コンサルティング営業の仕事内容|5つのステップの回し方

コンサルティング営業の中でも、商品の活用の幅や深さを持ち合わせているコンサルティング営業を題材に、どのような形でクライアントに対してソリューションを提供し、どのような形で顧客満足度を上げているのか、というポイントについて未経験の人でもわかるように噛み砕いてコンサルティング営業の業務の仕事内容と仕事の5つのステップについてまとめました。

コンサルティング営業の仕事内容と仕事のステップ

商品活用の幅を広げることによって、クライアント課題に一番ハマりそうな形で商品提供をしていくことのできる「一般的なコンサルティング営業」についての、普遍的な営業スタイルの仕事内容とステップは以下のようなものになります。

  • クライアントと接点を持つこと
  • ヒアリングによってクライアント課題を掴む
  • ソリューションの方向性の確認をする
  • ソリューションの提案をする
  • 商品提供後はカスタマイズ性で差をつける

1.クライアントと接点を持つこと

まずはどんな営業もクライアントと接点を持つことから始まります。これはその他の営業と全く変わりません。特徴があるとすれば、本当にクライアント課題を解決していけるコンサルティング営業は、自らが営業しなくとも顧客間の紹介で顧客接点を増やし続けることができる人もいます。

2.ヒアリングによって掴むクライアント課題

コンサルティングの本質はヒアリングにあると言っても過言ではありません。どのようなポイントに一番困っているのかをヒアリングによって引き出せることができないとコンサルティングをしていくことは難しいでしょう。もっと突っ込んだケースでいうと「クライアント自身が困っていることに気づけていないポイント」をヒアリングによって引き出し、クライアント自身の言葉で喋らせることによって気付かせることができる営業マンは一流です。

ヒアリングされている内容に回答しているだけなのに、自社が気づけていなかったウィークポイントを表出化させられる営業マンは、それだけでもクライアントにとっては大きな価値のある人と言えるでしょう。

3.ソリューションの方向性の確認

多くの営業マンと「コンサルティング」していくことのできる営業マンの大きな差がこの「方向性の確認」においても露出するケースがよくあります。

コンサルティング営業はその他多くの営業マンが実施しているような「ヒアリング」したら「提案する」のではなくて、「ヒアリング」したら「どのような解決のパターンが考えられるか」の叩き台をその場で出します

ヒアリングした内容の課題解決の方法は一つではないかもしれないし、当然クライアント社内ではその課題解決の方法について既に議論が進んでいる可能性もあります。そこに後乗せで提案した内容がたまたま方向性が一致していれば言うことはないですが、多くは「言っていることはわかるけど・・・」で失注につながってしまうケースの方が多いと言えるでしょう。

これに対してコンサルティング営業は「現時点で社内でどのような議論がされていて」ということを踏まえて「いつまでに」「どのような体制で」課題解決に向けた取り組みを進めるかという点について、その場や二回目の訪問時に選択肢のオプションを提示します。

またクライアントの意向についても慎重なヒアリングを重ねます。特に決裁者にあたる人物がこの課題に対してどのような印象を持っていて、またそれはどのような背景から来ているのかというポイントについても理解を深めます。なぜならば方向性を定める上で、それらが大きな影響力を持つからです。また、課題解決していく際のコストの投資イメージと回収イメージについてもしっかりとクライアントと目線合わせをします。

4.ソリューションの提案

大きな方向性が共有できたら、それを商品にどのような形で落としこむかについての具体的な提案をします。自社のサービスを使って、これまでヒアリングした内容や確認が取れた方向性に沿うような内容を、実際に形にするとどういう商品マトリックスになるのかという点や、どれぐらいの効果・効能が見込めるのか、という提案をします。

おそらくこういう販売形態をとっているケースは売り切り型ではなく継続してクライアントと付き合っていくことが前提となっている商品形態でしょうし、1回目だけではなく、課題解決のゴールから逆算した時に、2回目3回目の商品購入も一緒に提案をして、中期的に課題解決に寄り添う提案内容になっているケースも存在します。

もちろんコスト感やそれに見合った価値の提供の目安についてもしっかりと提案内容では触れられています。他にも営業がクライアント業務にしっかりと踏み込めているケースはクライアント側でどのようなタスクが発生し、いつまでに何をしなければならないのかという点や、どのタイミングでゴールまでの進捗確認をどのような指標でしていくのか、誰に対してどのような報告をどのような観点でしていくのかという点についても言及されているケースもあります。

5.商品提供後が営業の本番

コンサルティング営業として勝ち取らなければならないものとして、顧客の「リピート」があります。クライアントから2回目3回目の発注をいただけるかどうかは、まさにこの1回目の納品の満足度が、事前の期待値を上回ったかどうかという点にあります。

業界や業種によっても大きく異なりますが、コンサルティングしていくということは「カスタマイズ性」が存在するケースが一般的です。つまり、同じ商品名のものを同じ価格で購入したが使われ方が企業によって様々というケースです。なぜそうなるかというとクライアント課題が様々だからです。加えて、事前にそのようなモノの売り方をしているからです。そう考えると商品やサービスを納品して、「ハイ終わり」ではありません。

商品が持ち合わせているカスタマイズ性がきちんとクライアント課題に沿った状態で納品されたかということであったり、想定していた通りの進捗であるかとか、活用イメージがクライアントが事前にイメージしていたものと大きな差が表出している可能性はないか、など、クライアントの課題解決に向けたありとあらゆる手段について検討し、提案する必要があります。

その行為そのもの自体が1円にならなくてもです。それほどクライアント課題をコンサルティングすることに真剣にこだわれる営業マンは、このパートにおいて1ミリたりとも手を抜きません。そうすることでさらにクライアントの信頼を勝ち取り、商品やサービスについての事前のクライアント期待値を少しでも上回ることに尽力するのです。そこまで徹底してクライアントに向き合える一部の営業だけが本来は「コンサルティング営業」を名乗る資格があるのです。

それほどクライアント課題を解決するということの難易度は高く、であるからこそ紳士に向き合える人にとっては崇高な業務であると感じたことがある営業マンも多いのではないでしょうか。

コンサルティング営業を意識するだけで、結果は変わります。お伝えした内容を、次の商談や日々の行動に落とし込んでいきましょう。

ステップは直線ではなく、「行き来」する

五つのステップは、順番に並べられると、一段ずつ上る階段のように見えます。接点を持ち、ヒアリングし、方向性を確認し、提案し、納品後に向き合います。ところが、この順番を一方通行だと思い込むと、かえって失注を招きます。実際の商談は、階段というより、行ったり来たりする往復運動だからです。

たとえば、提案(ステップ4)に進んだところで相手の反応が鈍かったら、それは提案が下手なのではなく、たいていヒアリング(ステップ2)で掴んだ課題がずれていたサインです。ここで無理に提案を押し込まず、素直にヒアリングへ戻ります。方向性の確認(ステップ3)で相手の前提が崩れたら、そもそも接点を持つべき相手(ステップ1)が違ったのかもしれない、と一段戻って考え直します。できる営業は、各ステップを「前に進むための関門」であると同時に、「おかしいと思ったら戻ってよいチェックポイント」として使います。逆に、プロセスを直線だと信じている人は、どこかでずれても、決めた順番どおり先へ進もうとして、ずれを抱えたまま提案に突入してしまいます。五つのステップは、暗記して順番に踏む手順書ではなく、いつでも一つ前に戻れる地図として持ちます。この身のこなしが、教科書どおりに進めて空振りする営業と、ずれを察して立て直せる営業を分けます。

ステップ1の「接点」は、紹介で循環させる

最初のステップである接点づくりについては、「自ら営業しなくても、紹介で顧客接点を増やし続けられる人がいる」と、先に触れられていました。ここは、さらりと書かれていますが、コンサルティング営業の到達点を示す重要な指摘です。この紹介は、どうやって生まれるのでしょうか。

答えは、五つ目のステップの中にあります。既存の顧客の課題解決に本気で向き合い、期待を超えた結果を出します。すると、その顧客が「この人はいい」と、別の会社や別の部署につないでくれます。つまり、五つのステップは一人の顧客の中で閉じるのではなく、五番目の質が、次の顧客の一番目(接点)を生む、という循環をなしています。ここで大事なのは、紹介を「お願い」ではなく「結果」として設計することです。「どなたか紹介してください」と頼んで出てくる紹介には限りがありますが、顧客が自発的に「紹介したくなる」状態を作れば、接点は自動的に増えていきます。そのためには、目の前の一件を、次の紹介の種として丁寧に育てる意識がいります。接点づくりに苦労している人ほど、実は最初のステップではなく、最後のステップの詰めの甘さに原因があることが少なくありません。入口を増やしたいなら、出口の質を上げます。この循環に気づくと、新規開拓の景色が変わります。

※著者の体験

「入口を増やしたいなら、出口の質を上げる」——これは、私が営業として、また営業組織を設計する側として、繰り返し確かめてきたことです。

新規の接点づくりに苦労している営業ほど、原因が最初のステップではなく、最後のステップの詰めの甘さにあることが多い。

以前、ある会社で紹介がまったく回っていない営業がいました。彼は「どなたか紹介してください」とお願いして回っていたのですが、そうやって頼んで出てくる紹介には限りがある。

そこで私が変えさせたのは、紹介を「お願い」ではなく「結果」として設計することでした。既存顧客の課題解決に本気で向き合って、期待を超える結果を一件出す。すると、その顧客が「この人はいい」と自発的に別の部署や別の会社につないでくれる。

実際、その営業が一社で深く成果を出したら、そこから〇件の紹介が自然に生まれて、半年後には新規開拓のやり方そのものが変わっていました。

五番目のステップの質が、次の顧客の一番目を生む。この循環に気づくと、接点づくりの景色が変わるんです。

ステップ3〜4では、担当者の後ろの「決裁者」を動かす

方向性の確認と提案の段階では、「決裁者がこの課題にどんな印象を持っているか」を理解すべきだと、先に述べられていました。ここは、実務で最もつまずきやすいところなので、掘り下げておきます。目の前の担当者がどれだけ納得しても、決裁の場で話が止まる――これは、本当によく起きます。

理由は単純で、提案を最終的に判断する決裁者は、商談の場にいないからです。担当者はあなたの熱意も論理も直に浴びていますが、決裁者が見るのは、担当者が持ち帰った一枚の稟議書だけです。だから営業がやるべきは、担当者を説得することではなく、担当者を「社内の推進者」に変えることです。具体的には、担当者が上司に説明するための材料をこちらから渡します。

投資に対する回収の見通しを数字で示し、稟議で必ず問われるであろう論点への答えを用意しておき、同業他社の導入事例を添えます。担当者が社内会議で「この投資は妥当だ」と自信を持って語れる武器を持たせるのです。商談は目の前の担当者と交わしますが、勝負が決まるのは、あなたのいない決裁会議の場です。そこで勝つための準備を、ステップ3と4のうちに仕込んでおきます。決裁者を動かすとは、決裁者に直接会うことではなく、担当者を通じて決裁の場に影響を届けることなのです。

※著者の体験

「勝負が決まるのは、あなたのいない決裁会議の場だ」——これは、私がリクルート時代の法人営業で、痛い失注を重ねて骨身にしみたことです。

目の前の担当者が熱心に頷いてくれて、手応え十分だったのに、後日「稟議が通らなくて」と連絡が来る。この失注を、若い頃の私は何度も食らいました。

原因は明快で、提案を最終判断する決裁者は商談の場にいないんです。担当者は私の熱意も論理も直に浴びているけれど、決裁者が見るのは、担当者が持ち帰った一枚の稟議書だけ。

そこで私がやり方を変えたのは、担当者を「説得する」のをやめて、「社内の推進者」に変えることでした。担当者が上司に説明するための材料——投資に対する回収の見通しを数字で示し、稟議で必ず問われる論点への答えを用意し、同業の導入事例を添える——をこちらから全部渡す。

担当者が社内会議で「この投資は妥当だ」と自信を持って語れる武器を持たせた瞬間、通り方がまるで変わりました。

決裁者を動かすとは、決裁者に直接会うことではなく、担当者を通じて決裁の場に影響を届けることなんです。

そもそも、ステップを踏めばコンサルティング営業になれるのか

ここまで、ステップの行き来、接点の循環、決裁者への働きかけを見てきました。最後に、コンサルティング営業を「五つのステップ」と手順化することの、功と罪を考えてみたいと思います。

手順化には、大きな効用があります。未経験者に、何をどの順でやればいいのかという道筋を与えてくれます。これは、手順を示すことの本来の狙いでもあり、実際にありがたいものです。しかし同時に、手順化はひとつの錯覚を生みます。「このステップを踏めば、自分もコンサルティング営業になれる」という錯覚です。ところが、五番目のステップで示されていたように、この仕事の本質は、「一円にならなくても手を抜かない」という姿勢の側にあります。それは、手順の外側にあるものです。五つのステップは型であって、型を完璧になぞっても、それだけではコンサルティング営業にはなりません。なぜなら、この五つの手順は、「この顧客の課題を本気で解決したい」という動機があって初めて機能するものだからです。動機が「売りたい」のままステップだけを真似ると、出来上がるのは、精巧な御用聞きです。ヒアリングも、方向性の確認も、テクニックとして使えば、相手にはたいてい見透かされます。

つまり、五つのステップという「どうやるか(How)」の議論は、その手前にある「なぜこの顧客の課題を解決したいのか(Why)」が埋まっていないと、空回りします。手順は、動機の代わりにはなりません。ここを取り違えて、動機の空白を手順の精緻さで埋めようとすると、技術は上がっても、顧客の心は動かない、という壁にぶつかります。

では、五つのステップは役に立たないのかというと、そうではありません。その本当の使いどころは、順番を覚えることよりも、「自分がどのステップで手を抜いているか」を突きつけてくれるところにあります。多くの営業は、深いヒアリング(ステップ2)と、納品後の徹底したフォロー(ステップ5)を飛ばして、接点からいきなり提案へ(ステップ1から4へ)と最短距離を走りたがります。ちょうど、時間がかかって、すぐには売上にならない工程ほど、飛ばされやすいのです。五つのステップを並べる価値は、この「自分が無意識に飛ばしている工程」を可視化し、そこにこそ差がつくのだと気づかせてくれることにあります。手順は、なぞるためではなく、自分の穴を映す鏡として使います。そう捉えたとき、五つのステップは、ただの作業リストから、自分の営業を見直すための道具に変わるのだと思います。

※著者の体験

「動機が"売りたい"のままステップだけを真似ると、出来上がるのは精巧な御用聞きだ」——これは、私が営業組織の育成に関わる中で、何度も目にしてきた壁です。

ヒアリングも方向性の確認も、テクニックとして使えば、相手にはたいてい見透かされる。

私がある組織で新人育成の型を作ったとき、最初はこの五つのステップを手順書として渡していました。でも、型を完璧になぞれる子ほど、なぜか受注につながらない。

掘っていくと、彼らは深いヒアリング(ステップ2)と、納品後の徹底したフォロー(ステップ5)を飛ばして、接点からいきなり提案へと最短距離を走っていた。時間がかかって、すぐには売上にならない工程ほど、無意識に飛ばされていたんです。

そこで私は、ステップを「なぞるための手順書」から「自分がどこで手を抜いているかを映す鏡」として使わせるように変えました。

型を並べる本当の価値は、順番を覚えることではなく、自分が無意識に飛ばしている工程を可視化して、そこにこそ差がつくと気づかせることにある。

手順は、動機の代わりにはならない。でも、動機のある人が自分の穴を見つける道具としては、これ以上ないんです。

あわせて読みたい

筆者:店長

営業と、競馬と、しゃべる植物。あっAIも。つい、いろいろ作ってしまう人です。

→ 店長の正体(詳しいプロフィール)

店長

Xアカウント:@nishi_sales_ai 新卒で大手IT企業に入社し、飛び込み営業から深耕営業、大手企業担当まで第一線で経験を積む(表彰歴多数)。その後、事業企画・営業企画部門で経営に近い立場から営業組織と数字に向き合い、10年勤続を経て独立。営業組織の改善に特化したコンサルタント企業を立ち上げる。 コンサルタントして数々の現場に入りつつ、自ら営業特化の転職エージェントも運営。近年はAIを活用した営業組織の業務改善・生産性向上プロジェクトに携わる。現場の最前線と経営の両方を見てきた視点から、営業3年目前後がぶつかる壁を越えるための実践知を発信する。

この著者の記事一覧

\ 最新情報をチェック /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です