営業マンの中途採用面接|候補者の嘘を見抜く4つの質問

面接官必見!営業マンの中途採用面接で、候補者が嘘を織り交ぜたくなる4つのポイントと嘘を見抜く対策

営業マンの中途採用においては候補者が、嘘や誇張表現を織り交ぜたくなるポイントは1.自分の役割を拡大する 2.実績を盛る 3.表彰歴 4.マネジメント経験 の4つです。これらについて、それが嘘か誇張表現かを見抜くことで、等身大の候補者を正しく捉えることができるようになります。

営業マンの採用面接で応募者の嘘を見抜くことのできる4つの「魔法の質問」

営業マンの中途採用をする時に、面接官も気をつけたいのが、応募者の「嘘」です。もしくは嘘とまではいかなくても、多くの面接官が、「誇張表現により、自身を大きく見せたい応募者はいる」と感じているのではないでしょうか?面接官としてどのような質問をすることで、応募者の嘘や誇張表現を見抜くことができるのでしょうか?

面接で応募者の嘘や誇張表現を見抜き、丸裸にするためには、どのようなポイントで嘘や誇張表現がされる傾向にあるかということをまずは知らなければなりません。応募者がつい、嘘を織り交ぜたり誇張表現をしてしまいがちなポイントは以下の4点です。

自分の役割を拡大する

実績を盛る

表彰歴

マネジメント経験

これら4点における嘘や誇張表現の傾向と、対策としての質問について一点ずつ解説していきます。

1.自分の役割を拡大する

嘘や誇張表現が含まれがちなポイント

例えば社内のプロジェクトであったり、クライアントに対する大がかりな仕掛けをする際に、社内外のメンバーで構成された「チームで協働する」という経験自体は、多くの営業マンが経験しています。それ自体は特別なことでもありませんし、大きなアピールポイントではありません。

しかし一部の候補者は、一人のメンバーでのプロジェクト参加だったにも関わらず「リーダーとして全体統率をした」というウソであったり、自分が全く関わっていない役割もあたかも自分の体験のように語ったりという誇張表現をすることはよくあります。

チームでの協働プロジェクトにおいて、「盛られやすい」ポイントは深さではなく高さや広さです。つまり、とことん突き詰めてやりましたという盛り方ではなく、「実態以上の高いポジションで担当した」という盛り方か「実態以上の広い業務を担当した」の盛り方のどちらかです。なぜならば、突き詰めてやりましたということをアピールしたいのであれば、わざわざチーム協働の話が題材ではなくてもよいからです。

嘘や誇張表現を見抜く質問

チーム協働における嘘や誇張表現を見抜きたければ「なぜそのポジションでの仕事をしようと思ったのか?」と「そのポジションで働いたことによる意義は何なのか?」という質問を一番最初にすることです。嘘や誇張が含まれるとすると、多くは「実績やしたこと」に含まれるはずです。従ってその点についてはある程度の武装をしていると考えた方がよいでしょう。しかしそこから「得たもの」ぐらいであれば、想像で話すことができるかもしれませんが、「動機や意味づけ」まではなかなか考えが及びません。

さらに、動機や意味づけについて最初に話した上で、そのあとで「したこと」を話すことは実際の当事者でないとなかなかできません。「したこと」を説明したあとで、それにあうように嘘や誇張を織り交ぜながら「動機や意味づけ」を話すことはできるかもしれません。しかし「動機や意味づけ」を提示したあとで、それにあうように「したこと」を話すことは相当難易度が高いと言えます。

つまり、事実を提示したあとに嘘を織り交ぜることは容易いかもしれませんが、嘘にたいして調整の効かない事実を提示しようと思うと、どうしても論理的にほころびが出てしまうのではないでしょうか。仮に嘘や誇張表現が含まれていなかったとしても、論理的に説明できないのであれば、それはそれで、それが本人の評価と言えるかもしれません。

2.実績を盛る

嘘や誇張表現が含まれがちなポイント

営業ですので、一番誇張したくなるのが「売った」経験そのものになります。営業としての実績が営業である自分を一番高く売るための材料となります。実績面で嘘や誇張が盛られやすいポイントは「達成」と「伸び率」です。つまり何ヶ月連続達成であるとか、とあるクライアントの取引伸び率を500%にしたとか、そういった表現には要注意です。

嘘や誇張表現を見抜く質問

これらの嘘や誇張表現を見抜く質問は「この一年間のあなた自身の伸び率と、あなたが主に担当しているセグメントの伸び率と、事業全体の伸び率はそれぞれ何パーセントですか?」という質問です。正直達成か未達成かというのはあくまでも目標との対比の話ですので、営業としての実力を測るには不適切と言えます。目標が低かっただけかもしれません。

一方で伸び率という数字は、実績対実績で算出される数字のため、主観が入りません。客観的な事実です。しかしながら伸び率に関しても分母が小さくなればなるほど、極端な振れ幅になることがあります。分母が小さくなれば、今月の伸び率は昨年対比で80%ダウンだが、来月は200%UPという状況は、かなり生まれやすくなります。

その200%だけを切り取って、200%UPを実現したとアピールするのは、明らかな誇張表現と言えるでしょう。そこで事業全体の伸び率と、自分自身の一年間の伸び率を比較すれば、分母もかなり大きくなり、かなり客観的評価に近い数字が得られるでしょう。事業全体が10%の伸び率なのに、候補者が25%の伸び率だったとしたら、それは間違いなく候補者は業績を牽引した営業マンの一人と言えるでしょう。

しかしこれにおいても落とし穴があります。「たまたま伸びやすいクライアントを担当していた」という可能性も大いにあるためです。従って同じようにセグメント全体の伸び率も聞かなければなりません。つまり伸びやすいセグメントを担当していたのだとしたら伸ばして当たり前。事業平均以上に伸ばしたとしても本人の実力とは言えないでしょう。

従って、前提を揃えるためにセグメントを揃えた上での伸び率も参考指標として聞いておく必要があるのです。

3.表彰歴 嘘や誇張表現が含まれがちなポイント

応募者が社内の表彰歴やNo.1というフレーズでアピールしてきたことがあるという経験をお持ちの面接官も多いのではないでしょうか。応募者にとって経験や実績を語るよりも「売れた」ということを何よりも表現できる方法とも言えます。しかし一言で表彰と言ってもその評価はバラバラです。

例えば10人の表彰対象者から月に一回、1名のMVPを選出しているとどうでしょう。年間で延べ12人のMVPを排出していることになります。その一回を取り上げて、No.1営業マンという呼称は決して正しいとは言えないでしょう。しかし1,000人の表彰対象者から年に1回、1人のMVPやNo.1を表彰していて、その受賞経験があるのだとしたら、極めてハイレベルな営業マンと言えると思います。

誇張が含まれるポイントは「対象期間」「対象人数」をごまかしにかかる点にあります。逆にこれらを表出させないことで結果的に誇張した印象を与えることが狙いなのです。

嘘や誇張表現を見抜く質問

これらの実態を丸裸にするための質問として、シンプルに「どれぐらいの対象者」の中から選ばれたもので、それは「年間で何回機会があるもの」かという質問をするのがよいでしょう。前者は多ければ多いほど、後者は少なければ少ないほど希少価値が高いことになります。

もしくは、その表彰結果のアピールを受けて「今この瞬間の営業としての実力は何人の営業マンのうちの何番目か」と聞くとよいでしょう。

4.マネジメント経験 嘘や誇張表現が含まれがちなポイント

マネジメントと一言で言ってもマネージャとして管理職としてマネジメント経験があることと、リーダーとして非管理職としてマネジメントした経験では全然環境が異なります。優劣ではありませんが、より責任の大きい管理職としてのマネジメント経験の方が、恐らく本人の経験値としては高いものと言えるはずです。

面接で役職を騙ることは思い切りがなければできないことです。そのような人は決して多数派ではありません。しかし、リーダー職でありながら「ほぼマネージャと同じ仕事をしていた」という表現をすることで、あたかも管理職と同等の業務を担当していたと偽ったり誇張する人はいます。

嘘や誇張表現を見抜く質問

こうした嘘や誇張表現に対しては「どのようにメンバー評価を勝ち取っていたのですか」という質問が適切です。マネジメントにおいて評価が持つウェイトはかなり高いでしょう。評価過程を経ずに「マネジメントができる」と言っても、それはマネジメント業務の半分程度しか経験していないことになります。

もし仮にマネージャと同等の業務をしていたのだとしたら、評価をしなければならない場面で、必ず本当の上司から各々のメンバーに関してのヒアリングが入ります。なぜならばマネージャと同等の業務を候補者がしていたのだとしたら、本当のマネージャは別の仕事をしていたり、兼務マネージャであったということになります。

本来のマネージャは、実質的なメンバーマネジメントをしていないのだから評価のしようがありません。つまりリーダーである候補者に聞く以外に適正な評価をすることはできません。そこでヒアリング入らないということは、候補者本人はマネージャ同等の業務を担当していたという認識でも、本来のマネージャからは「マネージャー業務と同等のマネジメントをしていた」とは決して見られていないということになります。

もう一段上のアプローチ:数字や役割は盛れても「構造」は盛れない——第三者で裏が取れる一点を握る

動機を先に聞く、実績は伸び率で分母をそろえる。こうした見抜き方を一通り押さえている面接官でも、もう一段精度を上げる余地があるのではないでしょうか。それは、候補者が後から辻褄を合わせられない「第三者がいる事実」を、各ポイントで一つだけ握っておくこと。これに尽きます。

人は数字や自分の役割は盛れても、組織の構造まではなかなか盛れません。ここに大きな差が出ます。たとえば表彰歴なら「その時の2位はどなたでしたか」「選考会には誰が同席していましたか」。マネジメント経験なら「あなたの評価を最終的に承認したのは、どの役職の方ですか」。実績なら「その案件の発注を決裁したのは、先方のどなたですか」。いずれも本人の主観ではなく、その場にいた他者や承認のラインに紐づく事実です。

盛った話だと、こうした問いに対して急に話が曖昧になったり、「覚えていない」が増えたりします。逆に等身大で語っている候補者は、脇役の名前や承認の流れまで自然と出てくるものです。嘘は自分が語った事実に合わせていくらでも作れますが、第三者が絡む事実となると、その場で辻褄を合わせるのは一気に難しくなります。深掘りするのは一点だけで構いません。そこが効くのです。

表彰・評価制度の設計について知見を広げたい方はこちら。人が続く報い方の勘所がつかめます。

営業メンバーのモチベーションを上げるための表彰制度の設計について|白けさせず形骸化させない営業表彰制度の実装設計

見抜く力は質問リストではなく「面接後の答え合わせ」で伸びる

意外と知られていませんが、面接官の精度は、良い質問を増やしてもどこかで頭打ちになります。精度を押し上げるのは質問の数ではありません。過去の自分の判定を、後で答え合わせする習慣のほうなのです。

具体的には、面接直後に4つのポイント(役割の拡大・実績・表彰歴・マネジメント)それぞれについて、「盛っている疑い:強・中・無」を一行で記録し、自分の採否判断もあわせて残しておきます。所要時間はせいぜい5分。そして採用した候補者については、半年後の実際のパフォーマンスと、その記録を突き合わせます。

これを20件も貯めると、自分の癖が見えてきます。表彰歴の語りに弱い面接官もいれば、マネジメント経験の誇張をいつも見逃してしまう面接官もいます。人によって騙されやすいポイントは、驚くほど偏っているものです。自分がどこで判断を誤りやすいかが分かれば、次の面接では、そのポイントだけ質問を一つ増やせば済むわけです。

誇張表現そのものは、自分を高く売りたいという営業の性質上、完全にはなくなりません。問われているのは、見抜けなかった時に同じ失敗を繰り返さない仕組みを、面接官の側が持っているかどうかではないでしょうか。質問の引き出しを増やすことよりも、まずは自分の判定の的中率を測ること。面接官として伸びる余地は、案外そこにこそ残っています。

クライアントセグメントについて知見を広げたい方はこちら。狙う順番を決めて、無駄打ちを減らせます。

営業戦略を立てるにあたり「基本的なクライアントセグメント」について知っておこう!|クライアントセグメントの実践——切り口の足し方・打ち手設計・攻める順番

終わりに

営業マンの中途採用面接で、嘘や誇張表現を織り交ぜたくなる4つのポイントと嘘を見抜く対策についてまとめました。いずれのケースにおいても、嘘はまだしも誇張表現を織り交ぜる候補者が悪であり、悪質な行為と断罪することはできないのではないでしょうか。自分の評価を上げたいために、自分を多少大きく見せるという言動をしたことがあるという人はたくさんいるはずです。

中途面接という場であれば、バレないリスクとバレなかった時のリターンとがあまりにアンバランスです。ローリスクハイリターンだからついついしてしまうのです。問題はそれを見抜けない面接官側にあると言っても過言ではないでしょう。数多くのケースと相対し、採用後の活躍などもしっかりと追いかけて反復することで、面接官として候補者を丸裸にする術を身につけていかねばなりません。

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筆者:店長

営業と、競馬と、しゃべる植物。あっAIも。つい、いろいろ作ってしまう人です。

→ 店長の正体(詳しいプロフィール)

店長

Xアカウント:@nishi_sales_ai 新卒で大手IT企業に入社し、飛び込み営業から深耕営業、大手企業担当まで第一線で経験を積む(表彰歴多数)。その後、事業企画・営業企画部門で経営に近い立場から営業組織と数字に向き合い、10年勤続を経て独立。営業組織の改善に特化したコンサルタント企業を立ち上げる。 コンサルタントして数々の現場に入りつつ、自ら営業特化の転職エージェントも運営。近年はAIを活用した営業組織の業務改善・生産性向上プロジェクトに携わる。現場の最前線と経営の両方を見てきた視点から、営業3年目前後がぶつかる壁を越えるための実践知を発信する。

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