営業企画に転職したら最初にすること ー正しく無知でいること
営業企画に転職したら最初にすること
営業企画に転職すると、まずすべきは売上や指標などの「数字の把握」と営業組織コンディションの把握の2点です。今後営業企画が主体となって営業現場に対して施策を構築していくにあたり、現状を正しく認識していないと、間違った打ち手や現場の疲弊を促す打ち手を打ってしまう可能性があるためです。営業企画として営業組織の現状を正しく認識する
営業企画として他企業に転職したら、まず最初にすることは営業組織の実態把握です。 主に下記二点につき実態の把握をしましょう。 数字の把握 営業組織状態の把握数字の把握
「数字」として指すものが下記のようなものになります。 売上 経営指標 これらを把握することで定量的に営業組織の現状を把握することができます。営業企画としてこれから様々な施策を構築するにあたり、営業組織の現状を正しく認識する必要があるためです。現状を正しく認識することができていないと、誤った打ち手や営業現場を疲弊させる打ち手を打ってしまう可能性が高くなってしまいます。 何が好調で何が不調か。伸び白や改善ポイントはどのへんか、などのあたりをつける作業になります。またこれらをする上で気をつけたいのが「おそらく自分が数字を分析していて気づいたことは、既に課題として認識され表出している可能性の方が高い」という点です。売上
売上を把握する上で下記観点に沿ってより深い実態把握を進めます。 社単と社数 企業規模ごと 商品カテゴリごと 営業組織ごと 月別トレンド 新規売上と既存売上 上記6点の1年間〜3年間の時系列の変化 経営指標 プロセス指標 企業がKPIとして認識している指標 上記2点の1年間〜3年間の時系列の変化営業組織状態の把握
営業組織状態の把握として現状認識を深める必要があるのは下記二点です。 組織コンディション 目標数値の達成状況 上記二点は深く関連している可能性がありますが、いったんそれぞれを関連付けずに区分して認識することが望ましいです。なぜならば、関連し合っているからこそ、どちらが親でどちらかが子かの特定が困難だからです。組織コンディションが悪いから未達成が続いているのか、未達成が続いているから組織コンディションが悪いのかは、容易に特定することは困難ですし、恐らくスパイラルのような状況になっているため、最初のステップとして思い込みを持たずに現状認識するためにも、別々のものを扱っているという認識で分析を深めることが望ましいと言えるでしょう。組織コンディション
組織コンディションの特定には主に4点をバランス良く見ることが大切です。 (定性情報としての)営業現場のインタビュー (定量情報としての)離職率 (定量情報としての)勤怠の状況や会議参加率 (定量情報としての)組織サーベイなどの結果 上記定量情報の時系列の変化営業現場のインタビュー
かしこまって、改めて場を設定し、インタビューという形でミーティングを実施しなくても構いません。ただでさえ営業企画という部署とは現場からすると「役所」「お上」のような見られ方をしますので、仰々しければ仰々しいほど、本音を引き出すのが困難になります。例えばランチのついでなどでも構いません。確認ポイントとしては、この会社で「営業マンとしての魅力はどのような点にあるか」「大切な友人に営業マンとしてこの会社に転職することを推奨できるか?」「もう一度就職活動や転職活動をやりなおしてでもこの会社に入るか?」という内容で構いません。組織コンディションがよければ、ポジティブな内容が出るでしょうし、悪ければネガティブな内容が出るはずです。注意すべきは下記二点です。ヒアリングする対象がランダムであること ある程度対象者の性格なども考慮すること
離職率
組織コンディションの良し悪しが如実に数字となって現れる結果指標が離職率です。小さな組織だと、N1の影響力が大きいため判断材料としての不安が残りますが、60名から70名の組織だと、年間単位の離職率は機能していると判断して大丈夫です。離職率が高まっているか低下しているかで現状の組織コンディションの測定は可能です。勤怠の状況や会議参加率
離職率が組織コンディションを表す結果指標なのに対して、勤怠の状況(早退、遅刻)や場合によっては定例会議の参加率などは、組織コンディションを表す先行指標と言えます。特に営業企画などの部署が主催する会議体は、営業現場が主催する会議よりも先に出席の優先順位を落とされる傾向にあります。前後関係はあくまでも組織コンディションが良くないがために、遅刻や早退、会議の欠席などを引き起こしているのですが、業績にクリティカルな影響を与えるわけではないため、組織コンディションが悪化していると認識するよりもずっと前に、勤怠や会議の参加率には数字となって現れる傾向にあります。組織サーベイなどの結果
企業によって組織サーベイそのものを実施しているかどうかという点はそもそもの前提としてありますが、ある一定規模の事業や組織になると、なんらかの形で組織力や従業員満足度の調査を実施ている可能性があります。会社全体で実施していなくても営業企画だけで実施していたり、逆のケースもあるので、なるべく多くの人に実施有無を確認するのがよいでしょう。 離職率や勤怠の状況に関わらず、組織サーベイさえあれば、詳細の要因までの特定が可能です。しかし組織サーベイは一ヶ月に一回のようなペースで実施する類のものではないため、情報の鮮度に不安が残る点と、恐怖政治的な事業運営下においては、正しく調査回答していない可能性については留意しなければなりません。達成状況
達成状況は過去および現在の組織コンディションを測定するのに非常に有効です。未達成が続いている状態で、営業マンのモチベーションを維持することは極めて困難です。逆に達成が続いている状況では個別の不安要素があったとしても、全体像として概ね大きな心配をする必要はないと言えるでしょう。 また先述の売上分析については、実績と実績を対比して分析するのに対して、達成状況の分析は目標と実績を対比して分析します。昨年対比で伸びているが達成していないということも、その逆もあります。つまりこれらは必ずしも比例の関係にあるとは限らず、分けて考える必要があることは留意しなければなりません。最初にやってはいけないのは「早く施策を出すこと」
営業企画として新しい会社に入ると、多くの人が早く存在価値を示そうとして、すぐに施策を打ちにいきます。これが、最初の落とし穴。着任して最初にすべきは、売上や経営指標といった「数字」と、「営業組織のコンディション」を、思い込みなく把握することのほうです。現状を読み違えたまま打った施策は、的を外すだけでなく、現場を疲弊させる打ち手になりかねません。 ここで一つ、肝に銘じておきたい前提があります。あなたが数字を分析して「これが課題だ」と気づいたことの大半は、現場ではとっくに課題として認識され、表に出ているということです。だから営業企画の価値は、誰でも気づく課題を「発見」することにはありません。なぜその既知の課題が、これまで手をつけられずに放置されてきたのか。その構造のほうを読むことにこそ、本当の仕事があるのではないでしょうか。数字は「揃える」ためではなく「見えている」状態をつくるために読む
売上は、社単価と社数、企業規模別、商品カテゴリ別、組織別、新規と既存、月次トレンドといった切り口で、できれば1〜3年の時系列で見ていきます。ただ、数字を見るときに気をつけたいのは、目の前の相関を鵜呑みにしないことです。たとえば「コール量が多い人ほど売れている」と思いきや、実際には逆だった。商談で予定が埋まっている人ほどコールする時間がない、という組織も珍しくありません。数字は、思い込みを壊すための道具として使ってこそ意味があるのです。 指標の扱い方そのものも、着任直後に見極めたいポイントです。月末が近づくと着地予測のチャットが飛び交い、スプレッドシートが何度も更新される。けれど、その情報収集は誰を幸せにしているのか、一度問い直す価値があるでしょう。本当に強い組織は、月末に慌てません。日々の案件が手のひらに乗っていて、最初に引いた着地の線へ自然に収束していくからです。大事なのは数字を月末に「揃える」ことではなく、そもそも着地がぶれない状態をつくること。プロセス指標を増やして現場を動員するほど、月末だけが忙しい組織になり、営業が辞める理由がまた一つ増えていきます。営業企画が最初に問うべきは、「この指標は、現場が正しく動いた結果なのか、それとも現場を無理に動かすための号令なのか」ではないでしょうか。KPI設計について知見を広げたい方はこちら。数字で成果を測り、次の一手を決められます。
組織コンディションは「結果指標」と「先行指標」を分け、生の事実で裏を取る
組織の状態と目標の達成状況は、深く絡み合っています。コンディションが悪いから未達が続くのか、未達が続くからコンディションが悪いのか、どちらが原因かは簡単には特定できません。だからこそ、最初は両者を関連づけず、別々のものとして眺めるのが安全でしょう。 組織コンディションを測る指標も、性質で分けて見ます。離職率は、結果として表れる指標。一方、遅刻や早退といった勤怠の乱れ、そして会議の参加率は、より早く異変が出る先行指標です。とくに営業企画が主催する会議は、現場にとって優先順位を真っ先に下げられがちなので、出席率の低下はコンディション悪化のサインとして早く立ち上がります。 そして、これらの数字の裏側は、必ず「生の事実」で裏を取ってください。営業のフィルターを通して整えられた説明ではなく、現場が実際に何を感じ、何に困っているのか。かしこまったインタビューの場を設ける必要はありません。むしろ営業企画は現場から「役所」や「お上」のように見られがちなので、仰々しいほど本音は遠のきます。 ランチのついでに「この会社で営業をしている魅力はどこか」「親しい友人に、この会社の営業を勧められるか」と聞いてみる。聞く相手はできるだけランダムに、ただし相手の性格は少し考慮して選ぶ。それだけで、数字には出てこない温度が見えてくるはずです。営業企画の設計について知見を広げたい方はこちら。場当たりでなく、勝ち筋を設計できます。
→ 「営業のPDCAを確実に高速で回す」営業企画の「Plan(設計)」のお仕事とは|設計という仕事の輪郭──マーケとの違い、目標のつくり方、そして必要な力

