中間レビューという急がば回れ策
提案は合意形成だという話をしたい。
社内でも、社外でもいい。MTGや打ち合わせで、論点ズレてるって指摘や、全然手触り感ないじゃんって一蹴されることよりも僕が一番恐れるのは「無反応」である。
心の底から納得して、もう言うことないですという無反応と、何言えばいいかよくわからん。ていうか内容が実はよくわかってないって無反応は、同じ無反応なはずなのに、明確に違う。
営業としても何か具体的に反論されたわけじゃないけど「全く手触り感ない」し、静かに失注にステータス変更した記憶がある人も多いのではないだろうか。
いくつかのパターンがある
ー本当に理解できていない
ースコープがズレまくってる
ー思ってたんと違う
ー反応するまでもなく否決一択と心に決めている
ー唐突感がすごい
事前の場の仕立てができていない、提案内容の期待値のすり合わせができていない。が全てである。
御社では顧客の初回打ち合わせから最終提案までの時間軸はどれぐらいで打ち合わせは何回するのが多いだろうか?僕は大型提案の場合は、必ず3回設定する。
初回は、いわゆるヒアリングという立て付けのもと顧客の認知を揺さぶれる箇所の探索をする。そして三回目は、比較的細部も含めて全体像の合意をとりづける。
大型提案の場合は間の二回目に「中間レビュー」という場を置く。
元々は、サラリーマン時代に事業企画として、全社に対する事業計画の起案をしていた時に編み出した手法だ。
売上500億程度の事業の、年に一回の事業計画起案なので、全社からの視聴率もそこそこ高い。
そして、何より「論点が多い」のだ。
営業系だけの話題だけでなく商品の論点。来期だけでなく中長期の観点。
場合によっては明確に全社から「この観点について必ず方法論含めて触れるように」というものもある。
で、実際の事業計画の承認でいうと形式的な面もあって、全て事前に関係者との合意形成を内々に終えており、最後承認したという形跡を残すために30分ほどの時間を使って要点だけ抑えて承認を取り付ける。
100枚以上の.pptxのスライド作るが、基本はサマリのページだけで語り、他のスライドは何枚かその場で見せる、的な。
超鍛えられた。
まず、10名を超える出席者がいて、そもそも利害や管掌領域が異なる経営層が集まる場なので注視する点が異なる。そういう中で論点を並列で扱うと必ず発散する。
だから個別の論点はそれぞれと詳細を詰めて、全体像に対する意見をもらいながら個別の論点との接続をする。
しかし、中には至極まっとうに、僕ごときには想像もできなかった角度から超絶カーブをど真ん中に放り込んでくる参加者が必ずいる。
もちろんそれはこちらの落ち度であって、未熟さゆえになのだけど、全ての論点に対して完璧にストーリーを構築する、それも限られた準備時間で、限られた会議時間の中で、というのは無理っす。
そこで編み出したのが中間レビューという場だった。
それは事業計画の最終承認の場の2~3週間前に設定をして、「アジェンダ+全体ストーリーと2-3行の論点補足」の承認を得るという場だった。
例えば、特に期初に重点テーマ設定として置いたものの進捗報告着地見立てを中心に今期の振り返りをする。
もちろん業績指標にも必ず触れる。
そして中長期のテーマ設定の「考え方」に触れる。
マーケット構造や、事業構造なんかを切り口に、あーなってるからこう。こーなってるからアレが必要。みたいな。
とすると、重点テーマ設定の選択肢は自ずとこのあたりとなる。
これを時間軸に置き換えるときっと〇年ぐらいの時間軸の中で動かしていくとすると来期に落とし込まれるミッション設定は「✕✕の達成と、▲▲の〇%への到達あたりを事業部長にミッションを担っていただく」ようなイメージ。
とすると、
・営業部はこう、商品部はこう、積上げるときっとこんな数字感のイメージ
・だから事業計画の最終積上げ値は手なりでいくと売上は〇〇、利益は〇〇
・ただしここには中長期テーマ達成のために〇億円の戦略投資枠が〇億程度必要になる見立て
なので、そこは全社と会話する中で投資枠を取りに行く必要がある。
的な。
アジェンダと全体ストーリーと各論点で会話すべき内容について2時間ほど時間かけて「大枠の」合意形成をする。これが中間レビューの骨格である。
この骨格が「事業戦略」そのものでもあるし後に合意予定の事業計画そのもののスコープである。
当初は「具体の内容がないとわからん」的な反応もあったのだけど、構造や全体像やストーリーを重視する経営陣が多く、この中間レビュー自体が荒れることはもちろんあった。
でもひっくり返り方が合意形成前提でのひっくり返りみたいなポジティブなものが多かった。後にすべきことが明確になる、しかも2-3週間の猶予を残してという意味でいうとそこで意見をバンバン言ってもらえることは大変ありがたかった。
この経験があってか、僕は顧客に対して「何ならウンって言ってくれますか?」と聞けるようになった。
要は「合意形成が全て」なのだ。提案であっても会議であっても。
逆に言うと僕がすごく意志を持つかというと、もちろん持つものもたくさんあるのだけど「ステークホルダーが正しい判断をできるように材料をテーブルに置くこと」の役割意識の方がよっぽど強い。
そういう意味では「顧客含めたステークホルダーが何になら意志を持ってくれるのか」を引き出すことの方がよほど重要だと思っている。
そして、人は全体が見えない中で個別にGoサインを出せるのは本当に些末なことか少額でリスクがない時だと思っている。大きくなればなるほど、全体像と個別の両方に対して慎重になる。
家の枠組みを作ってないのに部屋の内装を作れないのと一緒で、まずは枠組みを顧客と一緒に作る。
壁紙を白にするのか薄いブルーにするのか、は最後の最後まで迷ってもらっていいけど、間取りは早めに決めなきゃいけない。間取りを決めずに内装の話をする人はいない。でも提案になると、営業はなぜかそれをやる。
だから中間レビューでとにかく違和感を洗い出す。そもそも論レベルでのズレをつぶす。一撃の提案でそれが起きる可能性があるぐらいなら、貴重な一回を使ってでも、骨子・大枠の合意形成から入る。全体構造に対するYes/Noを先にもらう。
提案予定のスライドの目次を作る。目次の流れを説明する。
それぞれの目次の論点が何なのか、その論点に対する自分の見解はこうだと思う。だからこういうストーリーで最終提案しようと思っています。反対意見、ありがたいよね。
だってまだ最終提案までに手直しの時間設けてるんだから。
そんなに難しいわけじゃないから、是非やってみてほしい。
