言うほど顧客は商材に興味がなくて、お腹減ってるのに包丁だけ渡してくる量産型営業マン

商談前半で商材の名前出さないと死ぬ病気にかかってんのかっていうぐらい商材の説明をしだす営業が多い。
もちろん、顧客の期待が「御社が扱っている商材のことを知りたい」だったらその商談の進め方は顧客ニーズをきっちり捉えていると言える。

お時間くださいと営業側から時間もらった多くのケースにおいては
「お腹減ってるんですか?じゃぁこの包丁めっちゃ切れ味最高ですよ」
という絶妙にズレたコミュニケーションなってるんだよな。お前の商談は。

っていう新人の時営業リーダーだった真一さんの言葉を思い出す。

当時僕が在籍していた会社では、営業のレベル感をこんな風に揶揄することがあった。

ボランティア→御用聞き営業→説明型営業→ソリューション営業

で、僕は説明型営業に2年ほど長期滞在していた自負がある。
「スランプ」ってのはできてた人ができなくなったことを指すのであって、
お前はただの踊り場だから二度とスランプって言葉でごまかすな、とも真一さんは言ってた。

説明型営業してもいいのは、顧客と営業の間に情報の非対称性がなくて、
顧客が営業以上にあらゆる商材に精通していて、機能差の説明だけで何をすべきか自分で判断できる時。
そしてそんなリテラシーの高い顧客がお前を選ぶ理由はないから。

と、その切れ味抜群の包丁で僕をぐっさぐさに刺してきた。
名古屋の東山線伏見駅のホームで、ぼろぼろの商談を終えて帰りの電車を待っている時だ。

その間に日経平均は何倍にもなって、スケジュール管理していた手帳を使わなくなり、商談もオンラインが相当市民権を経るぐらいの時間がたって、真一さんが言っていたことは絶望的と言えるほど、その通りだわと思う大人に僕はなった。

「課題」ってイヤになるぐらい抽象的な概念だな、と思う。
一方で商材や、機能というのは、極めて具体的で話しやすい。

1か2、どっちが大きい?という会話は誰でもできる。
でも、1であることがそんなに問題か?
というテーマを、顧客という年齢も出身地もバックボーンも異なる対象と合意形成するのは結構ムズい。

なぜなら、真一さんが言うように営業と顧客の間には「情報の非対称性」が存在するからだ、と僕は難しさの根源を定義することに成功した。
日経平均が何倍にもなるような途方のない時間をかけて。

営業は商材のことを知っている。
顧客は自社のことで悩んでいる。

営業は顧客ほど、顧客社内に対する理解は及ばない。
顧客は営業の説明する商材の管理画面を見たことはない。

なのに、営業は予算をオーバーする松プランを撒き餌に竹プランの合理性と「直感的な操作性」をべちゃくちゃとしゃべってるわけだ。

この情報の非対称性を埋めるものは何か。
課題でも商材でもなく、「どのようにその課題を解決するのか」という道筋の合意だと僕は思っている。

何が課題でそれをどう解決していくのかを握った先に「あれ?たまたまそういう商材うち扱ってました」が相当きれいな着地だと真一さんが言っていたわけだ。

山芋わかるか山芋。
あれだよあれ。お好み焼きにとろろ入れると生地がふんわり馴染むんだよ。

真一さんは「ツナギ」をそんな風に説明した。

課題がある、そして商材がある。それを繋ぐもの=「ツナギ」
これをどう置くか。

お前は課題はちゃんと聞けてる。お前の頭の中ではその課題をどう解決するかと商材が繋がっている。だから自分の提案に合理性があると思っている。

でも顧客はお前じゃない。
商材がその課題をどう解決してくれるかの成功体験の数がお前と圧倒的に違う。だからツナギがない。この商材がどうこの目の前の課題を解決してくれるかのイメージを持てない。

だから商材の話は最後までするな。
執拗なほどツナギをぶち込んだ後に、それってどうやってやるんですか?って質問が来て初めて、そのスライド出すんだ。

僕が真一さんを恨んだのは、そのツナギについてもっと教えてくれることなく会社を辞めてしまったこと。
僕が真一さんに感謝しているのは、そのツナギについて安っぽいテクニックやトークスクリプトとして僕に与えなかったこと。

切れ味抜群の包丁を持っている営業は一旦その包丁おいて、指が痒くなるまで山芋すり下ろしてみるといいよ。

店長

Xアカウント:@nishi_sales_ai 新卒で大手IT企業に入社し、飛び込み営業から深耕営業、大手企業担当まで第一線で経験を積む(表彰歴多数)。その後、事業企画・営業企画部門で経営に近い立場から営業組織と数字に向き合い、10年勤続を経て独立。営業組織の改善に特化したコンサルタント企業を立ち上げる。 コンサルタントして数々の現場に入りつつ、自ら営業特化の転職エージェントも運営。近年はAIを活用した営業組織の業務改善・生産性向上プロジェクトに携わる。現場の最前線と経営の両方を見てきた視点から、営業3年目前後がぶつかる壁を越えるための実践知を発信する。

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