ジェネラリストとは|スペシャリストとの違いとキャリアの選び方

キャリアを考える上で必須のビジネス用語、「ジェネラリスト」について、対義語や日本語への言い換えはもちろん、仕事にはどちらが有利か、出世や転職を視野に入れて解説します。

ジェネラリストとは

ジェネラリスト(ゼネラリスト)とは、様々な分野の知識や能力を持っている人を意味します。特定分野の専門能力を持つスペシャリストに対して使われます。日本をはじめとする解雇規制の厳しい国では企業内での人員数の調整が行われるため、ジェネラリストが育成されやすいといえます。ただし、現代においては規制緩和が進み、こうした土壌も変化しつつあります。したがって、ビジネスパーソンとして、ジェネラリストでありたいか、スペシャリストでありたいかを自分自身で選択していくことは大きな課題です。

ジェネラリストの言い換え

  • 万能選手
  • マルチな
  • オールマイティな
  • 分野をまたいだ

英語圏ではどう使われているのか

ジェネラリスト(general-ist)

generalは形容詞として一般的、または総合的という役になります。そこに人を示すistがついたと考えればわかりやすいですね。

上で説明してきたジェネラリストの意味とほとんど同じと考えて良いでしょう。多方面にわたり能力を持った人を意味します。日本での使われ方と同様、仕事においての価値提供が広く浅くなのか、深く狭くなのかを示すのによく使われます。

仕事においてはジェネラリスト/スペシャリストどちらになるべき?

もちろん正解はありません。1人1人の志向性と適性によるといえるでしょう。また、将来的にどういったことをやりたいのかにもよります。以下にメリット・デメリットをまとめます。

ジェネラリストになるメリット

  • 視野が広がりディレクターとしての仕事がやりやすくなる
  • 分野を問わないスキルがつくためにできることの制限がほとんどなくなる

ジェネラリストになるデメリット

  • 転職が難しい
  • 秀でた分野がなくなる「なんでも人並み」に陥りやすい

スペシャリストになるメリット

  • 転職が比較的容易
  • 自分の得意分野を持てる

スペシャリストになるデメリット

  • 活躍の範囲が狭まる
  • つぶしが効かないことが多い

今日では終身雇用等の旧来の雇用形態が変わりつつあり、不安定になった分、自分のキャリアパスを自分で選択していける時代になってきました。近視眼的に転職を考えているからスペシャリストになろうと考えるのではなく、自分自身の大きなゴールを定めてからそこへ向けて何が出来るのか、という形で選択できれば理想的です。ロールモデルを見つける、上司や先輩、キャリアアドバイザーと相談するなどまずは自分が持っている選択肢を確認することから始めましょう。

ただし、どちらか一方に絞るのではなく、ある分野ではスペシャリストとして働け、求められればジェネラリストとして働ける人を目指すやり方もあります。問題はどういった配分にしていくのかではないでしょうか。

「どちらが有利か」は時代で揺れる──不要論と再評価論の両面

ジェネラリストとスペシャリスト、どちらが有利かという問いには、実は「時代によって答えが揺れる」という厄介な性質があります。片方だけを見て決めると、判断を誤ります。

一方では、ジェネラリスト不要論があります。専門性で差がつく時代に「広く浅く」では市場価値が出にくい、育成に時間がかかる割に代替されやすい、という見方です。特定分野に深い人のほうが転職市場で評価されやすいのも事実で、「なんでも人並み」というデメリットは、この文脈で語られます。

しかし他方で、ジェネラリストの再評価論も強まっています。変化が激しく先の読めない時代には、一つの専門に閉じた人より、複数の分野を横断して全体を見渡し、専門家どうしをつなぐ「調整役」の価値が上がるからです。とりわけ人材に限りのあるベンチャーや中小企業では、「一人で複数の役割を担える人」が重宝されます。どちらの論も、それぞれの局面では正しい。だからこそ大事なのは、「今はどちらが得か」という短期の流行に乗ることではなく、両方の風向きがあると知った上で、自分がどちらの波に乗れる人間かを見極めることです。

「広く浅く」を越える──T型・π型という現実的な答え

ジェネラリストかスペシャリストか、という二択で悩む人に、いま最も現実的な答えとして語られるのが「T型人材」という考え方です。「ある分野では専門家、求められれば全般対応」という考え方を、もう一歩具体化したものだと考えてください。

T型のイメージはこうです。縦棒が、一つの深い専門性。横棒が、その周辺に広がる幅広い知識。つまり、まず何か一本、人に負けない専門の軸を持ち、その上で視野を横に広げていく。土台に深い一本があるから「なんでも人並み」には陥らず、横幅があるから他分野ともつながれる。純粋なジェネラリストの弱点も、純粋なスペシャリストの弱点も、この形なら補えます。

さらに進むと、深い専門を二本持つ「π(パイ)型」という発想もあります。たとえば「営業」と「データ分析」の二本を深めれば、その掛け合わせは希少になり、代替されにくくなります。ポイントは、順番です。いきなり広げようとすると軸のない器用貧乏になりますが、まず一本を深く掘り、それを足場に横へ、そして二本目へと広げていく。「広いか狭いか」の二択ではなく、「どの順で、何を組み合わせるか」。そう問いを立て直すと、キャリアの設計はぐっと具体的になります。

日本型雇用の変化──総合職という「育成装置」と、ジョブ型への移行

「解雇規制の厳しい国ではジェネラリストが育ちやすい」——その背景を、もう少し掘り下げておきましょう。ここを理解すると、自分の置かれた環境が見えてきます。

日本企業の伝統的な区分でいえば、ジェネラリストは「総合職」にあたります。総合職は、定期的な異動やジョブローテーションを通じて、さまざまな部署を経験し、将来の幹部候補として育てられてきました。つまり日本の総合職という仕組みは、会社が時間をかけてジェネラリストを育てる「装置」だったわけです。終身雇用と引き換えに、社員は会社の都合であちこちに配置され、その過程で自然と広く浅い経験を積んでいきました。

ところが、この土壌は変わりつつあります。近年は「ジョブ型雇用」、つまり職務を先に定義して人を当てる仕組みへ移ろうとする動きが広がっています。ジョブ型では、「何ができる人か」が問われるため、会社に育ててもらう前提のジェネラリスト像は通用しにくくなります。会社がキャリアを決めてくれる時代から、自分で決める時代へ。この移行の途中にいることを自覚すると、「会社に任せておけば育つ」という受け身の姿勢が、いかに危ういかが見えてきます。

「なんでも人並み」に陥らないために──市場価値を言葉にする

ジェネラリストの最大のリスクは、いわゆる「なんでも人並み」、つまり転職市場で「結局、何ができる人なのか」が説明できなくなることです。これを避ける鍵は、自分の価値を言語化できるかどうかにあります。

やってみると分かりますが、「いろいろやってきました」は、市場では評価されません。評価されるのは、「〇〇と△△をつないで、こういう課題を解決できます」という、具体的な貢献の形です。だから、幅広い経験を積むこと自体をゴールにせず、その経験を「どんな課題を解ける力になったか」に翻訳する習慣を持ちましょう。複数部門をまたぐプロジェクトを回した経験なら、「専門家どうしの連携を設計し、停滞していた案件を前に進めた」と言い換えられます。

もう一つ有効なのが、自分の「掛け算」を意識することです。一つひとつの経験は平凡でも、その組み合わせが珍しければ、それが独自性になります。営業経験に、たとえば業界知識や、数字を扱う力や、特定の技術理解が掛かると、「その組み合わせを持つ人は少ない」という希少性が生まれます。広く経験するなら、バラバラに広げるのではなく、いつか一本の線でつなげられる形で広げる。それが、器用貧乏と重宝される人材とを分けます。

そもそも、ジェネラリストかスペシャリストか、で考えるのが正しいのか

ここまで、時代の揺れやT型という答え、雇用の変化、市場価値の言語化を見てきました。最後に、この「二択そのもの」を疑ってみたいと思います。

私たちは、キャリアをジェネラリストかスペシャリストか、という枠で考えるのに慣れています。けれど、この二分法はもともと、企業が人を配置し管理するための分類でした。総合職として広く回すのか、専門職として一点に置くのか——それは会社の人事の都合から生まれた区分であって、個人が自分のキャリアを設計するための道具としては、実はかなり粗いのです。この粗い枠に自分を当てはめようとするから、「私はどっちを目指すべきか」という、答えの出にくい問いに悩まされることになります。

本当に問うべきは、「広いか狭いか」ではありません。「自分の強みは、何と何の組み合わせなのか」「自分は、どんな課題を解ける人なのか」です。市場は、ジェネラリストという肩書きも、スペシャリストという肩書きも、そのものを買ってはくれません。買われるのは、「この人だからできること」です。ジェネラリスト/スペシャリストという分類は、そこへ至るための入り口の言葉にすぎず、ゴールの言葉ではないのだと思います。

とりわけ営業三年目にとって、この視点は励みになるはずです。営業という仕事は、一見すると「専門性のないジェネラリスト」の代表格に見えます。けれど、人に動いてもらう力、相手の課題を引き出す力、数字を追う力は、あらゆる専門分野に掛け算できる、稀有な土台です。それを「つぶしが効かない」と嘆くのか、「何にでも掛けられる基盤を持っている」と捉えるのか。次に何を掛け合わせるかで、あなたにしかない一本の線が引けます。二択のどちらかになろうとするより、自分だけの組み合わせを育てる——それが、会社が守ってくれない時代の、いちばん確かなキャリアの作り方ではないでしょうか。

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筆者:店長

営業と、競馬と、しゃべる植物。あっAIも。つい、いろいろ作ってしまう人です。

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