【意味・使い方】ペンディングのビジネスシーンでの使い方

ビジネスシーンでの使用頻度の高い「ペンディング」の意味と使い方を例文を交えてご紹介します。

はじめに

ペンディングとは保留するという意味です。ビジネスパーソンなら知っていて当然ともいえる「ペンディング」。ITの業界で使われることが多かったようですが、現在ではかなり広く使われるようになっています。意味や使い方はもちろん語源や派生的使われ方までご紹介します。明日から正しく使えるようになりましょう。

ビジネスの世界における「ペンディング」の使われ方

ペンディングの意味とは

英語のペンディング(pending)は未解決の、未定の、起ころうとしていると訳され、「まだこれからだがこれから先起こること」に付けることを表す形容詞です。ビジネスシーンで使われるペンディングは上で示した保留や、棚上げと言い換えられますが、言葉の意味としては将来的に起きるという点で前向きな言葉であるといえるでしょう。

また、英単語ペンディングのもとになっているのは中期フランス語pendreが英語圏で使われる中で変化したpendです。ぶら下がること、寄りかかることなどと言った意味でペンダントの語源にもなっています。

「宙に浮いた状態にしておいて」というのが本来的なペンディングの意味といえます。

ペンディング=中止(キャンセル)?

先に述べたとおり、ペンディングとは問題をいったん棚上げにして目の前の問題が解決してから処理するという意味です。しかし、ペンディングが中止という意味で使われることもあるのです。

例えば新人の初めての企画案が採用されていざ始めようというときに、予算が下りないなどの理由で中止せざるを得なくなった場合、上司は時に「あの企画はペンディングになったよ。」という伝え方をします。これからやる、という希望を残した言い方をしているわけですね。ここでの言葉選びはお流れとは言わないというやさしさなのです。

類語と略称

ビジネスにおけるペンディングの類語にはこんなものが考えられます。

  • 懸案中の
  • 延期
  • 未処理
  • 休眠状態
  • 繰り延べ

人によっては先送りや後回しのように悪い印象をもつこともある「ペンディング」は「P」という隠語で表現されたり、単に「ペンド」と略されたりします。

使い方例文

この件はペンディングしておこう

ペンディングしてあったあの事業計画どうなった?

便利さの裏側 ―「ペンディング」の乱発が案件を滞らせる

「ペンディングで」は、その場の空気を波立たせずに話を先に進められる、とても便利な一言です。決めきれない案件も、いったん脇に置けば会議は前に進む。ただ、この便利さには裏があります。決めない選択を安易に繰り返すと、脇に置いた案件がどんどん積み上がり、気づけば「宙に浮いたまま誰も触らない案件」の山ができあがります。とくに営業の現場では、保留にした商談ほど熱が冷めやすく、時間が経つほど再開のハードルが上がる。相手の関心も、こちらの記憶も薄れていくからです。ここで意識したいのは、保留は「決断を先延ばしにしているだけで、まだ何も解決していない」という事実です。ペンディングという言葉は、決めていない状態をあたかも一つの結論のように錯覚させる力を持っています。「保留にした」ことで仕事を進めた気になってしまう。この錯覚に気づき、何でも棚上げにする癖をつけないことが、案件を前に動かし続ける第一歩です。

保留するなら条件と期限をセットで ― 宙吊りを「管理された保留」にする

保留そのものが悪いわけではありません。情報が足りない、決裁が下りていない、相手の返事待ち。今すぐ決めないほうが賢明な場面は確かにあります。問題は、ただ「宙に浮かせる」だけで終わらせてしまうことです。使える保留にするには、棚上げする瞬間に二つのことを必ず決めておきます。ひとつは条件。「何が分かれば、あるいは何が動けば、この件を再び検討するのか」を明確にする。「先方の予算が確定したら」「上の承認が下りたら」と、再開の引き金を言葉にしておくのです。もうひとつは期限。「いつ改めて見直すか」の日付を決め、自分の予定表に書き込んでおく。この二つがあれば、保留は「忘れられる案件」ではなく「予定された再検討」に変わります。ただ横に置くのと、いつ何をきっかけに戻すかを決めて置くのとでは、同じ保留でも結果がまったく違う。宙吊りにするなら、戻すための糸を必ず一本つけておくことです。

相手を保留するときの配慮 ― 放置と保留を分ける途中経過の一報

自分の中で保留にするのと、相手を待たせる保留とでは、必要な気遣いが変わります。こちらが「検討中」と思っていても、返事を待っている相手からは、ただ音沙汰がないだけの「放置」に見えているかもしれません。相手には、こちらの社内事情も検討の進み具合も見えないからです。だからこそ、保留にしている間こそ、途中経過の一報が効きます。「いただいた件、社内で前向きに検討しておりますが、結論までもう少しお時間をいただけますでしょうか」と一言入れるだけで、相手の不安は大きく減ります。結論が出ていなくても、「忘れていませんよ」「進めていますよ」と伝えることには意味がある。逆に、保留を理由に連絡を途切れさせると、相手は「軽んじられている」と感じ、そのまま関係が冷えてしまうこともあります。保留とは、相手との間の糸を細くはしても、切らないこと。待たせるなら、待たせている自覚を相手に見せることです。

相手の「ペンディング」を読む ― 婉曲の断りを見抜き、次の一手を打つ

保留は、自分が使うだけでなく、相手から使われる場面もあります。商談で相手が「一度ペンディングにさせてください」と言ったとき、それが文字どおりの保留なのか、やんわりとした断りなのかを読み分けることが大切です。本気の保留であれば、相手は「何が決まれば進むか」という条件を口にします。逆に、条件も期限も出てこず、ただ濁すような保留は、実質的な「今回は難しい」のサインであることが少なくありません。ここで見極めを誤り、いつまでも待ち続けるのは時間の無駄になります。かといって、断りと決めつけて引くのも早計です。有効なのは、こちらから次の引き金を差し出すことです。「どういった点がクリアになれば、前に進められそうでしょうか」と尋ねてみる。相手が具体的な条件を返してくれば脈があり、言葉を濁すなら潮時と判断できます。相手の保留を額面どおり受け取らず、その裏にある本音を一つの質問で確かめにいく。この一手が、待ちぼうけと深追いの両方を避けさせてくれます。

そもそも保留とは「決めないことを、決める」行為である

ここまで保留の扱い方を具体的に見てきましたが、最後に、そもそも「保留する」とはどういう行為なのかを問い直しておきたいと思います。ビジネスの世界では、しばしば決断こそが善で、保留は決めきれない弱さや逃げのように語られます。素早く決める人が有能で、保留を選ぶ人は優柔不断だ、という空気があります。けれど、この捉え方には大きな見落としがあります。保留とは、本来「何もしていない」ことではなく、「今は決めない、と決めている」ことだからです。

ここで決定的に大事なのは、外から見ればそっくりな二つの状態を、はっきり区別することです。一方は「放置」。決めなければならないのに、考えることそのものから逃げ、なんとなく先送りしている状態です。もう一方が本来の「保留」。今はまだ決めるべき時ではないと判断し、何を待つのかを自覚したうえで、意図的に手を止めている状態です。この二つは、今すぐ動かないという見た目こそ同じでも、中身は正反対です。放置には意思がなく、保留には意思がある。放置は思考の停止であり、保留は思考の一部なのです。

そう考えると、判断力とは「速く決めること」だけを指すのではないと分かります。むしろ、まだ材料がそろわない段階で拙速に決めてしまうことのほうが、危うい場合もある。本当に判断力のある人は、決めるべき時に決める力と同じくらい、「今は決めない」と意識的に選べる力を持っています。決断と保留は対立するものではなく、どちらも同じ判断という営みの表と裏なのです。

そして、ペンディングという横文字が意外に役立つのも、まさにこの点にあります。「まだ決めていない」という、つかみどころのない宙吊りの状態に、一つの名前を与えてくれるからです。名前がつくと、それは扱える対象に変わります。「これはペンディング案件だ」と呼べた瞬間、それは忘れ去られる曖昧なもやではなく、条件と期限を管理すべき一つのタスクになる。言葉が、宙に浮いた状態を、手で扱えるものに変えるのです。だからこそ、保留を逃げの言い訳として使うのか、それとも機が熟すのを待つための戦略として使いこなすのか。その使い方の差にこそ、決断力の裏側に隠れたもう一つの実力が表れます。

おわりに

ビジネスシーンでの使用頻度はかなり高い「ペンディング」ですが、改めて意味を確認してみると、合理化の進む社会の中で本来の意味とは異なるマイナスのイメージをはらむようになってきたことがわかります。しかし反対に、昔ながらの日本的思いやりのこもった言葉としても使われているようです。言葉に着目してみると私たちの住む国や社会のありかたについて新しいインサイトが得られるかもしれませんね。

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筆者:店長

営業と、競馬と、しゃべる植物。あっAIも。つい、いろいろ作ってしまう人です。

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