既存顧客のリピート率のKPI設計ムズすぎワロタwwwwww
とある業界特化型の原稿掲載型の広告モデルの企業の営業支援に入らせてもらった時のこと。見てくださいと言われて出された資料が結構衝撃的だった。
もう何十年も昔からあるリクルートのリクナビやホットペッパーのようなサービスがイメージとしてわかり易い。
「顧客満足度調査の結果」では、採用成功や費用対効果などの結果指標が再発注の大きなファクターになっているというデータに対して
実際のリピート率の調査においては「採用成功したか」とか「当初設計した費用対効果に到達できたか」と実際のリピートには何の相関もないというデータだった。
前者は掲載型広告というビジネスモデルの宿命ともいえるので、当然顧客満足もリピートの有無も顧客は「結果」を厳しくチェックしている。との認識で、なんら違和感はなかった。
後者はその真逆で、投資の回収ができたかどうかは何らリピートに影響を与えることがない。「顧客はこう言ってる」けど「データは真逆を示している」という状態だった。
おもろいやん。
まず僕がデータを見る時、この場合で言うとリピート率の方なんだけど「偏りがないか、あるとすればどこか」を見る。つまりリピート率の高い顧客群とそうでない顧客群。
結論はシンプルで取引規模の大きい顧客は85%前後に対して、少ない顧客は45%程度。平均は60%という結果だった。つまりリピート率に偏りはある。一方で実際の費用対効果の測定で言うと、大手であっても小規模であっても
顧客が設定したハードルに対するクリア度合いでいうとマチマチ。
つまり取引規模によるリピート率の差はあったが、それは「広告効果」との因果はない。というデータになった。
扱っている商材ごとは?担当してる営業による違いは?もしくはそれらをクロス集計してみると?といろんな角度を分析してみたものの、"リピート率"と"費用対効果=結果"はマジで相関がなかった。
とすると、"費用対効果=結果"以外の何がリピート率に影響を与えているのか。
もちろん、商材ごとにリピート率は違った。ただそれは構造や商品特性の違いとも言えるような気がして、事業の努力の結果とはちょっと思いづらかった。
言い換えると「それを深堀りしたところで、営業行動の変容を促す何かが見えるわけではないのでは」
もちろん、担当営業によるリピート率の差は有意なものとしてある。ただし、その半分は先述の取引規模に集約される気がして、「大きい顧客を持っている営業ほどリピート率が高い」
に邪魔されている気がして、ここで営業×取引規模ごとになるとサンプル数が少なすぎてもはや有意とは言えないN数となってしまった。
発注者側の体験として、少なからず営業行動がリピートに与えるだろうよ、というのはある。
二度とこの営業には発注したくない。と思うことも残念ながら何度かあったが、その逆はただ単に「関係性」という非再現性の極みのみ。
とてもじゃないけど、データとして現れることはないだろう。
ん?データとして現れることはない?ものが、リピートを定義している、としたら?
企画機能としてお手上げなのだろうか。「今データがなくて測定できない」と「機能していない」は同義ではなくない?
ここまで到達するのに、僕の87_既存リピート率設計のフォルダに入ったExcelファイルのVerは12を数えた。
仮に、今データがない。もしくは今後も測定できない何かが「顧客のリピートを定義している」のだとしたら。
知るべきは「その内容」「タイミング」であり、努力すべきは「そのタイミングのアジャスト」と「内容に対するアプローチ」と比較的シンプルな整理まではできた。問題はここからである。
最初に思いついたのは「第一想起」だった。要はリピートするタイミングで、自社のことを思い出してもらえるのかその選択肢の一つに数えてもらえるのか。
これは割と早い段階で捨てた。なぜならば広告掲載期間終了後、改めて広告掲載する場合のほとんどはこちらからタイミングを見計らってプッシュするケースの方が圧倒的に大きく、顧客の想起状況に関わらず、連絡先が分かり連絡が繋がれば選択肢として残ることができるのは体感的に知っていたからだ。
次に思い付いたのは、別のコンテンツで記載した「初期の思ってたんと違う」を潰すことだった。
つまり掲載型広告において、想定よりも大幅に費用対効果が悪化したスタートの場合「原稿効果初速に対してスピード感ある打ち手を打つ」
これは色々な角度から検証しても明確に否定する材料は見つからなかった。
むしろ調べれば調べるほど、掲載型広告の原稿修正やターゲット変更に対しては制限も多くて、時間を要するもので顧客の不満がたまりやすい構造であることは疑いようがなかった。
データがないので検証はできないのだけど、一旦小さくスモールスタートをした。
内容は「原稿掲載時の初稿確認のタイミングで、二案承認をもらっておく」という施策。片方を掲載する、初速を見て一定のラインを下回ったら、即座に差し替えるというものだった。
それまでは、原稿掲載をして掲載期間中の振り返りのタイミングで顧客と効果について認識合わせをして必要に応じて原稿修正の提案をする。顧客はそれを揉む。GOが出たら原稿差し替えの手続きを進める。で限られた掲載期間のうち結構な時間を使ってからしか修正対応がきかなかった。
先に承認をもらっておく。これは結構クリティカルな可能性を感じた。
ただし、想定以上に営業・制作・顧客全てにおいて原稿作成・原稿確認の負荷が大きく、N数が担保できず検証としてデータを得るほどの数は集まらなかった。しかしながら、個人的には抜群の結果を残す予兆が垣間見えた。
N数が足りない分を補おうと、掲載終了後の振り返りMTGに参加をさせてもらい今回の二原稿推進体制についてご意見をお伺いさせていただく場を設けさせていただいた。
象徴的だったのは「原稿って変えたら効果変わるんですね、ちゃんとしなくちゃって思いました」というとある顧客の言葉だった。逆に当初想定していた「スピード対応」についてはむしろ顧客負荷も高く、想定していた期待ほどの明るい声は少なかった。
僕が気になったの「原稿を変えるという行為そのものなのか」それとも「効果を見ながら原稿変更の提案と実行をしてくれる寄り添いのスタンスなのか」どちらなのか、という点。
ダイレクトに質問しても有用な回答が得られる可能性が低いと思った僕は、あえて回答を制限せずに聞いてみた。
今回、お付き合いさせていただく中で、弊社の競合に当たる会社との差異ってどこにありましたか?という問いに対して顧客は重ねてこう言った。
「んー。回答になっていないかもしれませんが、原稿って変えたら効果変わるんですねという気づきをいただけたことですかね。そのためにも、原稿をこう変えるべきってご提案いただけるのが前提条件になってくるかもしれませんが」
そして補足すると"この顧客は原稿変更によって、さらに効果が悪化した"という特筆すべき点を持っている。それでも原稿運用で効果が変わるという一点は刺さったのだ。なぜならば彼は部署異動でこの原稿マネジメントに初めて携わり、広告や原稿というものに初めて触れたから、である。
二点の抽出条件が出てきた
・良くも悪くも、ターゲティングや表現などの効果を左右する内容をドライバーにして原稿運用すると効果がわかるという体験をしてもらうこと
・経験が少ない担当者の方がレバレッジが効きやすい可能性が高い
つまり、広告効果という変数が多すぎてよくわからないものを「操縦できるかもしれない」という認知の変更ができたかどうか、というのがリピートKPIに大きく利かせれるのではないか。今もこの施策は継続運用中である。
リピート率を上げるために、結果を良くする必要はないのかもしれない。
必要なのは、結果の良し悪しではなく「なぜそうなったのか」を顧客と共有できているかどうか。
ブラックボックスの中でたまたま当たった成功よりも、外れたとしても再現可能な一手を理解できた体験の方が、次の発注に繋がるのではないかと見ている。
もしそうだとすると、営業が設計すべきは成果ではなく、「顧客が因果を理解できる体験」なのかもしれない。平たくいうと、営業と顧客が一緒に成長できたかどうかということなのではないだろうか。
