営業インセンティブの相場|金額と税金・支給条件の注意点
営業マンに対するインセンティブは企業によって全く違いますが少なくても月に数千円は期待できますし、1万円を超えるということもあります。場合によっては3万円5万円という値段が設定されていることも。特に個人向け営業のうち、単価が高い住宅や車、生命保険などは10万円を超えるインセンティブが支給されることもあります。また売上以外でも知人の紹介による採用や、企業に対する様々な提案に対してインセンティブを設定する企業も増えています。
営業マンのインセンティブ
営業マンにとってインセンティブは大きな収入源。会社によっては一ヶ月で数十万円入ることも。どのようなインセンティブがあり、どれぐらい期待してよいのでしょうか?営業マンのやる気を引き出すために効果的に機能するインセンティブ。どのようなインセンティブが営業マンのやる気を引き出し、実際にどれぐらいの収入につながるのでしょうか。
インセンティブとして貰える金額
もちろん会社によって大きく異なりますが、少ない会社で月間3,000円〜5,000円。平均すると7,000円〜10,000円程度。20,000円を超えると多い印象があります。時には30,000円や50,000円といった額が支払われることも。しかしこれはもらえる人の平均値なので、当然業績がついてこない場合は0円ということもあります。
だいたいインセンティブは5割〜8割の人がなんらかの形で、もらえるような設計になっていることが一般的です。逆に言うと2割〜5割の人はもらえない、もしくはもらえても少額というイメージです。しかし会社によっては一回のインセンティブが10万円や20万円ということも。
特に住宅や車といった、販売量や販売頻度は少ないが単価が高い業界や、生命保険のように生涯取引額が大きい業界は、インセンティブの額も大きくなります。どちらかというと個人向け営業の方がベース給与が低く、インセンティブや業績給(販売量に応じた給与や賞与)が高く設定される傾向にあります。
インセンティブの種類
インセンティブは大きく2種類あります。
- 目標達成によるインセンティブ
- キャンペーンによるインセンティブ
目標達成によるインセンティブ
目標達成によるインセンティブとは、目標数値を達成した時に支給されるインセンティブです。基本的には目標を達成するたびに支払われるものです。
キャンペーンによるインセンティブ
キャンペーンによるインセンティブとは、不定期で開催される特定の販売奨励施策に基づいたインセンティブです。常になんらかのキャンペーンが開催されている企業もありますし、ここぞという時に設定されるようなケースもあります。例えば特定商品を売るということだったり、新規開拓に注力する、紹介案件を獲得する、など、様々なキャンペーンが開催されます。
インセンティブの支払い対象
インセンティブの支払い対象が必ずしも個人とは限りません。例えば営業グループに対して支給されることもありますし、チーム対抗でチームに対する支払いをされることもあります。
全てが個人に還元されるとは限らず、グループでの懇親会の費用に充当されるということもあります。これらはどのような目的でそのインセンティブが設定されているかということになるので、基本的に一営業マンにそれを変える権限はないと思っておかねばなりません。
多様化するインセンティブ
採用インセンティブ
「リファラル採用」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?リファラル採用とは、知人や友人を、自社に紹介して得るインセンティブのことです。採用が決まれば、紹介した従業員に対してインセンティブが支払われることもあります。
例えば、転職エージェント経由で転職者を採用した場合、転職エージェントに支払うフィーは100万円を下回ることはほぼありません。場合によっては300万前後の支払いが必要なケースもあります。
そう考えると、営業マンを初めとした従業員に紹介してもらって採用できるのであれば、こんなに安上がりな採用はありません。またリファラル採用は、応募者と企業のお互いが、お互いのことをある程度知った上でコンタクトを取るので採用に繋がる率も高いという側面もあります。
転職エージェントにそれだけの額を払うことを考えたら、従業員に支払う方がいいじゃないかということで、数万円から数十万円の単位で採用できたタイミングで従業員に対してインセンティブを支払うという企業も増えてきました。
提案インセンティブ
例えば、新規事業だったり、現状の業務改善だったり通常業務とは異なるところで、現場をよく知る営業マンや従業員の意見を、経営に反映していきたいという企業も決して少なくありません。
そうした場合に、従業員に提案を求めてもなかなか応募が集まらないので、提案が入賞したり、採用されたらインセンティブを支払うというようなケースも存在します。
営業マンと向き合い、実践を重ねることが、成長のカギになります。学んだことを、明日からの一歩につなげていきましょう。
額面と手取りは同じではない——支給額にかかる税と社会保険
まず知っておきたいのが、提示される金額はそのまま口座に入るわけではない、という事実です。インセンティブは基本的に給与所得として扱われ、通常の月給と合算して所得税・住民税がかかります。日本の所得税は累進課税なので、インセンティブが上乗せされてその月の収入が跳ねると、その分に高い税率がかかり、額面10万円でも手取りは想像より目減りします。「今月は大きく入った」と感じても、翌年の住民税や、天引きされる社会保険料の算定に反映されて、後からじわじわ効いてくることもあります。
だからこそ、インセンティブは月々の額面ではなく、年間の手取りで捉える習慣をつけると、家計の見通しが狂いません。歩合の割合が大きい働き方をしているなら、なおさらです。ふるさと納税やiDeCoといった、収入に応じて使える一般的な控除の枠を把握しておけば、増えた分の税負担をある程度ならすこともできます。稼いだ実感と手元に残る額のギャップを、最初から織り込んでおくことです。
制度は「もらう」ものではなく「読んで動く」もの——報酬効率で配分する
インセンティブを受け身で待つ人と、制度を読み解いて動く人とでは、同じ実力でも年間の実入りが変わります。まず自社の支給規定を、隅々まで正確に読むことです。何を、いつ、どれだけ売ると、いくら支払われるのか。目標達成型なら達成ラインの刻み方を、キャンペーン型なら対象商品と期間を、数字で頭に入れます。
そのうえで、同じ労力をかけるなら、報酬効率の高いところへ配分します。たとえば、単価は低いが率の高い商材と、単価は高いが率の低い商材があるなら、自分の残り時間で現実に動かせるのはどちらかを見極める。キャンペーンで特定商品に一時的に高い率がついている期間は、その商品を提案に組み込める顧客を優先的に回る。もちろん顧客のニーズが最優先ですが、複数の打ち手が等しく顧客のためになるなら、そのなかで報酬効率の高い順に手をつけるのは、合理的な配分です。制度を知らずに闇雲に動くより、盤面を読んでから動くほうが、疲れずに数字が伸びます。
支給条件の「落とし穴」を、受け取る前に確認しておく
金額の大きさに目が行きがちですが、実務で効いてくるのは支給の「条件」のほうです。契約や規定に隠れている前提を、あてにする前に確認しておきます。まず、支給のタイミング。受注した月ではなく、入金が確認された月や、数ヶ月後にまとめて支払われる設計も珍しくありません。次に、在籍要件。支給日時点で在籍していないと支払われない、という条項があると、退職のタイミング次第で受け取り損ねます。
とりわけ注意したいのが、契約が後で取り消された場合の扱いです。売った商材が短期で解約されたりキャンセルされたりすると、一度ついたインセンティブが取り消され、次の支給から差し引かれる仕組みを持つ会社があります。目先の数字のために顧客が本当は必要としない契約を押し込むと、この差し引きで、かけた労力ごと吹き飛びます。「達成」が受注時点なのか入金時点なのか、キャンセル時に何が起きるのか——このあたりを先に把握しておくと、手にしたはずの報酬が後から消える事故を防げます。
採用・提案インセンティブは、待つのではなく取りにいく
見過ごされやすいのが、売上以外に用意されている報酬です。知人を自社に紹介して採用に至ればもらえる採用インセンティブや、業務改善・新規事業のアイデアが採用されればもらえる提案インセンティブは、応募する人が少ないぶん、実は狙い目です。
営業職は、この二つと相性が良い立場にあります。社外で人と会う機会が多いので、転職を考えている優秀な知人と出会う確率が高く、紹介の口を持ちやすい。また、日々顧客と接して現場のリアルを最もよく知っているので、業務改善や新商品の提案は、内勤の社員より具体的で通りやすい。制度として用意されているのに手を挙げる人がまばらな領域は、それだけ競争が緩いということです。売上のインセンティブを追うのと並行して、こうした穴場の報酬にも意識して手を伸ばしておくと、収入の入り口が一本増えます。
そもそもインセンティブとは、会社が「増やしたい行動」につけた値札である
ここまで、税と手取り、制度の読み方、支給条件、穴場の報酬と、インセンティブを味方につける実務を並べてきました。最後に、そもそもインセンティブとは何なのかを、金額の話から離れて考えてみたいと思います。
インセンティブを「頑張った人へのご褒美」だと思っていると、多ければ多いほどありがたいもの、という受け取り方になります。けれど、会社の側の視点に立つと、まったく違う姿が見えてきます。会社は、無条件に社員を喜ばせたくてインセンティブを配っているわけではありません。「この行動を、もっと増やしてほしい」という意思を、金額という具体的な数字に翻し、社員の目の前に置いているのです。特定商品を売ってほしいからその商品に高い率をつけ、人を採ってほしいから紹介に報酬をつける。つまりインセンティブ表とは、会社があなたに取ってほしい行動につけた、一覧の値札です。
ここに、見落とすと足をすくわれる逆説があります。インセンティブに素直に、忠実に反応するほど、あなたは会社が設計したとおりの方向へ、きれいに動く存在になっていきます。しかも、心理学には「アンダーマイニング効果」という現象が知られています。お金のような外からの報酬が強くなりすぎると、仕事そのものへの内側からの面白さが、逆に痩せていくのです。何を見ても「これはいくらになるか」で値踏みする癖がつくと、値札のついていない仕事——後輩の面倒を見る、目先の得にならない顧客の相談に乗る、金にはならないが面白い挑戦をする——が、だんだん割に合わないものに見えてきます。けれど、営業としてのあなたを長い目で大きくするのは、往々にして、そうした値札のつかない仕事のほうです。だとすれば、インセンティブとの賢い付き合い方は、額を最大化することそのものではありません。値札の並ぶ盤面をしっかり読んで利用しながら、どこへ力を注ぐかという最終判断だけは、値札に明け渡さず自分の手に残しておく。稼ぎを取りにいく人であると同時に、稼ぎに操縦されない人でいられるか。そこが、インセンティブに使われる側と、使いこなす側の分かれ目なのだと思います。

