AIとAIに営業組織の状況可視化ツールの作成を会話させたら「シナリオ」って概念勝手に作り出した

幼い頃、二つの受話器の受話口と通話口を逆向けに引っ付けたら自分が仲介者としてお互いの電話相手同士が直接会話できるのでは?と妄想した人も多いのではないだろうか。
大昔に僕は実行した。全然聞こえねぇよって言われて終わった。

普段使い慣れているAIのチャット画面では、なかなかこれが難しい。
つまり、AIとAIに会話させようと思うと、チャット画面上では人間が仲介して、お互いの出力内容をお互いのチャット画面に張り付け続けるということをしないといけない。

AI同士が会話はできてるんだけど、自動じゃねぇんだよな~。

しかしClaudeCodeという開発者モードを利用するとこれが可能になる。
むしろいくつものやり方がある。

一点だけ注意をしたいところは、色々試してみたところ、AIというのは直列につなぐ分にはそうでもないが並列で同時進行で色々動かすと、トークン費消量というスマホでいうところのデータ通信料制限みたいなやつにすぐでひっかかる。
イメージとしては、2つのAIをそれぞれ並列で動かす場合、1+1が4とか5になる。

セッション制限という制約に何度もひっかかり僕も利口になっていった。

直列というのは、Aの1が終わったらBの1を動かす。
並列というのはAの1とBの1を同時に動かす。

当然並列の方が早い。
しかし僕は、Aが発言する、Bがその内容を受けてさらに会話を重ねるというストロークをさせたかったので、時間はかかるが直列を選択した。

少し遠回りになるのだけど結構魂込めてやったプロジェクトの話からさせてください。
幾度となる触れているが、営業組織の業務効率化というテーマとAIやGASはすこぶる相性がよい。

で、営業組織でデータや業務を統合しようと思うと、基本的には
・顧客(案件)
・営業(個人、組織)
場合によって
・商材

これぐらいの切り口しかない。

そこで僕は、社内に点在する様々な営業に関するデータ(メール、スプレッドシート、実商談情報、活動量)を一つの画面に集約しようと動き始めた。

で、感動した。

特定のお客さんに紐づく活動が一本の道となって閲覧できた。
・(5/15)〇〇さんが電話の活動をしました
・(5/20)〇〇さんが、商談の活動をしました
・(5/20)〇〇さんがした商談の内容は下記のとおりです
-xxx
-xxx
-xxx
・(5/20)〇〇さんが顧客に提案書を送付しました
・(5/20)〇〇さんが、案件表にCヨミの登録をしました
・(5/22)〇〇さんが、チャットで資料作成の依頼をしました
・(5/24)お客様からメールの返信がありました内容は下記のとおりです
-xxx
-xxx
-xxx
・(5/26)〇〇さんが、案件表をCヨミからBヨミに変更しました

あの案件どうなってる?の会話に対して全部「この画面見といてください」で終わる世界の到来を予感した。まぁもちろんここまでそれなりの時間を使ったが、時間帯効果としては近年稀にみる会心の一撃ではないかと。

見てみて~と僕は、GMや事業部長陣などに見せてまわった。
・すごい!!
・助かります!!

などなどポジティブな声が多かった。

・AIってやっぱすごいすね~

イヤ、オレも十分すごいから!!

黒縁メガネの女性事業部長に見せた時だ。
めちゃくちゃ使いやすいという意味で使い方はイメージできるんですけど
目標達成から逆算したときに、それぞれが何をすればいいのか、というところって見えるようになったりしませんかね?

なるさ、もちろん。

なんとなくの勘所は持てた。
ただしできるようになるのは、達成できるまでの道筋や必要量をロジックで表現したり、過去データからアラート上げたり、行動プッシュしたり、確率を算出したりであって、達成ができるわけではないんだよな。

から思考タイムに入った。

達成するためには、必要量があって確率があって、単価がある。
そのロジックツリーは不変なわけだが、確率とか単価ってコントロールするっていうか、頑張った結果こうなりましたって世界なんよな。
5%の受注率を10%にしろ、って言ってることはわかるけど、先行指標として何追えばその数字なるかの具体は正直よくわからん。

そもそも営業が数字追うときに、ロジックツリーを意識して日々過ごしているのか?
いや、単純に目標額に対して、あとどんだけとか、この案件入るかな、どうしよう何すればいいかな、って思考だろ?
それが事業部長になるとどうだ?
受注率が〇%届いてない、単価が想定より10万低いとか目標達成に向けて月中にそんな会話してるの見たことないぞ。あくまでも個人やグループの案件の積上げであり、合計値が目標とどう差分があるのかだよな。

とか考えてた。

でも少なくとも、AIが今月が目標単価より〇万円低いとか受注率を7%にする必要がある。
商談数を〇件にするためには、一人ひとりコール数を+15件/日にする必要があり・・・。

目安として効く世界はわかるんだけど、実際にコントロールできるのが活動量に集約されるとするなら上限近くまでやって今の数字なんだから、理論値言われてもな~~

ってフロアと喫煙室を何往復かしながら色々考えてみた。
体感的に知っていた。「意志決定を変えないツールは使われない」

こういう思考系はチャットを使う。
壁打ち相手として優秀なのでやるのだが、ヒントはくれるけど当然解答はくれないし、そして手触り感を持ってるのは僕なのだ。正論が現場や顧客には通用しないこともある、というのは何回も経験した。

時間は夜19時半頃になっていた。
今日は帰って鶏の胸肉をいかにパサつかせずに食べるかの研究をしなければならないので、帰ろうと思ったときに。
たまたま開いていたAIのHow toページの情報が目に飛び込んできた。
オーケストレーション機能的なの使えばいいじゃん。

詳細は省くのだけど、冒頭で説明したような、複数のAIを自律的に動作させる機能なことで。僕は開発の前に、まずこのテーマを議論させてみようと思った。

Aは検討・提案・回答の集約役
Bは批判・検証・対案提出役

それぞれに役割を付与したうえで、それぞれにこれまでの僕の思考した内容(ロジックツリーや足りない活動量的な可視化じゃないよなって話)や、
現場を達成させるための機能や情報の可視化、そして、これまでのデータ。全部参照して、何があれば事業部長目線で達成に向けた動きをとれるのか。

これをAとBで議論をしてほしい。ターン数は少なくとも30ターン以上して議論を熟させること。

僕は/loopというAIが自律的に動く設定をしたうえでPCのスリープ設定を解除し「AIが動いているから触らないで」って殴り書いた裏紙で画面を隠して、そして帰った。

翌日、会話のログを貯めるように指示したフォルダを確認した
AとBの会話は52ターンしていた。
最後のファイルの時間は午前3時45分だった。相当やってんな!

もちろん、その内容を全部目検で追うとむしろ午後3時45分になっちまうので、後半のファイルを中心にAIのチャット画面にぶち込んで会話の要約を依頼した。

一行目から始まるなるほどの連続タイムだった

"まずは過去データから達成するためのシナリオパターンを構築する必要がある"

以降、このシナリオという概念は、このツールの基軸の概念となっていった。

その後の様々な会話がなされたのだけど、この一発目のアプローチがとても大切だったなと思う。
過去データ、それも日次の案件表のスナップショットを連続的に捉える中で数字の推移がどういう推移をたどったケースが、最終的に達成へと到達できたのかという過去の検証からモデルを作り出すというところからのスタートだった。

結論としては、言われたら確かにそれはそう、なんだけど
「大型の案件、具体的に300万円以上の月初時点での案件量とその推移」が達成するかどうかのほぼ全て。
案件を均一的に扱いながらアクション構築するのは効率が悪い、という内容だった。
過去データをあらゆる角度から分析して、シナリオパターンを抽出した結果、AとBが出したのはそういう結論だった。

実際、この事業においても"にっぱち"(2割の顧客が8割の売り上げを作る)に近い構造になっており、普段なら傾斜の概念が出てくる自分も情報の可視化というタスクが持つ「事実を正しく」に気をひかれすぎて、点と点が繋がっていなかった。

次はちょっと僕の思考にはなかったのだけど「事業部長が宣言する」というものだった。
今月はこの3案件を絶対に受注まで持っていくというのをシステム上で宣言をする。多少の偏りはあるかもしれないが、大型案件は比較的メンバーが散って持っていたので、単純計算で3-5か月に一回、自分の案件が宣言対象として選ばれるというものだった。

これも結構理に叶っていて、要は「大型の案件」はどうしてもリード期間が長くなる。
初回商談してから、案件表上「受注」フェーズになるまでが小型案件よりも長期化する傾向にあるので、単月での宣言だけでは、大型案件の育成に時間を使えず、月初の大型案件のネタ量が出たとこ勝負になってしまう懸念をBが表明していた。

これに対してAは、今月の宣言と、翌月翌々月の大型案件のたまり状況と過不足を可視化することで、大型案件の育成が前月比で足りているのか足りていないのかを可視化する機能についても言及していた。

などなどの議論を経て、当月仕上げる案件の宣言とそこに対するリソース(事業としての営業メンバへの支援)と、月初良いスタートを切るための大型案件の育成こそが、事業部長の役割であり、事業が達成するシナリオであるという宣言で、3時45分にloop機能をストップしていた。

当初思っていた、「意志決定を変えないツールは使われない」という危惧は
「KPIを管理する」から宣言機能を通じた「意志決定の強制機会」によって曲がりなりにも担保されそうだという感覚は持てた。

可視化を通じて、事業部長が「見ないものを決める」という逆張りは逆に現場への浸透イメージも持たせてもらえたのかな、と思う。

店長

Xアカウント:@nishi_sales_ai 新卒で大手IT企業に入社し、飛び込み営業から深耕営業、大手企業担当まで第一線で経験を積む(表彰歴多数)。その後、事業企画・営業企画部門で経営に近い立場から営業組織と数字に向き合い、10年勤続を経て独立。営業組織の改善に特化したコンサルタント企業を立ち上げる。 コンサルタントして数々の現場に入りつつ、自ら営業特化の転職エージェントも運営。近年はAIを活用した営業組織の業務改善・生産性向上プロジェクトに携わる。現場の最前線と経営の両方を見てきた視点から、営業3年目前後がぶつかる壁を越えるための実践知を発信する。

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