後輩と、AIを使った「競馬で回収率が100%超える馬券購入モデル」の確立を競い合った話
後輩と、AIを使った「競馬で回収率が100%超える馬券購入モデル」の確立を競い合った話
僕は競馬が好きだ。
何十年もファンをしているというよりかは、本当にこの一年ぐらいで急にのめり込んだ。馬券購入していなくても、GⅠレースがある日曜日は、予定を入れずに観戦しているし、昨年(2025)の有馬記念は運よく抽選にあたり、ミュージアムマイルの激走を中山競馬場ゴール前最前列で見た。
ただし賭ける以上は勝ちたい。
いろんな賭け方があるけど僕は圧倒的に単勝派だ。還元率が一番高いからという理由である。
簡単に説明すると、1着になる馬を予想して馬券を購入する。
当たればリターンがあり、外れたら2着であろうが16着であろうが関係ない。惜しいはあるけど、結果は変わらない。
例えばめちゃくちゃ強そうな馬がいると人気が集中する。そういう時は、みんながそう思ってその馬に集中するとオッズが下がる。つまり当たっても還元率が低い。逆に人気薄の馬を買って当たると、還元が大きい。
とすると、回収できるかどうかは「当選率」×「還元率」という図式になる。
人気馬は当選率が高い代わりに還元率が低い
人気薄は当選率が低い代わりに還元率が高い
で、当選率もそこそこ高い割に還元率が高い馬を探して賭ける。これが僕の賭け方で必ずしも一着になりそうな馬、を選ぶわけではなくて、多分2-3着ぐらいな気がするけど当たれば割とおいしい層を過去レース情報とかを参照しながら選ぶ。
僕はこの方法で1年間で10万円を0円にした実績を持つ。
難しい。素人がどんだけ予想してもなかなか当たんない。
で、「当選率」×「還元率」のうち、還元率はオッズとしてリアルタイムで表示差ているので見ればわかる。わかんないのは「当選率」の方。そりゃ当選率が事前にわかっていれば苦労することはない。
でも、データを見た僕は知っているけど、レースが始まる前にわかるんだなコレが。
というのも、JRA主催のレースだと、1レースに何万人もの人が賭けていて、何十億という金額が動く。そして年間何百レースもある中で、様々な条件を踏まえた上での人気順・投票率になっているので、
単勝オッズが2.0倍の馬が1着を取る確率は約40%、という確率に収束する。
しかし。それはあくまでも全体の話。
個別のレースに限って、どの馬が何%なのかという正確な値を計測することはもちろんできない。とある単勝オッズ2.0倍の馬が1着を取ったとする。
それは当選率40%だったのか、当選率80%だったのか、なんてわかるわけない。
こんな感じで、全体で見てみると確率は収束するのだけど、個別の条件が積み重なると「当選率」×「還元率」の組み合わせが100%を超える条件があるのではないか、という仮説も成り立つ。
AIを使って、過去10年分のレースのデータを検証した後輩がいた。
彼は仕事を辞めて、しばらくフラフラしますと言って、パチスロと競馬に大半の時間を充てていた。優秀な後輩なので、仕事を依頼したくてMTGを組もうとすると「その日GODの新装日なんでダメです」って断ってきた。
で、その彼が圧倒的に有り余る余暇を使ってAIを駆使して組み上げたモデルの回収率が160%を超えたと教えてくれた。
つまり、1レース1レース毎回1.6倍になって返ってくるわけじゃないけど100レースに100円ぐらいかけ続けたら
総投資1万円、100レースのリターンは1.6万円、というわけだ。
総投資が100万円になればリターンは160万円になるし、総投資が1億になると、リターンは1.6億円になる。
あくまでも過去データ上であれば、なのだけど。今は実際のレースで検証しているが「プラスは維持している」と言っていた。
もちろん彼の血と汗の結晶なので、それがどういう条件下なのかは聞かなかった。「ダート(芝ではなく砂のレース)だけやってます」とだけ教えてくれた。
燃えた。
結論からいうと、僕は112%が限界だった。
なので、タイトルは競い合ったにしているけど、歯が立たなかったが正解だ。
僕はこれを恒常的に自分で利用するわけじゃないけど、
「前回レースからマイナス4-8キロの馬」でかつ「前回レースで大敗した馬」
がオッズの割に勝率が高いというモデルになった。もちろん他にも諸条件はたくさんあるのだけど、核はここ。
こうではないか、という仮説はこう。
体重が落ちている→筋力が落ちているで嫌気さされるのだけど、実際は体を絞っている
前回大敗している→大敗結果を受けて嫌気さして敬遠されているが、たまたま大負けしてしまったケースが相当数混ざってる
つまり、勝率が高いというよりかは、勝率の割にオッズが高い(当たった時のリターンが大きい)から8レースに一回ぐらいの当選だけど、やり続けたらプラスになるという組み合わせが上記の通りだった。
要は「歪み」である。
大局的には市場は全体的な当選率を綺麗に予測することができている。人気順やオッズ順というのは綺麗に当選率と相関がある。
しかし、特定の条件が重なると、部分部分で歪みが生じる条件が存在する。
それは僕にとっての「馬体重▲4-8キロのレンジ」と「前回大敗」が重なると市場の歪みが最大化する。
前置きがすごく長くなったけど、この歪みは営業の場面にも多く存在する。
市場は圧倒的分母があり、その総和として人気順やオッズが構成されるので過去データは間違ないなくオッズと実際の当選率は相関がある。
オッズが上がるごとに当選率はしっかり下がる。
ただし、営業や商談は1対1の取引である。仮に競合とバッティングしたとしても5社や6社によって構成される市場の中で顧客は選択をする。
5社や6社の価格や提案内容が、顧客にとっての市場そのもの、と言える。
とすると、期待値が一番高くなる条件とは何なのか?この数社が構成する市場の「歪み」は何なのか?
様々な軸が歪みになりうると思っているのだが、例えばこういうケースは結構万能かもと思っているのが「顧客の発注軸の優先順位とは」である。
昔、RFPをかけるようになろうよ、という話を書いた。
その際に事例として出したのだが、100点満点で採点して一番高い点数を付けた提案が採択されるものとする。
では、その配点項目と点数配分は何?って話である。
価格が安いこと・・20点
社内での説明が通りやすいこと・・10点
購入時への社内への影響が少ないこと・・10点
実績があること・・5点
等々、様々な観点で配点されてその採点基準についても存在する。
明確ではなく、タイミングによって変わる可能性がある、が、無意識下で複数条件を照らし合わせて最終判断をする。
で、恐らく競合もあなたも経験的にこの配分については知っているし、この個社に置き換えた際の配分がどう変わるかの情報も入手出来ているであろう。ただし、それでも歪みが発生している可能性は十分にある。
顧客が異常に高い配点をしているにも関わらず競合はカバーしていない、とか。
顧客が無意識下に配点を傾斜をかけているにもかかわらず、顧客自身が言語化しておらず社内でのコンセンサスを得ていない、とか。
実は社内異動で決裁者が変わって配点基準が大きく変わっているにも関わらず窓口の担当者はその情報をキャッチしていない、とか。
市場は基本的に正しい。
競馬でも営業でも、大局で見れば「人気=期待値」はだいたい合っている。
だから真正面から戦うと、善戦マンで負け続きというケースもある。
強い馬は強いし、強い会社は強い。それはもうどうしようもない。
ただし、局所的には歪みがある可能性は忘れないで。
・評価されていないが実は価値がある条件
・顧客自身が気づいていない優先順位
・競合が気づいていない判断軸
歪み起点で商談を構成してみると、160%超える期待値に巡り合えるかもしれない。
