「責任はオレが取るから系上司」に救われた営業マンのエピソード5選
「責任はオレが取るから系上司」に救われた営業マンのエピソード5選!
責任感を持ってメンバーの育成のことを考えていたり、理不尽なクライアントに対して毅然とした態度で責任ある行動を取ってくれたり、メンバーを信頼して任せるその背中をみて、メンバーはついてくるものです。今回はそうした絶大な信頼感を誇る「責任はオレが取るから系上司」についてのエピソードです。
責任感の強い上司
上司と言っても、口ではいいことを言いながらいざその場になると責任逃れをしようとしたり、メンバーのせいにしたりする上司も残念ながらいます。でも本当にメンバーから信頼されている、責任感の強い上司についてのエピソードをまとめました。
30代 派遣営業
震災が起きたときに、それほど被害が大きかったエリアではなかったが、一部のクライアントの中には建物が崩壊したり液状化で建物が傾いたりして、営業がママならないクライアントもいた。「働けるスタッフ(派遣社員)さんを全員集めてクライアントのところに送って差し上げろ。ただし給料はちゃんと払え。でもクライアントから金は取るな」と指示を出した拠点長が自分の上司だった。「何かあったらオレが全部責任を取って自分で払う。だからすぐに人手が必要なクライアントと働けるスタッフを全部リストアップしろ!」と震災が起きた直後に被害状況がわからない中でも指示を出していた。何よりもこういう状況で、保身に走らないその姿勢が働いている社員の心を釘付けにしたのは言うまでもない。
20代 システム営業
6ヶ月ぶりに月間目標を達成した時のこと、それまで長く苦しいトンネルだった。ぜひ達成会を!!という話になったのだが、達成したその日から上司が社長との昇進面談や本部主催の研修への参加で本社に一週間出張。本社絶対主義の会社だったので、それに刃向かうなんてことは許されなかったのだが、「半年ぶりの達成のお祝いを一週間も間を空けることなんてできるはずないだろ!お前らにありがとうを言わずに出張なんか行けるか!」と達成会のお店探しを始めた。責任感とは違うかもしれないが、自分の昇進面談をドタキャンしてでも半年ぶりの達成会でメンバー慰労を優先する上司は本当にかっこいいと思った。
20代 化粧品メーカー
クライアントに言われたことでどうしても納得できないことがあった。どちらかというと自分はYESマンだし、上司に対してもクライアントに対しても反論することはあまりない。しかしどうしてもクライアントの言っている内容よりも自分が主張したい内容の方が、反響が大きいと思っていた。むしろ確信していた。その一部始終を見ていた上司が「自分を信じて自分の思うままにやりなさい。今ここでクライアントの信頼を失う損失より、お前がせっかく破ろうとした殻をふさぐことの方が損失だ。」と言ってくれたこと。
30代 広告代理店
お局営業マンがいた。しかも会社の上層部からの信頼もそこそこ厚かった。それをいいことに部署内ではやりたい放題。なかなかのヤリ手であることは認めるが、とりあえず営業メンバーに対する八つ当たりがすごく、上司であっても後輩にあたるので立場を無視して噛み付くことも多かった。ある日、些細なことでミスをした自分が標的にされ、お局が罵倒されている最中に、隣の部署の若手上司が席まで来て「誰でもミスはする。あなたはミスをしたことがないのか?そもそもそんな影響もない些細なミスで1時間も営業時間を費やしていることが損害だ。今すぐ仕事に戻るか、今すぐ会社を辞めろ」と言いだした。自分の上司には申し訳ないが、その上司の下で働きたいと思った。
20代 クラウドサービス営業
とあるクライアントを引き継ぐことになった。前任が6年目の偉大なエース営業マンで、取引額も全社で3位のスーパービッグクライアントだった。とてもじゃないが自分にはできそうにもないと申し出ると「普段のお前の働きぶりを見て決めたことだ。一生懸命やってもできないことをやらせているつもりはない。死ぬ気でやってみろ。何かあったらオレが助けてやる。」と言ってくれた。その言葉を信じて死ぬ気でクライアントのために仕事をした。結果、前年比で30%以上取引額を伸ばすことができた。あの時なぜ自分に預けようと思ったのか後から聞いてみた。「誰も気づかないところで、人からは見えないようなところで努力をしているのを知っていた。あんな風に言ったけど、普段通りの実力が出せるのであれば、何かトラブルが起きるなんて全く心配していなかったよ。絶対にできると思っていた」と笑いながら言ってくれた。
営業の現場では、日々の積み重ねが成果を大きく左右します。本記事で紹介したポイントを振り返り、明日からの業務に少しずつ取り入れていきましょう。
名台詞の正体は、宣言ではなく「その前に済ませてある宿題」
「責任はオレが取る」。痺れる言葉です。けれど、この台詞を額面どおり「いざとなったら尻拭いをしてくれる約束」と受け取ると、本物の上司の凄みを半分も見落とします。
象徴的なのが、全社で三番目に大きいクライアントを若手に引き継がせた上司の話です。何かあれば自分が助けると背中を押しておきながら、後から本人が理由を尋ねると、内心ではトラブルなど少しも心配しておらず、普段どおりの実力さえ出れば大丈夫だと最初から見ていた、と打ち明けたそうです。つまりこの上司は、責任を取る覚悟を口にすると同時に、責任を取らずに済む算段まで、声に出す前に終えていたのです。彼が本当にやっていたのは、その若手が誰にも見えないところで積んでいた努力を、平時からずっと見ておくことでした。
ここに、本物と口だけの決定的な差があります。口だけの人は下調べもないまま「責任は取る」と言って仕事を放り投げ、本物は相手を十分に見て「任せても壊れない」と踏んでから、最後のひと押しに同じ台詞を使います。言葉は同じでも、裏に積んだ宿題の量がまるで違うのです。台詞は結果であって、本体は事前の観察のほうにあります。
本物かどうかは、ピンチで「自分の何を実際に賭けたか」に出る
「責任を取る」が本物かどうかは、その人がピンチの瞬間に、自分の持ち物の何を実際に差し出したかを見ると、はっきりわかります。
震災の直後、被害の全体像も読めないなかで、働ける派遣スタッフを総動員して困っているクライアントの元へ送り、給料は自社で払い、相手からは一円も受け取るな、損失は自分が全額かぶる、と即断した拠点長がいました。彼が賭けたのは、自分のお金でした。半年ぶりに目標を達成した日に、自分の昇進面談を後回しにしてでも慰労会を優先した上司は、自分の出世を賭けました。隣の部署の若手が些細なミスで長々と罵倒されているのを見かね、立場を越えてかばいに入った上司は、自分の社内での立ち位置を賭けました。
どれも「責任を取る」という言葉の、具体的な中身です。本物は、お金・出世・立場・自分の数字といった、自分にとって確かに痛いものを、その場で一つ差し出しています。逆に、何も差し出さずに発せられる「責任は取る」は、相手を動かすかけ声にすぎません。次にこの台詞を耳にしたら、その人が何を賭けているのかを見てみてください。賭けの大きさが、そのまま言葉の重さです。
上司に責任を取らせる前に「取らせずに済む信頼」を積むこと
ここまでは上司を見る側の話でした。けれど3年目になると、これは自分の足元の話になります。
巨大なクライアントを任された若手が結果を出せたのは、上司の励ましだけが理由ではありません。その前に、誰にも見えないところで努力を積んでいたからです。上司はそれを見ていたからこそ、安心して大きな仕事を預けられました。つまり、立派な上司に責任を取ってもらえる人は、その前に「取らせずに済む信頼」を自分から積んでいた人なのです。
ですから、大きな仕事を任されたいなら順番が逆です。「責任は取ってくれますか」と覚悟を求めるより先に、見えないところでの準備を、見えないままでいいので積み続けることです。人は、そういう積み重ねを意外なほどよく見ています。いざ預けてもらえたときには、もう迷わず思い切り踏み込めばいい。あの若手が前年比で三割以上も伸ばして応えたように、信じてもらえた人は、たいてい信じてもらった以上の数字で返します。やがてあなたが誰かに「任せる」と言う番が来たときも、きっと同じ順番をたどっているはずです。

