営業会議のアジェンダ|時間配分・事前準備・ダメ会議の直し方
営業会議に置いて最も大事なことは、アジェンダの作り方にあります。今回は、結果を出す営業組織に共通する、営業会議のアジェンダの作り方や会議の際に心がけるポイントについて紹介します。
すごい営業会議は目的がはっきりしている
「すごい営業会議」にて、実施することは多くて3つです。
- 報告
- 連絡
- 相談
基本的に営業会議のアジェンダはシンプルにこの3つに目的が集約されるはずです。
ありがちなのは「全員参加型であること」や「少なくとも一人一回以上の発言をすること」などのルールがある会議です。
これらについては、あくまでも目的を達成するための手段に過ぎず、主体性を最重視した会議にあまり意味はありません。要は主体的でなくとも、その営業会議が生産的で建設的な場であれば誰かが一度も発言することがなかったとしても全く問題がないのです。
報告・連絡・相談以外のアジェンダは徹底的に省く
営業はまずクライアントのところに足を運ぶのが基本です。ピュアセールスタイムを短縮するような社内会議は基本的に自重すべきですし、必要ならば会議でない場でそれらはするべきです。あくまでも皆が集まって最大公約数的に、「全員でやる必要があるものだけ」実施することを前提とした方がよいです。全員でやる必要があるものとはつまり、報告と連絡と相談です。
数字の進捗と着地見立ての報告が最重要アジェンダ
報告
最重要なのは、数字の報告です。その次に必要なのが、営業内容に関する報告です
数字の報告
数字の報告においては「いつ」「どのクライアントに」「何を(どの商品を)」「いくらで」売る結果、目標に対して「どれぐらいの着地見込みなのか」ということを簡潔に報告してもらう必要があります。場合によっては個別の販売状況は割愛してもよいかもしれませんが、目標に対する進捗および着地見込みについては、必ず営業会議の最重要アジェンダとして設定し、必ず織り込むようにしましょう。
また、数字の着地パターンは複数存在する可能性もあります。そのような場合は「min(最低限)」「max(最大)」「オトシドコロ(中庸)」の三パターンの数字を営業マンに報告してもらい、リスク数値と最大限積み上げることのできる数値についても報告してもらうような設計にしましょう。
営業内容の報告
営業内容の報告とは下記のようなものが該当します。
- このクライアントに対してこのようなアプローチをした時にどのような反応だった
- 競合はこのような価格で提示してきているらしい
- この商品の効果効能として、このようなクライアントの声があった
などの、他の営業マンに対する成功事例や失敗事例の共有をはじめとした、知見を共有する場です。特に若手の営業マンの比率が高い組織においてはなるべくこの時間をなるべく多く取るように心がけ、量として多く、かつ、質の高い情報共有をする場を形成することを心がけなければなりません。
連絡
次に必要になってくるのが「連絡」で大きく二つの内容に大別できます。
- 全体数字の連絡
- 各種レギュレーションや商品の情報などについての連絡
全体数字の連絡
全体数字がどのレイヤーを指すのかは営業会議を実施する単位によって異なりますが、できれば最上位の概念に至るまでの報告が可能であれば実施しましょう。つまり、グループ単位で営業会議を実施しているのであれば、その上位組織である部、そのまた上位組織である事業全体、そのまた上位組織である全社。可能な限り上位組織の全体数値を営業マンに連絡事項として伝えるようにします。
全体の状況を知るということは末端の営業マンにとって決して多いとは言えません。インサイダーに該当しない範囲で可能な限り情報を共有し、組織として一つの数字を追っているという一体感を持てるようにし、自分が今追いかけている数字が、全体を構成する一つのパーツであるということをしっかりと意識付けさせることが大切です。
各種レギュレーションや商品の情報などの連絡
営業組織が存在しているということは、基本的に販売する商品については他部署や他社との連携が必要になるケースが存在します。つまり商品の販売価格以外の使用や内容について、営業組織にその設計や権利の一部または全部が帰属しないケースです。
こうした組織体系にある役割分担が営業組織から商品担当を出し、商品組織から営業担当を出し、両者が協議をして必要な情報の共有をしたり、相談をしたりします。これが例えば他社の商品を背負って営業をしているような営業組織の場合は、版元企業に対して担当者を送り込み、商品の情報を適宜仕入れる必要があります。
先述したような場合においては、担当の者だけしか知らない情報がたくさんあることになり、全員で足並みをそろえるために担当者が持つ情報を営業マン全員に共有する場が必要であり、こうした情報を連絡事項として、担当から営業マン全員に情報を伝えるのも営業会議の大きな役割の一つです。
相談
相談パートにおいては主にクライアント攻略についての相談の場であり、時にはディスカッションという形で、どのように売上を伸ばしていくかということを、テーマを持って議論をしたり、相談をしたりします。
知見の共有との違い
相談については、知見の共有とは似て非なるものですが、知見の共有はファクトをベースに伝えるのが目的なのに対して、相談はあくまでも解決策の提示までがスコープです。
「こうしたケースについては他の営業はどのような対応をとっているか?」というような具体的な想定されるケーや実際に存在するケースを題材にしてゴールを見つける点において、ファクトをベースにした知見の共有とは性格が異なり、あくまでもネクストアクションを定めることを目的にして相談を進める必要があります。
すごい営業会議は全員が持ち帰るものがある
持ち帰りには下記の2種類の持ち帰りが存在します。
- 宿題
- 知見・ネクストアクションなどの営業に必要な情報やマイルストン
宿題は必ず冒頭に先週の振り返りを実施する
厳密には報告パートの一つの題材ではありますが、議論をしたりする中で、どのようなルール設定になっているものかその場では不明なものや、数字の内容を煮詰めるにあたり情報が不足しているケースがあります。
そうした場合は、情報がアップデートされない限りは、前に進むことはできないので、いったんその場で結論を出すことを控えて、宿題を該当者が持ち帰り、改めて翌週や次回にその持ち帰った不明点を解決して、同じ営業会議の場に持ち込む必要があります。
また営業会議の主催者やファリテーターに該当する人は必ず毎回宿題の内容をメモし、場合によって会議と次の会議が開かれるまでの間にどのような項目が宿題として誰が持ち帰ったかを改めて参加者全員や該当者に連絡をし、宿題に漏れがないようにすることも大切です。
持ち帰るはインプット。アウトプットはアクション
もう一点は、相談パートに代表されるような、「この会議を受けて、自分は何をすればいい、どうすればいいか」ということが明確になっている点です。
逆にこのような内容がないのであればわざわざリアルの場で営業会議をする必要はないかもしれません。つまりリアルの場で営業マンが集まり、知見の共有や相談を通じて、全員の目線を揃え、次回までにクライアントに対してどのような内容の話をすればよいのか、という点であったり、個別の営業として売上を伸ばすための武器をインプットする場として営業会議を活用できるような設計にする必要が有ります。
これらを営業マンにとっては有益なインプットの場になりますが、アウトプットする場があってこそインプットは活きます。このアウトプットの場こそが、商談でありクライアント先になるはずです。
つまり営業会議の主催者側としては、どの営業にどんな内容のことを持ち帰ってもらいたいのか、ということを真剣に考え、営業会議の全体設計に取りかかる必要があり、これらは時と場合によって異なる可能性もありますし、もっというと部などの上位組織の状況に応じても異なってくる必要があります。
上位組織の状況、営業組織の状況、営業マン個人個人や、その先にいるクライアントの状況を鑑み、各営業会議ごとにどのようなインプットを持ち帰らすべきかを考え、その先にどのようなネクストアクションを期待しなければならないのかということを念頭に、すごい営業会議を開催し、営業組織の売上に貢献していく必要があるのです。
アジェンダは「並び」ではなく「時間の割り振り」で設計する
営業会議で扱う中身が定まっても、それを議題として一列に並べただけでは会議は締まりません。実務で効くのは、一つひとつの項目に「何分使うか」を先に決めてしまうことです。項目名の横に所要時間を書き込み、合計が会議枠にきちんと収まるかを開始前に確認しておきます。ここで時間が溢れるなら、その会議には議題が多すぎるという合図です。
配分の目安として、まず数字まわりの確認は全体の三割前後に抑えます。ここを短く保てるかどうかが、生産的な会議になるかどうかの分かれ目です。連絡事項は淡々と読み上げれば済む性質のものなので一割から二割、残りの半分近くを相談やディスカッションに充てます。相談に一番厚く時間を置く配分こそが、参加者が集まる意味を裏づけます。
各項目には「時間が来たら次へ進む」というルールを添えておきます。話が煮詰まらないまま持ち時間を使い切ったら、その場はいったん打ち切り、宿題として持ち越します。時間を守る運用を徹底すると、参加者は限られた枠の中で要点だけを話す習慣を身につけていきます。逆に一項目でも時間が延びると、しわ寄せは必ず後半の相談パートに集中し、いちばん価値の高い時間から削られていくことになります。進行役は時計係を兼ね、残り時間を口頭で挟みながら会議を運ぶ意識を持ってください。
数字は会議が始まる前に配り終えておく
数字を会議の場で一人ずつ読み上げてもらう運びには、大きな無駄が潜んでいます。読み上げを聞いている間、他の参加者は自分の番を待つだけの受け身の時間を過ごすことになり、人数が増えるほどこの待ち時間は膨らみます。
これを避けるには、各自の進捗と着地見込みを会議の前日までに共有シートへ入力してもらい、参加者が事前に目を通してから席につく形に切り替えます。会議が始まった時点で「誰がどこまで積み上がっているか」を全員が把握できていれば、その場では読み上げを省き、いきなり「なぜ届いていないのか」「どう詰めるか」という中身の議論から入れます。事前共有は、会議の時間を報告に費やすか判断に費やすかを決める分岐点です。
事前準備は数字だけにとどまりません。相談したい案件がある営業には、どの顧客の何を相談したいのかを一行で先に出してもらいます。競合の動きや商品情報の連絡事項も、資料に落として先に回覧しておけば、会議では要点の確認と質疑だけで済みます。準備を各自に前倒しさせることで、会議そのものは判断と合意の場に絞り込めます。この段取りを回すために、進行役は開催の一両日前にリマインドを送り、入力状況に目を配る役目を担ってください。
「報告会」と「詰める場」——二つのダメ会議の直し方
機能していない営業会議は、だいたい二つの型のどちらかに落ち込んでいます。
一つ目は報告会化です。全員が順番に数字と近況を読み上げ、進行役がうなずいて終わる会議で、決めごとも持ち帰りも生まれません。直し方は、数字の共有を前述のとおり事前に片づけ、会議の冒頭で「今日ここで決めることは何か」を進行役が宣言してしまうことです。決める議題が一つも立たない回であれば、その週の会議は短縮するか見送るという判断もあってよいはずです。
二つ目は詰める場化です。未達の営業を一人ずつ問い詰め、原因の釈明を求める空気になると、参加者は失敗や停滞している案件を隠すようになります。本来いちばん共有すべき苦戦事例が表に出てこなくなり、会議は当たり障りのない報告だけの場に痩せていきます。直すには、扱う対象を「人」から「案件」へずらします。「誰が悪いか」ではなく「この案件を前に進めるために何ができるか」と問いを立て直すだけで、場の役割は追及から相談へ切り替わります。数字が届かない回ほど、犯人探しではなく打ち手を持ち寄る運びに徹してください。
営業部長の役割について知見を広げたい方はこちら。現場と経営をつなぐ視点が持てます。
→ 営業部長の役割とは?営業部長の仕事はこの4つだけ!|「大きい課長」で終わらないために——営業部長だけが背負う仕事の輪郭
案件相談とオンライン会議を空回りさせない進め方
相談パートは放っておくと雑談に流れやすく、扱い方に工夫が要ります。効くのは、相談を出す側にあらかじめ型を課すことです。「相手はどこの誰か」「今どの段階で止まっているか」「自分は何を試したか」「何を決めたいのか」の四点を先に述べてもらってから、周囲の意見を募ります。前提の説明に時間を溶かさずに済み、議論はネクストアクションを決める一点へまっすぐ向かいます。相談は必ず「では次にこうする」という担当と期限を添えて締め、その場で決めた行動を持ち帰りに載せます。
オンライン開催では、対面より場の温度が伝わりにくく、報告会化への引力がいっそう強く働きます。画面共有で進捗シートや相談案件を常に映し出し、全員が同じ画面を見ながら話す状態を保ってください。発言が特定の人に偏りがちなので、進行役が「この件、他の担当ならどう動きますか」と名前を呼んで意見を振ると、参加の密度が保てます。通信の途切れや聞き逃しに備え、決まった宿題と担当・期限はチャット欄に文字で残し、会議の終わりに読み上げて確認します。オンラインだからこそ、決定事項を口頭だけで流さず、目に見える形に固定する運びが効いてきます。
そもそも、その集まりは「会議」でなければならないのか
ここまで進行の細部を整えてきましたが、最後に一段引いて問い直したいことがあります。営業会議で私たちがつい目的にしてしまうのは「情報を報告すること」です。けれど、報告そのものが目的なら、わざわざ全員の時間を同じ枠で拘束する理由はどこにもありません。数字を伝えるだけならシートへの入力で足りますし、連絡事項なら文面を配れば済みます。人を一箇所に集めて拘束するという、営業組織にとって最も高くつく手段をとる以上、そこには報告では代えられない何かが要るはずです。
その何かとは、二つに絞られます。一つは、その場でしか下せない意思決定。もう一つは、会議を経た参加者の行動が実際に変わることです。誰かの苦戦事例を聞いて自分の商談の切り口を変える、複数の見立てを突き合わせて今週どの案件に人手を寄せるかを決める——こうした「集まったからこそ動いた」という変化が一つも起きないなら、その集まりは会議の形をした報告会にすぎません。
この視点に立つと、アジェンダの正体も見え方が変わります。アジェンダとは議題を上から順に並べたリストのことではありません。「この時間を使って、何を決めるのか」という宣言です。項目名の一つひとつは、本来「◯◯を決める」という動詞で書けるはずのものです。「先週の数字」ではなく「未達分をどう取り戻すかを決める」、「競合の値下げ情報」ではなく「対抗するか静観するかを決める」。決める対象に言い換えられない項目は、会議ではなく回覧で処理すべき連絡事項だと切り分けられます。
だとすれば、良いアジェンダをつくる作業は、議題を集める作業ではなく、削る作業に近づきます。「これは今この場に全員がいなければ決まらないか」を一項目ずつ問い、報告で足りるものを片端から会議の外へ追い出していきます。そうやって残ったものだけが、真に会議の時間に値する議題です。報告なら会議は要らない——この一線を進行役が握っている限り、営業会議は報告会にも詰める場にも堕ちず、参加者が毎回「決めて、動きを変えて」持ち帰る場であり続けます。アジェンダを研ぐとは、議題を増やすことではなく、この一線を引き直し続けることにほかなりません。
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