営業アシスタントの目標の立て方|数字にしにくい貢献を測る軸
営業アシスタントの業務は営業のかわりにクライアント対応をするか、営業職の雑務を引き受けるかの二つに大別されます。どちらにせよ、数値化や管理シートなどへの記入を通じ、営業アシスタントとして目標を立てる機会は存在するのではないでしょうか。営業アシスタントに求められる目標設定について解説していきます。
営業アシスタントの目標
営業マンであれば月間やクオーターなどの一定期間で、自分が追いかけるべき目標が存在するのが一般的ですが、営業アシスタントの場合は目標を持つのでしょうか?
結論からいうと、会社によって全く扱いが異なります。厳密にいうと営業アシスタントの業務内容によって大きく異なるという表現の方が言葉としては正確です。
営業事務の場合
こちらをご確認いただきたいのですが「営業事務の業務内容」例えば営業事務のように複数の営業マンを束ねる役目としての営業事務であれば、例えば場合によっては自分が担当する営業マンの目標額の総和、つまりグループだとかチーム全体の目標を背負っているケースもあります。しかし営業マンほど、その達成に対しての責任関与度は低く、給与への反映という意味でいうと、目標達成したかどうかよりも営業事務としてのスキルや貢献度合いの方が、そのシェアは高いと言えるでしょう。
営業アシスタントの場合
営業アシスタントの場合は、先述したとおり、業務内容によって大きく異なります。基本的には業務内容に沿った目標が設定されているはずです。目標というのは、数値としての売上を指すケースもあれば、対応を何件こなすとか、率を何%にするというような数値を目標とするケースもあります。
【営業事務・アシスタント特集記事】
- 営業事務が変える営業組織!
- 営業事務が変える営業マンの営業効率
- 営業が求める「攻めの営業事務」が実施する5つの営業サポート
転職を考えているあなたへ
- 営業事務として転職する際に、面接官に見られる5つのポイント
営業アシスタントの業務内容と目標について
営業アシスタントの目標を知るには、業務内容を理解しないことにはなかなか目標についての理解は追いつきません。しかしながら、営業アシスタントも業種や企業によって業務内容は大きく異なるため、代表的な二例について理解が深まれば幸いです。
- 営業のサポートとしてクライアントを直接サポートするケース
- 複数の営業マンの雑務を対応するケース
営業のサポートとしてクライアントを直接サポートするケース
業務内容について
この場合における業務内容とは、直接の訪問はせずとも電話等でクライアントをフォローするケースです。主に受注後のクライアントに対して現状困っていることや、商品の活用のアドバイスなどの電話で全て完結するようなフォローを実施します。もし自分だけでは対応できないケースや、新しいニーズが明らかにありそうな時、または直接話した方が良さそうなケースなどは営業に接続し、後日営業が訪問します。
目標について
こうしたケースにおける目標は当然、業務内容に準じた目標を背負うことになりますので、売上という意味での数値目標を持つこともあります。例えば、フォローしていくなかでの単価アップや継続受注を電話でしてしまうケースや、営業に接続した後の売上なども含みます。他にも電話で継続受注をはかり、その件数を目標として背負うなどのケースも存在します。
複数の営業マンの雑務を対応するケース
業務内容について
例えばスケジュール調整だったり、クライアント向けの資料を営業からの指示のもと、作成したりするような業務を担当します。他にも社内の受注システムの登録や請求書と受注内容の突き合わせや、その他数字や資料のチェックや添削など、比較的誰でもできるような単純作業や型化された業務を担当します。
目標について
こうしたケースではあまり、数字としての目標を担当することはありません。クライアントとの直接のやりとりなども業務連絡やスケジュール調整などにとどまるため、自身がきっかけとして数字が動くという立ち位置にそもそもいないためです。それよりも役割として期待されていることは、依頼された業務をミスなくこなすことの優先順位の方が高いため、目標などを背負うことはあまり一般的ではないという認識で全く問題ありません。
目標を意識するだけで、結果は変わります。お伝えした内容を、次の商談や日々の行動に落とし込んでいきましょう。
支援業務を「測れる目標」に変える三つの軸
売上という数字を直接背負わない立場でも、目標そのものは十分に設計できます。難しいのは「何を数えるか」の一点に尽きます。ここでつまずくと、目標が「業務を効率化する」「サポートを頑張る」といったスローガンに寄ってしまい、達成したのかどうかを本人も上長も判断できなくなります。おすすめしたいのは、支援業務を次の三つの軸に分けて指標を置く方法です。
一つ目は処理スピードの軸です。見積書や提案資料を、依頼を受けてから納品するまでのリードタイムで測ります。たとえば「通常依頼は翌営業日中、急ぎ案件は当日中に返す」といった目安を置くと、営業がクライアントを待たせる時間が短くなります。件数ではなく「待たせない速さ」を数字にするのがポイントです。
二つ目は正確性の軸です。ここは件数を追うと必ず抜け落ちる領域なので、あえて分けて置きます。受注システムへの入力ミス率、請求内容と受注内容の突き合わせでの差異検出、そして資料の差し戻し・修正依頼の件数を、前の期と比べてどれだけ減らせたかで見ます。処理量が増えても差し戻しが増えれば営業活動全体は遅くなりますから、スピードと正確性は必ずセットで持たせます。
三つ目は営業の稼働率への寄与という軸です。これは支援職ならではの目標で、自分の動きが「営業が顧客と向き合える時間」をどれだけ生み出したかで測ります。商談準備の待ち時間を減らす、問い合わせの一次対応を自分の側で完結させて営業に回す件数を減らす、といった動きが該当します。営業が本来やるべき仕事に集中できた分だけ、あなたの貢献は数字の手前で効いています。
目標を数字へ落とし込む手順——本人と上長で一緒に組む
軸が決まったら、あとは順番に落とし込んでいきます。ここは本人だけで抱えず、上長と一緒に組むことをおすすめします。前提の認識がずれたまま数字だけ決めると、期末に「そもそも条件が違った」ともめる原因になるからです。
最初に、自分の業務を棚卸しして小さく分解します。「資料作成」とひとくくりにせず、「テンプレート流用で済むもの」「一から作るもの」に分けるだけで、どこに時間がかかっているかが見えてきます。次に、分解した各業務に先ほどの三軸のどれを当てるかを選びます。すべてに数字を付ける必要はありません。効きどころに二つか三つ絞る方が、日々の判断がぶれずに済みます。
続いて基準値を置きます。いきなり理想値を掲げるのではなく、まず直近数か月の自分の実績を目安として押さえ、そこから無理のない改善幅を乗せます。「差し戻しを前期比で二割ほど減らす」といった置き方であれば、達成できたかどうかを自分で確認できます。最後に、依頼量や体制という前提を目標シートに書き添えておきます。担当する営業の人数が増えたり案件が立て込んだりすれば、同じ数字でも難易度は変わります。前提を明文化しておくことが、後の評価を公平にします。
評価とフィードバックをどう回すか
目標は立てて終わりではなく、期中にどう振り返るかで価値が決まります。支援業務は成果が数字として遅れて現れるため、期末に一度だけ答え合わせをする運用は向いていません。
まず、期の途中で一度は期待値のすり合わせをおすすめします。依頼量が当初の想定から動いていないか、優先すべき業務が変わっていないかを確認し、必要なら指標も見直します。この一手間があるだけで、期末の認識差はかなり小さくなります。
そして評価のときには、数字に出た結果と、数字には出なかった動きを分けて言葉にします。差し戻しが減ったのなら「どんな工夫でそうなったのか」を本人の口から語ってもらい、先回りしてトラブルを防いだ対応のように件数に表れない支援も、面談の場できちんと拾い上げます。数字は判断の入口であって、支援の価値のすべてではありません。上長の側は、日々の支援がチームのどこにどう効いたかを説明できるようにしておくと、本人の納得感が変わってきます。フィードバックは評価を伝える場ではなく、次の期にどの軸を伸ばすかを一緒に決める場だと捉えると、目標がひとりでに回り始めます。
目標が本当に変えるのは、評価ではなく「立ち位置」
ここまで指標の置き方や評価の回し方を並べてきましたが、支援職が目標を持つことの本当の意味は、査定の材料を用意することではありません。むしろ査定は副産物です。
営業アシスタントの仕事は、その成果が「自分の売上」という形では返ってきません。あなたが翌日までに仕上げた見積書は営業の商談で使われ、その受注は営業の数字として計上されます。あなたが入力ミスを一件防いだことで避けられたクレームは、そもそも起きなかった出来事なので、誰の目にも見えません。この「自分の仕事と数字のあいだに、いつも他人が一人挟まっている」という構造こそが、支援業務の見えにくさの正体です。だからこそ、指示された作業を正確にこなすことだけを拠りどころにしていると、自分の仕事が組織のどこにつながっているのかを見失いやすくなります。
目標を持つことの価値は、この見えない線を本人が自分の手で引けるようになる点にあります。「自分が資料の戻しを速くしたから、営業が一日に回れる商談が増えた」「一次対応を自分で閉じたから、営業が新規に使える時間が生まれた」——こうしたつながりを、目標という補助線を通して自分で説明できるようになります。それは上長に評価してもらうためではなく、自分の仕事の意味を自分で確かめるための線です。
間接貢献が可視化されたとき、営業アシスタントの立ち位置は静かに変わります。依頼を待って処理を返すだけの人から、営業の成果を手前で一緒に組み立てている当事者へと、本人の自己認識が動くのです。同じ見積書を作る作業でも、「言われたから作る」のと「この一枚が商談の速度を決めると分かって作る」のとでは、先回りの質がまるで違ってきます。数字を直接持たない職種にとって、目標とは背負わされるノルマではなく、自分の仕事に宛先を与える道具です。売上の数字の一つ手前で、誰の目標達成を自分が動かしているのか——その宛先が見えたとき、支援は指示待ちの処理から、成果を共に作る仕事へと質を変えていきます。

