提案書を捨ててみた

提案書を捨ててみた

「僕の話を聞いてください」という立て付けで提案というものが存在し、「どんな話をすればいいか教えてください」という前工程のヒアリングという場が存在する。

提案というのは、基本的にはピラミッド的な構成になっていると思っていて、土台があり、基礎があり、鉄筋があり、そしてハコ(建物)がある。
土台や基礎が揺れ出すと、当然天守閣みたいな場所は崩れやすい構造にある。
でも残念ながら、当の本人はこの日のために準備した内容を誠実に伝えることに精一杯で、顧客のメガネがズレはじめていることに気づけたとしても、”どこ見てるのか”がわからなくて、なんならその見ている先がわかったとてそこに着陸する修正の仕方がわからず、やむなく微妙な空気のまま軟着陸することを優先する。

なぜ、こういった構造が起こるのかというと、提案は一方通行であり「当てにいくゲーム」にすごく近い。こうしたことが起こらないように、ヒアリングの段階で顧客の情報をキャッチして提案の方向性を握って・・・。としても起こりうることだと思っている。

話は変わるがGoogleカレンダー見てみると結構面白い発見があって、多くの営業がスケジュールタイトルに色をつけて管理いる。相談の時間、社内の会議の時間、そして商談の時間。薄い赤や緑とかに色分けとかしてね。

これら種々のカテゴリごとの時間枠について、「何を扱う時間か」という区切りで見てみると、実は全部同じ薄い黄色?で統一できることがわかる。それは全ての時間が「情報」を扱っているという点。

そう、情報を渡す側もあれば、情報をもらう側もあれば、情報を参加者とともに作り出す時間もある。でも営業が予定として抑えている時間の大半は、情報の伝達に費やしているに過ぎない。

とすると、果たして営業が顧客に提案=情報を渡す場というのは、渡すとGoalなのだろうかと考えると、いやそうじゃないという謎の立て付けになる。なぜならばその後に、顧客に結論をいただくというもう一回先方から当社への一方通行があるからだ。”結果的”合意形成がGoalだ。

なぜ社内で色々なプロジェクトに携わり、会議に参加して議論をし、合意形成をする一人のメンバーとして椅子に座っている営業が、顧客に対しては会議という議論の場をすっ飛ばして”突きつけて返事をもらう”という形にこだわるのだろうか。

では、提案という一方通行を捨ててしまったとしたら顧客と何を議論するのだろうか。僕はこれまでディスカッションペーパーというペラ1を何十枚と作成してきた。

要は「語ろうぜ」というスタイルになっているものについては全てがディスカッションぺーパーの中に収まる権利があると思っている。

3点。
それは顧客の時間をもらって語るべき論点なのか
かつ
その語らいを通じて顧客と営業の間に合意形成がなされるテーマなのか
そして
その合意形成の内容が、発注へと続く道程の途中に置かれているものなのか、である。

例えば、
SFASaaS関連の営業マンは、充実した機能を持つSaaSサービスへのリプレイスを検討する顧客と「なぜ営業は情報の入力をしないのか」というテーマで議論をしてみるといいかもしれない。

研修の営業マンだったら、受講者の研修後の変化に課題を抱える顧客と「受講者に向けた研修前の設計」というテーマで議論をしてみるといいかもしれない。

正直、そんなことしなくてもいいケースというのはたくさんあると思う。
そして、提案を外さないための保険かというと、ディスカッションペーパーは保険というには少しカロリーが高い。

そう、ディスカッションペーパーは一定程度の、場や議論をコントロールするスキルというものも求められる割に、「これでいい?→OK、いいよ!」という「提案→返答」のわかりやすさ、では完敗している。

どちらかというと僕が言いたいのは、顧客とのディスカッションテーマを設定して、30分程度で合意に到達できるようなテーマですら議論ができない営業が、顧客を唸らせるような提案ができるとはどうしても思えないのだ。

そんなことしなくていい、ではなくて”そんなスキルがない”が大半だと思っている。

試しに営業に、テーマの設定とどんな感じで議論する?と3時間ほどの勉強会コンテンツでフリーハンドで書かせてみたことがある。
メモリ4Gぐらいのしょぼしょぼパソコンかって言うぐらいフリーズする。

条件は三つ。
それは顧客の時間をもらって語るべき論点なのか
かつ
その語らいを通じて顧客と営業の間に合意形成がなされるテーマなのか
そして
その合意形成の内容が、発注へと続く道程の途中に置かれているものなのか、である。

実は、提案というのはこれらのStepが”顧客内でのみ完結”して発注するよ・今回は見送るわ。と結論を渡されているだけじゃないかな、と思うケースが散見しているように思う。

ディスカッションペーパーは提案の代わりにはならないかもしれない。
でも、顧客と同じ方角向いている椅子に座るチケットと考えると、コスパいいアプローチだと思う。

店長

Xアカウント:@nishi_sales_ai 新卒で大手IT企業に入社し、飛び込み営業から深耕営業、大手企業担当まで第一線で経験を積む(表彰歴多数)。その後、事業企画・営業企画部門で経営に近い立場から営業組織と数字に向き合い、10年勤続を経て独立。営業組織の改善に特化したコンサルタント企業を立ち上げる。 コンサルタントして数々の現場に入りつつ、自ら営業特化の転職エージェントも運営。近年はAIを活用した営業組織の業務改善・生産性向上プロジェクトに携わる。現場の最前線と経営の両方を見てきた視点から、営業3年目前後がぶつかる壁を越えるための実践知を発信する。

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