表彰は戦争だ
表彰は戦争だ
営業マネージャにとって、いや組織を束ねて部下を持つ管理職にとってメンバーの表彰機会というタイミングの使い方はすごく重要なマネジメントスキルだと思っている。
若いころ、僕は一つの真理にたどり着いたことがある。
「花束をプレゼントされてイヤな思いをする女性はいない」ということ。
いやいやもらう相手によるだろとか、そういう話は一旦置いといて。普通にプレゼントを渡し合える関係性の前提において、さりげないタイミングで送る花というプレゼントの破壊力は強い。
何が強いかっていうと、値段の割に喜ばれる度合いがインフレしまくってて全然バランスしていない。もちろんいい意味で。そりゃ無尽蔵にそこに投資ができるのであれば、花以上に喜ばれるプレゼントがあるでしょうよ。
でも、1000円札、下手したらワンコインでできるプレゼントというくくりの中での花束の持つポテンシャルはすごい。語彙があれだけど。
さらに、そのポテンシャルを確固たる地位にしているのは「いつでも用意できる」という取得難易度の低さである。並んだり予約したりする必要はなくて、ただ待ち合わせの15分前に思いついて用意できるという点がプレゼント界において確固たる地位を築いている。
そう、表彰も。
メンバーを表彰をすることに、営業マネージャが何か重大な労を強いられたり、オリンピックぐらい待たないとその機会が用意されないか、というと。
まさに表彰は「花」である。と同時にそれは営業マネージャにとって絶対にその枠を獲得する戦争でもある。
一人の営業マネージャが与えることができる表彰枠と複数の営業マネージャが議論しながら選出者を選定する表彰枠では価値が違う。
当然後者の方が価値が高い。選ばれる確率が段違いに低く希少価値が高いからだ。
となると、営業マネージャである私は、他の営業マネージャよりも自分配下の営業メンバーを「押して足る強い理由」を用意できなければ戦争には勝てない。
最終ジャッジするのが営業部長だとすると、一つの枠に二つの推薦があったとしたら様々な影響を鑑みて、どちらかの案を採用してどちらかの案を蹴らなければならない。
これが月次の表彰枠より四半期の表彰枠、四半期より半期、半期より通期。
希少価値が高くなるほどマネージャ間の戦争もし烈なものになり、希少価値に比例して勝ち取れた際の営業メンバーへのモチベーションの還元も、より大きなものとなる。
当然、どこの営業組織であっても表彰制度があるのなら表彰基準というものは一定設けられていると思う。明文化されているか、そうじゃないかの違いはあっても、ランダムに抽選で選んでいるわけではない以上何かしらのわかりやすい成果を主として、選ばれることによる本人や周囲への影響度を測定しながら選出をする。
で僕が、マネージャの皆様に問いたいのは、これを戦略的に勝ちにいっているのか、という点である。
戦争である以上戦略が必要である。希少価値が高い表彰枠というのは、偶発的に成果が出たら取りに行く、のではなく何か月もかけて「その表彰機会」をめがけてメンバーの成果をその選出時期に合わせて最高潮になるようなマネジメントできているかどうか。
例えば通期の表彰枠というのは、11か月間空振りを続けた人が選出機会のタイミングの一か月だけホームランを量産したから取れる、というものではないと思う。だが、安定して打率3割を12か月続けたから必ず取れるというものでもないというケースも多い。
2割7分や3割3分を行ったり来たりしながらも、選出時期のそのタイミングで中期的に仕込み続けたことが大きく花を咲かせること、これが結構大きな勝ち筋なのではないだろうか。
とすると、営業マネージャの目線に立った時、一人の営業メンバーのことだけ考えてその設計をすればいいというわけではない。
各表彰タイミングは急に設定されるわけではなく、慣習でどのタイミングでどの表彰があるのかは事前にわかっている。とすると、どのタイミングでどのメンバーをどの成果を手土産に表彰台にあげにいくのかというストーリーの設計こそが表彰戦争における激強戦略だと思っている。
もちろん、営業との会話も必須だろう。どのタイミングで表彰台を狙いにいくのかということを出すかどうかはさておき、営業に対する期待値や成長プランをしっかりと営業本人と会話する必要がある。
それまでにどんな壁にぶつかり、どんな成果を残し、どんな成長を遂げていくのか。本気でそれを設計し、きちんと営業の納得感を醸成しながら、膝を突き合わせて会話をする。
勝ちに行く表彰枠によっては皿がバキバキに割れるぐらいまでコミュニケーションをとらないといけないかもしれない。
でももし、仮にそれがうまくハマったらそれは表彰機会を自グループで独占できる可能性もあるし、思った通りの表彰機会を獲得できなかったとしても、そのために費やした全ての時間が質の高い営業マネージャとしての財産になる。
それは花ほどコスパが良いものではないかもしれない。でも営業メンバーにとっての上司はあなたしかいなくて、その表彰選出の会議にはあなたしか出ていないのだから。
