それに代わる適切な日本語がないから仕方なく言う。ヒアリングは前戯だ
僕は、ヒアリングだけで受注することは可能だと思っているし、何度も受注してきた。
ヒアリングは顧客の状態や課題、また受注に向けた道路を正しく把握するための情報取得の場だと位置づけされているケースが多いと思うし、僕自身も営業現場にそういうモノの伝え方をすることも多い。
ただ、ヒアリングの場をそういう使い方に限定しているかというと、そうでもない。
そんなこと言ってお客さんに怒られないんですか?と営業から質問を受けることがある。もしかしたら気分を害したお客さんもいるかもしれないけど、面と向かって怒られたことはなかった。
「お客さんの立場にたってれば失礼じゃない」みたいなことは実はちょっと違う。
例えば何度もシステム導入に失敗してきたお客さんがいるとする。
導入しては浸透できなかったり、使いこなせなかったり。
システム導入に失敗してきたという自負があるのに、またシステム導入の営業を受けている。
色々と機能の質問や、システム導入に向けたスケジュールを営業が詰めている最中に
「今までできなかったのに、どうして今回はできると思ってるんですか?」と聞いた。これは明らかに失礼な聞き方だと自分でも思う。
例えば、Net広告の営業に同席したときのこと。
〇〇というチャネルについては、うちの商材は効果出ない・合わない。
という発言を受けて
「効果を出せなかった、ですよね。御社の競合はバンバン成果出してますよ」
と言ったこともある。
すごくネガティブアプローチばかりをしているように受け取られるかもしれないけど実際はそういうわけではなくて、例えば、とある特殊な形態の派遣営業の営業戦略の構築の話をもらったときに、自社の業務は人材系の営業の延長だという説明を受けていた。
顧客のさらに先にいる顧客、つまり派遣を受け入れている企業。
とその派遣企業が会話している内容というのは、話を進めるうちに必ずしも「顕在化したニーズ」を充足させるばかりではない、のではないかという仮説を持った時のこと。
どういうことかというと、派遣を受け入れるというのは企業にとって一連の業務サプライチェーンの中で比較的専門性が低く、キャッチアップが容易な業務を自社社員で賄うことなくスピード感もって充足させるために派遣を使うことも多い。
しかし、その派遣会社の特性を考えた時に、
顧客先の業務プロセスを分解して、業務サプライチェーンの中から単純業務を切り出して、そこに大量の派遣をアウトソーシング的に送り込むことで「ヒトを貸すんじゃなくて、業務を巻き取る」という形態の転換の可能性について議論しませんか?と提案したとき、顧客の認知が動いた、という経験もある。
それはその会社の持つケイパビリティが、一般の派遣会社とは明らかに異なること、そして彼らもそれについては理解していたもの言語化はしていなかったからこそ「派遣=人材の充足」というビジネスドメインの前提を揺さぶることができた、のだと思う。
もちろん、初めましての商談でそれほど世の中に情報が公開されているような規模の会社ではないので、何か資料を用意して提案したわけではない。
その話の続きとしては、それって今まで人材営業だと教え込まれてきた現場の認識を大きく変えていく話。
営業戦略という経営陣のジャッジだけで動く山の大きさではないよね。中長期的に検討することが可能かどうか、まず僕にその辺のボール持たせてよ。
で口頭ではあるが、その場で合意させてもらうことができた。
何でもいい。
例えば営業にとってやっかいな「動かない理由を探す顧客」や
「できない理由が山積みの顧客」というのは一定の確率で遭遇する。
色々あると優先順位は下がってしまいますよね。でもやらなくていいと、検討しなくていいは同義じゃない、って僕は思うんですよね。1ミリ動かすとしたらどこから動かせそうですか?
というと、多くの顧客が「まぁそれはそうかも」という顔をしてくれる。
それは別に切り返しが秀逸だからということではないと思ってて、「自分」という商材を滑り込ませるための隙間をどう作るのかというそこに尽きると思っている。
その過程で、顧客の認識を揺さぶる。揺さぶると隙間ができる。
その隙間を自分がどう埋めるのかという目線を合わせる。
あとは見積り送るだけで受注できるケースも多い。
僕はこれを前戯が成功したケースと位置付けている。
ヒアリング→提案という一方向×2のコミュニケーションは結構告白型な印象なんだけど
他社の営業が告白の準備を進めている間に、僕は顧客の「点と点が繋がった」「うすうす感じてたことが言語化された」
というアハ体験を作ることに時間を使う。そこまで到達できたら、あとはほぼもう出来レースだろ。
