいては特にメールや報告書、電話でメモをとる際に活躍します。
使う際は、この「順序」が最も大事だということ知っていましたか?
無意識に入れ替えることで、分かりにくくなっているケースが散見されます。
下の例文をご覧ください。
例文
①順序どおり
- When 今日、
- Where オフィスで、
- Who 私は、
- What 報告書を書くことにしました。
- Why パソコンを忘れたため、
- How 手書きで進めました。
②順序変更
- Who 私は、
- What 報告書を書くことにしました。
- Why パソコンを忘れたため、
- How 手書きにしました。
- When 今日、
- Where オフィスでの話です。
似たように見える、ふたつの文章ですが
後者の方が少しまどろっこしく感じないでしょうか?
特に心がけるとわかりやすくなるのは、
When(いつ)、Where(どこで)、Who(だれが)を先にすることです。
聞き手側(読み手側)が頭の中でシーンを思い浮かべやすくなるためだと言われています
ちょっとした違いですが、
会話やメールの中ではついつい、やりがちなため意識をしてみてください。
格段にコミュニケーションの精度があがってくるはずです。
#応用編
・6W2H
- What 仕事の内容、種類
- Why 目的、狙い、背景
- Who 担当者、組織、人数
- Whom 相手、客、人数
- When 時期、時間、季節、頻度
- Where 場所、位置、屋内外
- How 方法、進め方、アクセス、期待値
- How much 予算、数量、単価
ビジネスの現場になると、上記のようにさらに精緻化すると
より業務活用がしやすくなるかもしれません。
基本の5W1Hに2つ追加した、5W3H。
- How many どのくらい
- How much いくら
- さらに…、Whom だれに
を追加すると、最大応用の「6W2H」となります。
5W1Hは目の前の人とのコミュニケーションを円滑にし、
業務を進める効率があがりますが、
関係者の多い仕事になってきた場合は、応用編の活用をおすすめします。
例えば、新しい取引先や、はじめてのプロジェクトメンバーとの仕事。
交渉や打ち合わせなどで、様々な決め事が発生し得る業務というようなイメージです。
新規事業の要件概要を伝えるようなシチュエーションにおいても、
抜け漏れが発生しにくくなってくるはずです。
例、大手飲料メーカーの新規事業
仕事内容
飲食移動販売(軽トラック)
目的・ねらい
ゆっくり食事をする時間のないビジネスマンに向けて、健康を維持してほしい
簡単に済ませたい、お金をかけたくない、仕事しながらでも食べられる、栄養とれる、
新商品を試してほしい
場所
丸の内、東京、新宿、新橋、御茶ノ水、秋葉原
人数
移動販売車を各ポイントに1台ずつ、販売スタッフは2名
調理製造に8名
対象
ビジネスマン(お小遣い制)
時間
平日限定 11時~15時、18時~20時
方法
ホットドック・ピタサンド+ドリンク セット販売のみ
価格350円
食事は手づくり
ドリンクはコーヒー、お茶、炭酸飲料から選ぶ
新商品のものを提供する(今後の販売促進を図る)
数量
ランチ帯 各80食
残業帯 各50食
試用1か月で、販売数の増減を各ポイント毎に再検討し決定する
価格
販売価格300円
移動販売車購入経費、人件費、材料費、資材費、各種証明経費…
というような具合です。
最後に
基本編、応用編ともに読んでみればできているように感じる簡単なことだと思います。
最も大切なことは、必要なことが正確に伝わっているかどうかです。
ビジネスシーンにおいては、アピールをすることが先行して適切な情報が相手に伝わっていないということも多くあります。得るもの以上に、非効率やトラブルを起こす原因にもなるのです。
基本を押さえた上での、装飾や個性出しはさらにあなたの仕事を魅力的にしてくれるはずです。
5W1Hを使いこなすことで、「わかりやすく」伝え、最大のパフォーマンスを狙えるビジネスマンになっていくはずです。
商談前の「下ごしらえ」に5W1Hを使う
提案書づくりや商談準備でつまずく方の多くは、5W1Hを「自社の商品説明を整えるため」に使ってしまっています。ですが、営業の現場で効くのは、六つの枠を相手側の情報に向けて並べたときです。Who(決裁者は誰で、窓口の担当者とは別か)、What(相手が本当に解決したい課題は何か)、Why(なぜ今それに取り組むのか、予算がついた背景や社内の事情は何か)、When(導入や意思決定の時期はいつか)、Where(実際に使う部署や現場はどこか)、How(どんな体制で運用するのか、予算感はどのくらいか)を、商談に入る前に一度書き出してみてください。
ここで大事なのは、埋まらなかった枠の扱いです。空欄になった項目は、そのままヒアリングで聞くべき質問リストになります。たとえばWhoが埋まらないなら「ご稟議はどなたが最終判断されますか」、Whyが書けないなら「今このタイミングで動かれている背景をうかがえますか」と、次の商談で確かめる論点が自動的に見えてきます。営業3年目の方は、自社製品のWhat(機能)とHow(使い方)はよどみなく語れる一方で、相手のWhyやWhoが空欄のまま提案に入ってしまいがちです。その空欄を埋めないまま出した提案は、内容は正しくても相手の状況にかみ合わず、決裁の場で止まりやすくなります。
依頼・情報共有は「相手が動ける順番」で並べる
課題整理やチームへの情報共有で5W1Hを使うときは、並べる順番を「相手が次に何をすればいいか分かる順」に組み替えると、伝達の精度が上がります。依頼や引き継ぎのメッセージで、長い経緯(Why)から書き始めてしまうと、受け取った側は最後まで読まないと自分が何をすべきか分かりません。まずWhat(何をしてほしいか)とWhen(いつまでに)を先頭に置き、続けてWho(誰が担当か)とHow(どう進めるか)を添える形にすると、相手はすぐに動けます。
情報共有でありがちな失敗は、主語を省いた曖昧な依頼です。「これ、対応しておいて」という一文には、誰が・いつまでに・何を、が抜けています。受け取る人によって解釈が分かれ、結局やり直しになりかねません。課題整理の場面でも同じで、起きている症状(What)だけを書き連ねるのではなく、なぜそれが起きているのか(Why)を分けて書くと、その場しのぎの対処なのか、根本の原因に手を打つ話なのかが切り分けられます。5W1Hは、抜け漏れを防ぐだけでなく、事実と原因を仕分ける物差しとしても働きます。
「埋めれば安心」ではない ― 誤用の典型パターン
5W1Hは、六つの枠を埋めること自体が目的になった瞬間から、かえって伝わらなくなります。代表的なつまずきを挙げておきます。
一つ目は、Whoをぼかす言い回しです。「◯◯が実施された」という受け身の書き方は、一見きれいにまとまって見えますが、誰が主体で誰に責任があるのかが消えてしまいます。二つ目は、Whenを主観で書くことです。「早めに」「なるはやで」といった表現は、人によって数時間から数日まで解釈が揺れます。日付や時刻で示すだけで、認識のずれはほぼなくなります。三つ目は、Howばかりを厚くしてWhyを空欄のまま進めることです。手段の説明は詳しいのに目的が書かれていないと、読み手は「で、何のために?」という疑問を抱えたまま読み進めることになります。四つ目は、相手の知りたい順ではなく、自分の書きやすい順で並べてしまうことです。六つを全部埋めても、順番が相手基準になっていなければ、情報量が多いほど逆に要点が埋もれます。埋めた数の多さと、伝わりやすさは比例しないと考えておいてください。
5W1Hは「埋める」ためではなく「問う」ためにある
5W1Hを前にすると、私たちはつい六つの空欄を埋める作業に入ってしまいます。When、Where、Who、What、Why、Howと律儀に一つずつ言葉を差し込み、六つそろえば漏れはない、と安心します。ところが六つすべてを機械的に埋めた文章ほど、読み返すと当たり障りのない、誰が書いても同じになる内容に落ち着きがちです。枠を満たすことと、伝わる中身をつくることは、別のことなのです。
なぜそうなるのでしょうか。六つの要素は、対等に並んだチェックリストではないからです。中心にあるのはWhyです。「なぜそれをするのか」「なぜ今なのか」が定まっていれば、Whatは自然に絞れ、Whoは責任の所在として立ち上がり、Howは目的にかなった手段として選ばれます。逆にWhyを空欄にしたままWhat・When・Howだけを丁寧に埋めると、やること・締切・進め方は書いてあるのに、何のためかが誰にも分からない、動きようのない情報ができあがります。手段は詳しいのに目的が抜けている、という提案や報告の多くは、この順番のつまずきから生まれています。
ですから5W1Hは、Whyを起点に据えて残りをそこから導く、という使い方をしたときにはじめて力を持ちます。六つを平らに並べて片端から埋めるのではなく、まずWhyを一つ据え、そのWhyから見てWhatは何か、誰(Who)が担い、いつまでに(When)、どのように(How)実現するのかを、枝のように伸ばしていくのです。この順序で組み立てると、同じ六要素でも、その案件にしか当てはまらない具体が残ります。
もう一つ見落としがちなのは、埋まらない枠こそ情報だ、という点です。ヒアリングでWhoが埋まらないなら、決裁の構造をまだ掴めていない証拠ですし、Whyが書けないなら、相手の動機を自分の言葉で言い直せていない証拠です。空欄を無理やり一般論でふさいでしまうと、その「まだ分かっていない」というサインまで消えてしまいます。埋まらない部分を、次に聞くべき質問として残しておくほうが、よほど実務に効きます。
フレームは、考え終えた結果を並べる棚ではありません。考えはじめる場所、思考の起点です。5W1Hを配られた瞬間に六マスを埋め終える人と、まずWhyを一つ立ててそこから残りを問い直す人とでは、同じ枠を使っていても出てくる中身がまるで違ってきます。埋めるフレームから、問うフレームへ。六つを対等に並べる手をいったん止めて、Whyから順にたぐり寄せていくことが、5W1Hを凡庸さから引き離す分かれ目になります。

